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2017年09月04日

MRT 馬場稔正社長が語る、「医師の時間をシェアリング」で拓ける可能性

遠隔地にいる医師と患者を結んで診療を行う「遠隔診療」。これまで原則禁止と考えられてきたが、規制緩和やスマホ、通信インフラの普及が後押しとなり注目を集めている。スマホを使い、遠隔地の医師から健康相談や診療を受けられる「ポケットドクター」と呼ばれるサービスを展開するのがMRTだ。「医師の生産性向上に役立つサービスを医師目線でリリースしたい」と語る同社 代表取締役社長 馬場 稔正氏に、サービスの狙いや今後の遠隔診療におけるテクノロジー活用の可能性について話を聞いた。

(聞き手/構成:編集部 中島正頼、執筆:阿部欽一)

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MRT 代表取締役社長
馬場 稔正氏


「命が救われた経験」から、ドクターがそばにいる安心感を世界に

――これまでのご経歴やMRTのビジョンについて教えてください。

馬場氏:医療との出会いは、中学生くらいまで小児ぜんそくを患っていて、入退院を繰り返すような子どもだったことにさかのぼります。しかし決定的に医療に目覚めたのは、20歳のときに交通事故で生死を彷徨った経験からです。医療に命を助けてもらったのだから、今度は自分が医療に貢献したい、と考えるようになりました。こうして2000年、27歳のときにMRTに参画しました。

 私は医師ではありませんが、「医師がそばにいる安心感を世界中に広めたい」と東大医学部卒の医師と共に設立したのがMRTです。2014年12月にマザーズに上場し、2016年3月には経産省主催の「第1回ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」で優勝することができました。

――MRTのビジネスモデルの特長はどこにありますか?

馬場氏:3つの「医師プラットフォーム」と呼ぶべきマッチングプラットフォームがビジネスモデルの特長です。1つ目は、医師と医局を結ぶ「ネット医局」で、300の大学医局が登録する医局内の業務を効率化するためのグループウェアです。

 2つ目は、医師と医療機関のマッチングプラットフォームである「Gaikin」で、約2万人の医師、約1万の医療施設が登録し、外勤したい医師と医師が必要な医療機関とをマッチングしています。そして、3つ目が医師と患者・相談者のマッチングサービスである「ポケットドクター」です。

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医療に命を助けてもらった経験から、今度は自分が医療に貢献したいと考え、東大医学部卒の医師と共にMRTを設立したという馬場氏


――東大発ベンチャーというのが特色になっていますね。

馬場氏:おかげさまで口コミの紹介を中心に優秀な医師に会員登録をいただいています。また、「医療現場主義」を掲げている点も特長です。私と公認会計士以外はみんな医師で、取締役の70%が医師で構成されています。

「ドクターの時間をシェアリング」するサービス

――「ポケットドクター」について詳しく聞かせてください。

馬場氏:ポケットドクターには2つのサービスがあります。かかりつけの医師に遠隔で再診を受けられる「遠隔診療ポケットドクター」と、自分の好きな日時に予約し、待ち時間なしで専門医を選んで健康相談ができる「遠隔健康相談ポケットドクター」の2つです。

 「遠隔診療ポケットドクター」では、予約から診療、決済、処方箋や薬(院内処方)の配送サポートまでを、アプリを使ってワンストップで行うことができるため、医療機関が自宅から遠い場合や、高齢者で通院自体が困難な場合に、気軽に再診を受けられるメリットがあります。全国350以上の医療機関が登録しており、医療機関の先生からも、スマホの利便性や遠隔診療のメリットについてご評価いただいています。

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(クリックで拡大)

かかりつけの医師に遠隔で再診を受けられる
「遠隔診療ポケットドクター」


――「遠隔診療ポケットドクター」の背景や狙いはどこにあるのですか?

馬場氏:医師不足や地域偏在、医療費高騰という課題は誰もが認識しているところです。我々は、医師の生産性向上を医師目線で実現したいと考えました。

 たとえば、慢性疾患で同じ薬を飲み続けている人もいれば、急性疾患の患者もいます。また、隔離の必要なウイルス性疾患の患者もいます。このように、外来の現場ではあらゆる患者の来院を前提にしています。しかし、たとえば慢性疾患であれば、信頼関係に基づいて在宅で薬の処方を行い、病状で変わったことがあればクリニックに来院するという柔軟な診療形態が実現できるかもしれません。そうすれば、医師の生産性は向上し、上述した課題を解決する糸口になります。

――技術革新や規制緩和により、遠隔診療のニーズは高まってきました。

馬場氏:「遠隔診療ポケットドクター」の特長は大きく2つあります。1つ目はドクターの生産性向上で、遠隔診療に向いた患者を遠隔で診ることで、生産性を高めることができ、時間を有効に活用できるようになる点です。

 2つ目は患者の利便性で、患者にとってメリットのあることは、医師にとっても受け入れられやすいということです。医療の現場も、サービス業として競争が激化しており、相変わらず医師不足は叫ばれている状況です。その意味で、このサービスは「ドクターの時間のシェアリング」と位置づけられるのではないでしょうか。

――マネタイズについて教えてください。

馬場氏:医療機関からシステム利用料をいただいています。2016年4月のサービス開始から3年間は無償でと考えていましたが、サービスの刷新に伴い2017年5月から有料化しました。患者側のシステム利用料は無料で、別途医療機関への医療費支払いが必要です。

――サービスの競合優位性はどこにありますか?

馬場氏:遠隔診療ポケットドクターの優位性は「画質」と「特許技術」の2つです。医師は医療ミスを恐れますから、鮮明な画質の実現には特に力を入れました。また、詳しく見たい箇所を指定できる指さし機能や赤ペン機能も、共同開発先であるオプティムの特許技術で、高い評価を得ています。

 やはり、スムーズな操作感を実現しないと、結局のところ診療時間の短縮化にはつながらないのです。これらはオプティムの技術力があってこそ実現できたものです。

【次ページ】 夜中に胸が痛む…そんなときビデオ通話で医師に健康相談

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