- 会員限定
- 2017/07/05 掲載
現地で見た「サンフランシスコ流の働き方」、なぜ割高でもコワーキングが流行るのか
慶応義塾大学卒業後、日立製作所に入社。ITコンサルタント、宣伝、広報/IRを経て2008年に双子の子どもの妊娠をきっかけにやむなく退社。子育てしながら働く社会を変えたいとの思いで、フリーランスを経て2011年にマーケティング・コンサルティング会社、株式会社グローバルステージを創業。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会(東京ワーキングママ大学運営)を設立。2015年3月より海外市場調査・マーケティング事業としてグローバルママ研究所を設立し、世界30か国以上で海外調査員のネットワークを持つ。2016年に株式会社コメ兵 社外取締役に就任。国内外を出張ベースで飛び回る3児の母。
コワーキングスペースとは何か
「コワーキング」とは、同じ会社や団体に属さない2人以上の人が同じスペースで働くことを意味し、そのようなワークスタイルを実現する場所を「コワーキングスペース」と呼ぶ。単にデスクと高速インターネットやWi-Fiといった設備環境が整っているだけではなく、個人が独立して働きながらも、アイデアや情報を交換しながら、オフィス環境を共有することで相乗効果を生み出すことを目指す。また、既存のレンタルオフィスとは異なり、仕切りのないオープンスペースにおいて、各自好きな場所に座り、会議室やイベントスペースなどのほか、キッチンやラウンジなどもあるのが一般的だ。
エレベーターで別のフロアへ移動すると、全面ガラス張りの1~4名用の仕事部屋がずらりと並び、バラエティに富んだオフィス空間が目の前にひらける。モノが少ないオフィスもあれば、色あざやかな手製のカーテンがかけられているオフィスもある。
さらに地下に降りると、そこにはリビングスペースのようなくつろげる空間があり、休憩中とみられる男女が談笑しながらランチボックスをつついている。
ビル内には授乳室まであり、多種多様な背景を持つワーカーたちが心地よいクリエイティブな空間のなかで、お互いを刺激しあい、刺激を得られる場所となっている。
実は割高なコワーキングスペース、それでも流行る理由
National Real Estate Investorの調べによると、アメリカ大都市のシェアオフィスの賃貸料一平方フィート当たり139ドルに対し、商業スペース(オフィスビル)の賃貸料は一平方フィートあたり49.59ドルと181%のプレミアムがついていることになる。なぜそこまでのプレミアムを払ってまで人々はコワーキングスペースを選ぶのだろうか?
コワーキングスペースとオフィススペースのレンタルの一番の違いは、個人のニーズによりフレキシブルな値段で借りられるところだ。
たとえば、WeWorkの場合、エリアによって価格が大きく異なる。取材したサンフランシスコにあるWeWork SOMAの場合は、月550ドルから24時間7日いつでもオープンエリアで仕事ができるパッケージから、1席あたり月900ドルからプライベートのオフィススペースを借りることができ、起業のステージと予算により自分の最適なプランを選べる。
また、長期で契約する必要もなく、月々での決済が可能だ。スタートアップ企業では、経営環境や時代のニーズの変化に機敏に対応することが必須であり、急なスタッフの増減などもひんぱんにある。月々のプランによりオフィス賃貸予算のコントロールがしやすいのは大きなメリットだ。
こうしたフレキシビリティに加え、コワーキングスペースの最大のメリットは、利用者同士で気軽にビジネスプランを相談したり、投資家を探したりとネットワークを築くことができることにある。
【次ページ】半数超の利用者がコワーキングスペースでしていること
関連タグ
PR
PR
PR