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2017年07月12日

ダイバーシティ経営におけるLGBT対応

マルイは「SDGs」「ダイバーシティ&インクルージョン」で「新しいCSR」を実現できるか

丸井グループでは、国連が定める「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals、略してSDGs)を経営戦略の推進に活用し、2020年に向けた社会貢献のテーマとして「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げる。丸井グループ サステナビリティ部マルイミライプロジェクト担当 課長の井上 道博氏は「SDGsやダイバーシティはCSRとして認識されがちですが、そもそも日本のCSRのあり方は時代遅れ」と語る。同グループの「これからのCSR」とダイバーシティ×小売り×フィンテック×データ活用の取り組みについて聞いた。

執筆:LGBTコンサルタント 増原 裕子

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丸井グループ
サステナビリティ部 マルイミライプロジェクト担当 課長
井上 道博氏



丸井グループはSDGsをどう「活用」しているのか

──丸井グループと「SDGs」と聞いて、あまりピンと来ないのですが、丸井グループはどのようにSDGsに関わっているのでしょうか?

井上氏:当グループでは、「お客さまの『しあわせ』を共に創る共創経営」を進めています。その取り組みをお知らせするため、2016年9月に「共創経営レポート2016」を、2016年11月に「共創サステナビリティレポート2016」を出しました。

 「共創サステナビリティレポート2016」では、社会と当グループの関係性をしっかりと表現したいと思っていました。このレポートの編集過程で、SDGsのことを知り、まさに「社会と当グループの関係性」を表現する効果的な方法だと思いました。

──「共創サステナビリティレポート2016」とは、どういったものでしょうか。

井上氏:当グループの取り組みをSDGsの17の目標に照らし合わせ、紹介しているレポートです。SDGsに合わせて新しい取り組みを始めるのではなく、「当グループが今展開しているビジネスコンテンツはどの目標に貢献しているのか」をマッピングしています。

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(クリックで拡大)

丸井グループの共創の取り組みをSDGsの17の目標に照らし合わせて紹介している「共創サステナビリティレポート2016」

(出典:共創サステナビリティレポート2016)


 私たちが目指す、「すべての人がしあわせを感じるインクルーシブな社会」と、SDGsの「だれも取り残さない」という考え方には重なる部分が大きいと感じました。

 SDGsを取り入れたものの、まだあまり使いこなせていないというのが正直なところです。SDGsはもともと社会課題や国際貢献に興味がある人や投資家には響きますが、社員やお客さま向けには、もう少し身近なものに置き換えた表現方法を模索して、進化させていきたいです。

丸井グループの「CSR」像

井上氏:私たちの部署「サステナビリティ部」は、今年の4月に「CSR推進部」から名称を変更して生まれたものです。日本では「CSR」というと、社会貢献やボランティアととらえられがちですが、丸井グループでは「経営戦略」ととらえ、それを明確にするために名称を変えました。

 サステナビリティ部にはESG推進の側面があります。ESG投資(環境/Environment、社会/Social、企業統治/Governanceに配慮している企業に対して行う投資)の観点からも、SDGsを重視しています。

 一方的にこちら側から支援したり、サービスを提供したりというCSRは過去のものです。お客さまと一緒になって考えて、一緒に喜びを分かち合うことが「今のCSR」と言えるのではないでしょうか。

いきなり「LGBTフレンドリー」と言っていいのか?

井上氏:丸井グループにはマルイミライプロジェクトというプロジェクトがあります。これは、当グループのビジネスコンテンツで、どんな社会課題を解決していくかを話し合い形にする、グループ横断のプロジェクトです。社内公募で全国から集まるメンバーで構成されていて、2020年まではダイバーシティ&インクルージョンをテーマに進めています。

──丸井グループにとって「ダイバーシティ&インクルージョン」はどんな意義を持ちますか。

井上氏:「違いを力に変える」経営戦略ですね。当グループは10年くらい前から、客層の幅を「すべての人」に広げていこうとしてきました。

 最初は年齢の幅を、次にサイズの幅を広げました。とはいえ、「すべての人」と言っているのに、障がいのある方やLGBTの人たちと真剣に向き合ったことがあるのか、というところに課題を感じ、昨年から一気に取り組みを始めました。

 昨年開催されたLGBTの生きやすい社会を目指すイベント「東京レインボープライド(以下、TRP)」で、丸井グループとして初めて大きなレインボーフラッグを渋谷モディに掲げました。

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レインボーフラッグがかかる渋谷マルイ(写真は2017年のもの)

(写真:筆者撮影)


――LGBT当事者にとっても、アライ(LGBTを理解し、支援する人々)にとっても、「あの渋谷のモディ」や「あの渋谷のマルイ」にかかるレインボーフラッグは「自分も社会の一員だ」と認められたことの象徴のような意味合いがあったと思います。

井上氏:パレードの参加者がそれを見て喜んでいるのを見た社員が、「初めてうちの会社をかっこいいと思いました」と言ってくれました。今年のTRPでのブース運営後には、ある社員が「あー、いい会社に入ってよかった」と話していました。

 とはいえ、この判断もそう簡単ではありませんでした。LGBTに関する講演会を聞いただけで、いきなり「LGBTフレンドリーです」とフラッグを掲げて、当事者やアライから「何もできてないじゃんマルイ」って言われたらかえってリスクなのでは、という声もありました。というのも、当社の中でも、LGBTの理解は3割程度の社員にしか浸透していなかったのです。

 トランスジェンダー(自認する性別と出生時の戸籍の性別が一致しない人)当事者の方にも意見を聞きました。そうしたら、「いいじゃないですか。まだ3割の社員しかLGBTを理解してないのだったら、『すみません。まだ3割です。残りの7割はこれからがんばります』って言えばいいじゃないですか」と言われましてね。決断できました。

 日本企業って、できてないから宣言しない、宣言しないから動かない。こうしていろいろ遅れてしまうのかもしれません。

【次ページ】ダイバーシティ×小売り×フィンテック×データ活用で開ける未来

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