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  • 2019/08/08 掲載

auフィナンシャルHD 勝木朋彦社長に聞く、すべての人を巻き込む金融「第二波」の破壊力

FinTech Journal創刊記念インタビュー

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2019年4月1日、金融持株会社「auフィナンシャルホールディングス」を立ち上げたKDDIグループ。銀行、決済、資産運用といった金融グループ各社をauブランドの下に統合し、スマホ・セントリックな決済・金融体験を総合的に提供する「スマートマネー構想」を進めていくという。同社 代表取締役社長 勝木 朋彦氏に、これまでの金融とこれからの金融、新しい金融プレーヤーが何を強みにどこへ向かうのかなどについて話を聞いた。

聞き手:編集部 松尾慎司・山田竜司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 松尾慎司・山田竜司、構成:吉田育代

画像
auフィナンシャルホールディングス
代表取締役社長 勝木 朋彦 氏

インパクトがまったく違う金融ムーブメント第二波が始まった

 金融業界では、2000年前後に、ネット銀行、ネット証券などネット専業系のプレーヤーが参入しました。これはいわば第一波の動きで、店頭接客、紙の書類、各種手続きといった機能がインターネット上に置き換えられていきました。

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 ネット証券のほうが対面証券よりも手数料が安い、ネット銀行のほうが金利が高いなど、お客さまにとってコスト上のメリットは多大にあったものの、これを享受されたのは比較的金融感度の高い方々でした。

 最近起こっているのは第二波の動きです。これは、ネット化はもう当たり前とした上で、金融以外の異業種が続々参入してきているということです。

 決済分野でいえば、たとえば各銀行系列のカード各社がネットワークを構築して、加盟店を開拓・管理する会社があって、クレジットカードを発行する会社があるといったように、クレジットカード業界の構造というものがありました。

 さらに、それを破壊するようなPayPay、Origami、LINE、メルカリ、楽天などの新しいプレーヤーも登場しました。たとえば、〇〇ペイで支払うと各社が提供するポイントが付与されて、その経済圏で買い物に使えるようになります。

 すなわち、第一波よりも裾野の広い、生活全般に影響のあるような領域に金融が広がってきている、それが今の状況でしょう。第二波は、金融感度の高低問わず、生活者すべてを巻き込むような影響力を持っていて、第一波のときとは裾野の広さやインパクトの大きさがまったく違うのです。

 現在、金融業界にはさまざまなプレーヤーがひしめいていますが、この先はまだまだ経済圏の勝敗はつかず、しばらく混沌とした競争が続くと思います。QRコード決済に限っていえば、黎明期は乱立していた中国はすでに2つに収束されました。

 日本はまだしばらく、合従連衡があるかもしれないし、淘汰が進んで脱落していくところが出てくるのかもしれませんが、混戦状態が続くのは間違いないでしょう。

 また、先駆者に関していえば先行投資が莫大です。「還元額20%」などと掲げれば決済流通額は上がります。しかし、それが勝ちを意味するのかというとそうでもない。たとえば、au PAYの登録ユーザーはこのところ急激に増えて2019年6月には300万人を突破、決済額もどんどん上がっているんですが、絶対数という視点では追いかける立場かもしれません。

 しかし、莫大な先行投資を行っているかというとそうではないですし、何をもって勝ちとするかというところの座標軸もまだ整理できていないと思います。

 ここから先、ビッグデータを集めて、顧客分析をして、本業へのシナジーを考える、クロスセルで他の金融商品を使ってもらうなど、そういうモデルも日本ではこれから出てくるので、どこが勝ち残るかはまだ予断を許さない状況です。

photo

金融持株会社を立ち上げた狙い

 こうした中で、金融中間持株会社を立ち上げたのは、我々もau経済圏というものを考えていこうというときに、統率力のある組織が必要だったからです。

 これまでバラバラに金融サービスを立ち上げてきましたが、必要な方に、必要なとき、必要な金融商品や機能を的確にお届けできる体制を整備しようとすると、お客さまに対して1つひとつの会社として向き合うのではなく、再構築や役割の調整を行った上で、戦略実行のスピードアップを図るためにもグループ一体となって取り組んだほうがいいのは自明です。

 そのためにauフィナンシャルホールディングスというものが取りまとめ役になって戦略を実行していこうということになりました。こうした動きは他の企業グループでも見られるもので、一貫した顧客体験、一貫した戦略、これらを実現し、実行するために体制を整える時代なのだと思います。

 我々が勝負する上での強みは、何といっても通信事業との融合です。たとえば、皆さんは今月ネットショッピングでいくら買い物されましたか?同じ額を来月も買われますか?分からないですよね。

 しかし、我々は毎月確実に通信料金というものをお客さまからいただいていて、それに対してポイントも還元しています。お客さまとの関係が途切れないという意味では究極のサブスクリプションモデルです。それに加えて我々は、世帯向けであれば「auひかり」など、契約型で長期にわたる関係をお客さまとの間で構築しています。

 その接点を金融サービスでどう生かすか、どの金融サービスとの親和性が高いかといったことを今一生懸命研究しています。これはやり方によってたくさんあるということが分かってきていますが、詳細はまだちょっと企業秘密とさせてください(笑)。

【次ページ】金融「体験」のワンストップ化を進めていく必要性

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