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2017年07月03日

ブロックチェーン=DLT市場はどうなる? ITベンダーにビッグチャンス到来--IDCが解説

破壊的なテクノロジーとして、大きな注目を浴びている「ブロックチェーン」。エンタープライズの分野では「DLT(Distributed Ledger Technology)」という呼ばれ方もされはじめた。今後、ブロックチェーン=DLTはどのような進展を遂げていくのか。またその進展にどんなビジネスチャンスが眠っているのか。IDC Japanでシニアマーケットアナリストを務める小野陽子氏が、ブロックチェーンの基礎や市場動向、課題などを解説するとともに、最新の活用事例などを紹介した。

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ブロックチェーンはさまざまな企業にビジネスチャンスをもたらす

(© monsitj – Fotolia)



ブロックチェーンとは何か?その定義と主要な要素技術の復習

 急激に注目を集めるブロックチェーンだが、そもそもどのような技術なのだろうか。

「ブロックチェーンとは、改ざんできない、ゼロダウンタイムの堅牢な分散台帳システムのこと。主な要素技術には、暗号化技術、スマートコントラクト、ネットワーク、コンセサンス・アルゴリズムがある」(小野氏)

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ブロックチェーンの定義と、主要要素技術、メカニズム


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 技術的な側面で見ると、ブロックチェーンは取引内容の詰まったブロックが、ハッシュ値(規則性のない固定長の値)によって、チェーン状につながっている台帳である。ネットワーク上に分散する複数のノードで、同じ台帳の複製を持ち合いながら、取引の正当性を確認しあえるメカニズムになっている。

 さらにブロックチェーンでは、「スマートコントラクト」と呼ばれる技術が付随するケースが多い。これは文字どおり“スマートな契約”ということだが、契約をプログラム化し、その履行結果をブロックチェーンに記録するための要素技術だ。

「たとえば、IoTはイベント駆動型で動くことが多い。そこで契約を定義し、イベントが駆動したとき、プログラムに沿って契約を自動で実行する。次に支払も自動で精算し、その結果をブロックチェーン側に記録する。このようにIoT駆動のビジネスが、人を介さずに自動化できることになる。これがスマートコントラクトの趣旨だ」(小野氏)

 次に同氏は、ブロックチェーンの分類についても説明した。ブロックチェーンは「パブリック型」と「プライベート型」に大別できる。パブリック型は誰もがネットワークに参加できるが、プライベート型は許可制となる。許可制では、権限やプライバシー保護を制御できるため、一般的な実社会の契約で利用する際に重要な意味を持つ。

「ワールドワイドでは、ブロックチェーンはビットコインとのつながりが強いイメージがある。そこでエンタープライズ分野では『DLT(Distributed Ledger Technology)』という言葉が好まれて使われており、今後はこの呼び名になるだろう」(小野氏)

ブロックチェーンの4つの市場機会と国内外の具体例

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IDC Japan
シニアマーケットアナリスト
小野 陽子 氏

 ではブロックチェーンは、今後どんな分野で利用され、市場として広がりを見せていくのだろうか? 小野氏は「ブロックチェーンには“ひとつの真実を共有”“価値の移転”“より速い決済”“スマートコントラクト”という4つの市場機会がある」と指摘する。

 「ひとつの真実を共有」という点は、改ざんできないセキュアな機会が与えられるということ。企業が取引を行う場合、従来は各企業側でシステムや台帳を持ち、各自で記録していた。しかし、電話やファックスなどのプリミティブな取引や、国際間の金融取引などにおいて、もしも企業同士の記録の食い違いが生じると、確認するのも非常に厄介になる。

「そこでブロックチェーンという共有システムを使えば、手間・時間・コストを削減できる。この仕組みをベースに、資産所有をセキュアに記録して“価値の移転”を可能にしたり、“より速い決済”や、前出のような“スマートコントラクト”で、取引の自動化の機会を広げてくれる」(小野氏)

 この4つの市場機会から「金融の変革」「ポイント」「資産管理」「サプライチェーン管理」「契約管理」「ヘルスケア」「認証」「直接取引」といった分野で多くのユースケースが登場している。

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ブロックチェーンの主要ユースケース


「たとえば、サプライチェーン管理では、食品のトレーサビリティの確保だ。またポイントやゲーム内仮想通貨といった価値の移転にも応用できる。金融の変革では、海外送金のコストを低減してくれる。契約管理もスマートコントラクトにより、センサーで納品を確認して支払いを自動化できる」(小野氏)

 とはいえ、市場を見回してみると、まだ国内ではPoC(概念実証)段階というところ。実運用というよりも、先行企業の取り組みが目立っている。国内外における先行企業の取り組みについて小野氏は次のように語る。

「国内では銀行連合が銀行間送金に適用したり、三菱UFJが外部委託業者との契約管理や履行への活用を検討している。またトヨタ自動車が、自動運転車の運転データの共有を検討中だ。クルマのオーナー、運行管理会社、メーカーの間で情報を共有することを考えているようだ」(小野氏)

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国内における先行企業の事例。金融系では銀行各行、製造系ではトヨタ自動車が検討中


 国内でのユースケースはまだ少ないが、海外ではブロックチェーンの活用がかなり進んでいるそうだ。ただし、それでもPoC段階が多いという。

「ウォールマートは、中国で豚肉のトレーサビリティを川下から川上まで実施している。また音楽発見サービスのSpotifyは、音楽家に対する適正なロイヤリティの支払いを公明正大に実施するために活用している。FDAでは、ヘルスケア分野で個人の遺伝子情報や医療情報をいかに安全に共有できるかという研究を行っているところだ」(小野氏)

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海外における先行企業の事例。ウォールマートやSpotify、FDA(米国食品医薬品局)などの事例がある


【次ページ】データサイエンスのライフサイクルをどう回していくか

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