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  • 2013/02/04 掲載

マイクロソフトはクルマとITの融合する世界で輝けるか?その先にあるビッグビジネスの萌芽

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クルマとITの融合が急速に進んでいる。トヨタや日産など国内の大手自動車メーカーも、スマートフォン対応やテレマティクスの活用によって、自動車に新しい価値を吹き込もうとしている。海外でも、グーグルが米国で無人運転カーを公道試運転できる免許を取得し、実験を繰り返していることは有名な話だ。こうした中、市販のプラグインハイブリッド車(PHV)に機器を取り付けることで、各種運転情報の取得や、タブレット等で走る・曲がる・止まるといった制御を実現した“ロボットカー”を提供する日本のベンチャー企業「ゼットエムピー(ZMP)」が注目を集めている。それをクラウドやビッグデータといったITの面から支援する立場のマイクロソフトも含めて、両社の担当者に話を聞いた。

ゼットエムピーとマイクロソフトが放つ「RoboCar PHV」

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一人乗り原動機付き四輪最新機「RoboCar MV2」。トヨタの「COMS」をベースに、ステレオカメラ、レーザレンジファインダーなどを搭載している
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ゼットエムピーとマイクロソフトが共同開発した「RoboCar PHV」。走行距離は26.4km(HVは2kmだった)、走行速度100km/h(HVは55km/hだった)まで向上した。
 ゼットエムピーは「人と機械、それぞれを理解して、それらの関係を最高に調和させる技術とサービスを提供する」を企業理念にかかげ、2001年創業、「人間共生型ロボットを開発する世界初のベンチャー企業」だ。創業以来、2足歩行のロボットやロボット家電なども手がけてきた。

 そして現在注力するのが、次世代自動車「ロボットカー」の分野だ。2009年には実写の1/10スケールのRoboCar 1/10を発売、2010年には人が乗れる実車「RoboCar MV」をリリース。

 2011年には、ハイブリッド車に取り付けることで、速度やステアリング、アクセル、ブレーキなどのセンサー情報が取得できたり、タブレットなどを使って、走る・曲がる・止まるといった独自の制御系を構築できる“クラウド・ロボカー”「RoboCar HV」を開発した。その特徴は、各種センサー情報をクラウド上のデータベースに蓄積し、ビッグデータ解析が可能なこと。クラウド連携は「RoboCar MV」の時点で実現していたが、取得できる情報量を増やし、汎用性を高めた。

 このとき、クラウド連携、ビッグデータ活用の面で共同開発に携わったのがマイクロソフトだ。ゼットエムピーのセンサー情報を、マイクロソフトのクラウドサービス「Windows Azure」に連携させることで、ビッグデータ活用の道を開き、開発者が新たなサービスを提供できる基盤を構築。2013年1月にゼットエムピーは、市販のプラグインハイブリッド車(PHV)に対応した「RoboCar PHV」を投入した。

 ゼットエムピーの取締役 営業部 部長 西村明浩氏は「RoboCar PHVは、車両のさまざな情報をクラウド側へ蓄積し、どこをどのように走行し、どのようなサービスを提供すればよいのかといった情報をアプリケーションによって分析・取得できる研究開発用プラットフォームです」と説明する。

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RoboCar PHVの内部。ゼットエムピーが独自開発したコンピューターが内蔵され、ハンドリング操作などを自動で再現できる
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RoboCar PHVのシステム構成図。CAN経由で取得したデータを収集し、さまざまな車両の情報を見える化する
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取得情報が表示される画面。CAN経由で取得した内界センサーの情報と、オプションで装備した外界センサーの情報を表示
 ゼットエムピーでは「RoboCar PHV」のほか、データ取得に特化することで公道走行が可能な「RoboCar PHV Primitive」も用意している。速度、エンジン回転数、ハンドル回転量、アクセル、ブレーキ、シフトポジション、加速度、角速度、方位など車両内部の挙動を、車載ネットワークCAN(Control Area Network)を介して取得できる。

 オプションでステレオカメラ(2つのカメラから得られた映像をリアルタイムで画像処理することで遠方の障害物を検知するセンサー)や、レーザレンジファインダー(水平面に照射したレーザー光の反射により、近傍の障害物を認識するセンサー)、IMU(加速度・ジャイロ・地磁気センサーにより、自己位置の推定が可能なユニット)といった外界センサーを搭載すれば、外部環境を認識しながら公道を走行することも可能だ。たとえば歩行者や前方の車両、障害物などを把握し、運転操作のデータを同時に計測・収集できる。

 開発用プラットフォームとして広く提供する意義について、西村氏は「オープンな開発用プラットフォームを提供することで、国内のさまざまなメーカーが参入しやすくなります。我々のロボット技術を応用し、クルマの快適性や安全性などを提供していきたいですね」と狙いを語る。

 取材した展示車では、事前に収集したクルマのデータを基に、コンピュータ側から走る・止まる・曲がるなどの動作を再現させるデモや、タブレット端末を利用した遠隔操作のデモを実施していた。また、実際に見ることはできなかったが、助手席側で自動運転をサポートする機能や、前方に走っているクルマの情報を無線で後方車に伝えて追従制御させる機能なども実験しているという。

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タブレット端末や携帯電話などからRoboCar PHVを操作。写真はタブレット端末を使用し、映像を見ながらハンドルを操作している様子
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助手席側で自動運転をサポートする実験のビデオ映像。このほか2台のクルマによる追従制御の実験の映像なども紹介されていた
【次ページ】マイクロソフトが狙う「ビッグビジネス」

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