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  • 2017/09/01 掲載

SDGsの全体像を徹底解説、国連が企業に期待しているのはこれだ!

新連載:誰でもわかるSDGs解説

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今年、一斉に動き出した国内のSDGs。政府、企業、自治体、市民社会、大学など、多様なセクターが持続可能な社会という共通のゴールに向けてスタートを切った。最近では、外務省によるピコ太郎をSDGsプロモーターとした普及啓発をきっかけに、お茶の間にも「エス・ディー・ジーズ」という言葉が広まりつつある。しかし、SDGsは政府やNGOのみならず、民間セクターを巻き込んで、取組むだけの意義はあるのだろうか。そして、ビジネスにSDGsを取り込むには、どういったアプローチがあるのだろうか。まず、SDGsとは何かを皮切りに、国内の取組み状況とビジネスとSDGsの関係について解説する。

SDGs.TV/(株)TREE 水野雅弘・宮城崇志

SDGs.TV/(株)TREE 水野雅弘・宮城崇志

SDGs.TV/(株)TREE 水野雅弘
1988年telephony設立(現社名TREE)。顧客マーケティングコンサルタントを経て、2006年より地球環境映像メディアGreen TV Japan代表。政府、NGO、企業の環境普及啓発プロモーションから、ICTを活用したサステナビリティ人材教育に至るメディアプロデューサーとして活躍。16年SDGs.TVを立ち上げ。

SDGs.TV/(株)TREE 宮城崇志
大手広告代理店コピーライターを経て、上智大学地球環境学大学院にて環境・エネルギーをテーマとした社会実証研究に従事。2014年から(株)TREE地域デザイン事業部プロジェクトマネージャーとしてSDGs、ESD、地域再エネ人材育成事業などを担当。東京商工会議所エコ検定試験教科書執筆、及び委員等。

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SDGs 世界を変えるための17の目標
(出典:国連広報センター)



SDGs(持続可能な開発目標)とは何か

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 SDGsは、「Sustainable Development Goals」の頭文字だ。日本語では「持続可能な開発目標」となるが、「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という呼称自体が世界共通のものとして認識されており、国内でもそのまま使用することが推奨される。

 SDGsは2015年9月、国連193の加盟国の全会一致で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ(以下、2030アジェンダ)』の中核をなす世界共通の行動目標である。目標は、社会開発、経済成長、環境保全を網羅する形で17に分類され、目標ごとに169のターゲットと230の指標が整理されている。

 カラフルな17のアイコンは、この目標を視覚的に伝達するための工夫である。国内では、国連広報センターのクリエイティブボランティアに博報堂が協力し、日本語版のアイコンの制作に取り組んだ。

 SDGsの中身は、2000年に採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として、また「リオ+20」(2012年)での成果文書(環境、経済、社会の三側面の統合)を踏まえて、かつてないほどの世界中の多種多様なステークホルダーが関わって出来上がった。従って、文章はやや官僚的な言い回しではあるものの、サステナビリティに関する世界の考え方がここに凝縮されているといえよう。

 その理念は、「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」に表れている。従来の途上国における貧困の解消のみならず、グローバル市場経済の拡大のなかで格差社会の歪みに取り残された人たちの貧困や教育、雇用など、先進国においても新たな社会課題が顕在化している。

 こうしたすべての国・地域の人々を包摂した普遍的な問題、さらにはエネルギー、都市インフラ、ライフスタイルなど2000年代以降の新たな課題を包括する目標としてSDGsは生まれた。

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7月17日、ニューヨークの国連本部で開催された
SDGsの実施を検証するための
「国連ハイレベル政治フォーラム(High-Level-Political-Forum)」

SDGsの3つの特徴

 ここで、SDGsの特徴を見ていきたい。まず、第一に、SDGsは途上国に加えて、先進国も含むすべての国・地域が対象だ。MDGsなど従来の開発目標は、途上国を主な対象としていたが、SDGsは先進国も自ら国内で取り組むべき課題や目標として置き換えられる。いまや、持続可能な社会は、世界全体で取り組むべき目標という訳である。

 加えて、SDGsは法的拘束力を持たない国際的合意のため、目標達成に向けた行動や取組みは各国に委ねられている。これは、参加する自治体や企業、NGOにとっても同様で、自らが優先課題を抽出し、意欲的な目標を設定することもできる。したがって、あらゆる場面、階層でSDGsをツールとして、持続可能な社会を目指す取組みに活用していくことができる。

 第二の特徴は、環境、経済、社会の3つの側面を統合する考え方が明確なことだ。17の目標には人の生存に関わる基本的ニーズに以外にも、環境、経済、社会の諸課題を包括的に扱っている。

 貧困の解消を1つ取り上げてみても、気候変動による農作物への影響、公正な就労機会の創出、女性の地位向上など、さまざまな問題が複合的に絡み合っており、個別の目標達成に取り組む場合にも、必ず他の目標との不可分性を考慮した、分野横断的なアプローチが不可欠であることを強く意識するものになっている。

 第三の特徴は、目標達成には、多種多様な関係する主体が連携・協力する「マルチステークホルダー・パートナーシップ」の必要性が明記されている点だ。分野横断的なアプローチのためには、協働による実施体制や行動計画が必要となり、国やセクター、さらには生産者と消費者などの共通の目標を掲げることで生まれる多様なパートナーシップが、新たな課題解決の枠組みやイノベーションを生み出すことが期待されている。今回、あえて17番目に「パートナーシップ」を目標として位置付けたことに、SDGsの実現手段を強く打ち出すねらいが表れている。

【次ページ】オムロンに見るSDGsをビジネスに取り組む意義とアプローチ

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