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  • 2017/07/04 掲載

日産自動車がNoSQLでアプリを3/4に圧縮、クラウドによるサイロ化が阻んだAI活用

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日産自動車は、2020年までに自動車のコネクテッド化を進め、本格的な自動運転を実現するために、いま社を挙げて爆走中だ。そのような状況で、先進的な自動車技術を支えるIS/ITシステムも急ピッチで整備している。従来のサイロ化した自社システムを統合するために、マークロジックのエンタープライズ向けNoSQLデータベースを採用し、今後約2年をかけて「Integrated Data with Data Hub」を構築していく。これらの取り組みについて、元グローバルコーポレートIS/IT担当の行徳セルソ氏、グローバル情報システム本部 アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部 部長 加藤 淳氏が語った。
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日産自動車
監査役室付
行徳 セルソ 氏


日産自動車のIT/IS部門が抱えていたシステムの深刻な課題とは?

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 日産自動車は、グローバルで6つのリージョンを分けて、ビジネスを展開している。そのため同社のグローバル情報システム部(グローバルIS/IT部門)も、これら6つの地域で個々にシステム部員を配置している形だ。現在、グローバルIS/IT部門の人員は1300名を超え、うち日本は約550名もの大所帯だ。

 すでに同社は、2017年から2019年までの新戦略を今期から開始している。グローバルIS/IT部門でも“INNOVATE”をスローガンに、「ビジネス価値の最大化」「ビジネスに対する迅速なサービス」「デジタルテクノロジー・プラットフォームの整備」という3本柱で、IT戦略を推進しているところだ。

 このうちのデジタルテクノロジー・プラットフォームの中核技術となるのが、マークロジックのエンタープライズ向けNoSQLデータベースだ。監査役室付の行徳セルソ氏は「このプラットフォームは、いよいよ今年からフル稼働体制に入ります。従来のアプリケーションも2000個から1500個まで削減する予定です」と語り、IT環境の効率化とスリム化を進めていく方針を明らかにした。

ITのサイロ化により、データの活用が進まず

 同社の加藤淳氏は、従来のITシステムが抱えていた課題と、ITシステム整備後の改善点などについて、将来像を交えて詳しく解説した。加藤氏は、グローバルIS/IT部門で、各地域に対する横串機能を司るアフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部の責任者を務めている人物でもある。

photo
日産自動車
グローバル情報システム本部
アフターセールス・ワランティ&クオリティシステム部
部長
加藤 淳 氏

 加藤氏が主導する部門では、顧客に近い部分でのソリューションを提供するカスタマー・エンゲージメントを担っている。車両の販売後に、車検や各種アクセサリーなどに付随する部品類をグローバルに供給するアフターセールスや、自動車の品質に関わる安全性を担保するサービスを提供している。

 現在ほとんどの大手企業のIS/IT部門では、少なからず似たような悩みを抱えているはずだ。それはシステムのサイロ化という課題だ。ごたぶんに漏れず、日産自動車も従来のITシステムがサイロ化していたそうだ。

「これまでの歴史的な経緯もありますが、特定スコープを継ぎ足しながら開発を進めてきた結果、システムが乱立してしまいました。それに伴ってデータも散在しており、エンド・ツー・エンドでの分析もできませんでした。そのため何かビジネスを推進するために意思決定をしようとしても、鮮度や精度の高いデータを見つけられない状態が長く続いていたのです」(加藤氏)

 また、昨今のデジタルトランスフォーメーションの流れの中で、ベンダーなどが提案した新しいソリューションを地域部門ごとに取り入れてしまい、本部での統制がうまく取れなくなることもあったという。

「さらにクラウドの活用によって、データをアップしても、そららのデータソースを探し出すのに苦労したり、必要な形式に変換することに手間がかかっていました。AIを活用するにしても、求められるデータを必要な形式で相手に渡さなければ、期待した結果は得られません」(加藤氏)

 また、アプリケーションにもライフサイクルがあり、新しいものに取り替えれば、そこに新たなデータソースが生まれ、データの管理もいっそう複雑化し、サイロを生み出してしまうという悪循環に陥ってしまうことになりかねない。残念ながら、同社も「エンタープライズ・データマネジメント」と呼べるようなレベルには、まだ遠い状況にあった。

 そこで同社は、まずはシステム全体の統合化を目指すことにしたという。これまでサイロ化していたデータやアプリケーションを集約することで、精度と鮮度をしっかりと管理し、タイムリーに必要な情報をやり取りできる「Integrated Data with Data Hub」(以下、Data Hub)の構築に取りかかった。

【次ページ】Data Hubに構造化/非構造化データを統合、高速に活用可能に

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