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  • 2007/10/10 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(1)いまなぜ「1枚企画書」がもてはやされるのか

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いま、ビジネスの提案の場面で「1枚企画書」というキーワードが飛び交っています。「今度のプレゼンは簡潔に『1枚企画書』でやってくること」と指示される職場や、複数枚の企画書は受け付けず「1枚企画書」が定着している職場もあります。この連載では、「1枚企画書」ブームのきっかけを作った著者が、会社や部署で効果的に導入するための実践的な講義を行います。第1回は、なぜ複数枚ではなく「1枚企画書」なのかを3つのポイントを挙げて説明します。これから本格的に取り組みたい経営者や経営企画に携わる方のために、「社内ルール化のための12のヒント」を毎号の末尾に設けますので(会員限定)、あわせてご覧いただければと思います。

竹島 愼一郎

竹島 愼一郎

コンセプチュアルデザインラボラトリ代表
早稲田大学卒業。広告会社でコンセプトプランナーとして活躍後、独立。ロジックとイメージの統合を目指す「コンセプチュアルデザイン」を提唱し、それを形にした『パワポで極める1枚企画書』(アスキー)が、「1枚企画書」ブームの火付け役となる。最新刊『PowerPointでマスターする 「見える」企画書&プレゼンの極意』(アスキー)など企画、プレゼン、図解関係の著書多数。韓国、台湾、中国での翻訳も、現在進行中を含め計15冊を数える。

「1枚企画書」が必要とされる時代背景


※いずれもクリックで拡大
6枚からなる企画書の例
 通常、私たちがプレゼンの場面で提案するのは、このような複数枚の企画書です。これを紙芝居形式で1枚目から、この場合、最後の6枚目まで順番に見せていくことになります。


 もちろん、こうしたテキスト主体の形式や、最初から最後まで順番に見せる見せ方(方法)自体、何ら問題になるものではありません。


 ただ昨今、プレゼンを1枚の企画書で行おうという傾向が強まっています。その理由は、いくつか考えられますが、簡潔明瞭に自分の言いたいことを表現し、それをできるだけ短時間で伝えるべきである、という昨今の「スピード企画」「スピード決裁」の風潮に応えたものだというのが一番の理由だと思います。


 提案を行おうというクライアントに対して、「御社にいま必要なことは、これです」と言って、差し出されるものがたった1枚で言い尽くされていたとしたら、それに勝るものはありません。つまるところ、企画というのは「簡潔に言って、こういうことだ」ということを直言するためにあります。長々と説明して、やっと説得できた、というのは企画提案の場合、ほとんどないといっても過言ではないでしょう(これは後述します)。


「1枚企画書」のメリット(1)
全体像を見せられる


※クリックで拡大
複数枚の企画書をそのまま1枚にまとめた例
 複数枚の企画書を、そのまま1枚にしたのがこの企画書です。盛り込んだ要素はまったく同じですが、6枚の内容がたった1枚の中にきれいに整理されていて、なおかつスペースが少ない(複数枚の1/6)にもかかわらず、言わんとしていることが目にした瞬間に伝わってくるかと思います。

 これが「1枚企画書」のメリットです。要するに、1枚で、その企画の「全体像が見せられる」というのが最大の特長なのです。

 企画というのは、完成するまでに思考を深めて、提案するに足る内容にまで高めていかなければなりません。そして企画書というステージでは、その全体像がどのようなものであるかをできるだけ簡潔に解き明かされていなければなりません。

 しかし、企画の初心者が陥りやすい点はここにあります。

 ものすごく時間をかけて多くのことを考えたのだから、それをそのまま紙に書いて「これだけのことを考えました」とすべてを示そうとするのです。「全体像を示す」ということと「すべてを見せる」ということとは似ているようで、まったく異なることです。

 企画書とは、考えに考え抜いた思考の道筋や苦労の跡を見せるものではありません。相手にとって、どれだけメリットがあるかをわかりやすく示す場であり、その場合、「わかりやすい」というのは、理屈が「目に見えるように」わかる、ということを意味します。つまり、全体像を「形として」見わたせるものがすぐれた企画書なのです。

 「1枚企画書」は、見た瞬間、考えた結果が何となくわかります。この「何となくわかる」ということが企画書では意外に大切なことなのです。それは、「1枚企画書」の全体イメージが、そのまま企画内容理解への導入部として機能しているからです。

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