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  • 2013/06/03 掲載

グーグルのサービス一覧まとめ、プロダクトポートフォリオでその強さを読み解く

連載:世界ハイテク企業ウォッチ

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グーグルの株価が極めて堅調です。2004年8月、同社の新規公開(IPO)時の株価は100ドル、それが、2013年5月21日には終値で900ドル超と公開時の約9倍まで上昇しました。もちろん、米国主要株価指数(ダウ)が史上最高値を更新するなど、市場全体が上昇基調にあることも背景にありますが、アップルが2012年9月に700ドルまで上げてその後450ドルまで下げているのとは対照的で、グーグルの強さは際立っています。ではその競争力の源泉はどこにあるのか?それを探るため、グーグルが提供するサービスをプロダクトポートフォリオとして一気にまとめました。

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

2005年東京大学大学院情報理工学研究科修了。博士(情報理工学)。英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所訪問研究員を経て、2006年日興シティグループ証券にてITサービス・ソフトウェア担当の証券アナリストとして従事したのち、2009年3月にフューチャーブリッジパートナーズ(株)を設立。経営コンサルタントとして、経営の視点から、企業分析、情報システム評価、IR支援等に携わる。アプリックスIPホールディングス(株) 取締役 チーフエコノミスト。共著に『使って学ぶIPv6』(アスキー02年4月初版)、著書に『これならわかるネットワーク』(講談社ブルーバックス、08年5月)、『ネット企業の新技術と戦略がよーくわかる本』(秀和システム、11年9月)。『ビックデータ戦略』(秀和システム、12年3月)、『図解:スマートフォンビジネスモデル』(秀和システム、12年11月)。
ホームページ: http://www.futurebridge.jp

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アップルとグーグルは何が違うのか

 テクノロジー企業のプロダクト管理には大きく分けて2つの方向性があると筆者は考えます。まず1つは、“これだ”と決めたものに経営資源(ヒト、モノ、金)を一気に投入して、圧倒的なシェアを取るタイプ。そして、もう一つは、いろいろやってみて、うまくいったものを育てるタイプです。

 前者の集中型の代表例は、言うまでもなくアップルです。アップルの製品は、Mac、iPhone、iPad、iTunesなど両手で数える程度しかありません。

 これは、故スティーブ・ジョブズがアップルのCEOに返り咲いたとき、PDA(携帯情報端末)のNewtonなど数多くの製品をバッサリ捨てて、プロダクトをわかりやすくしたことに由来します。そして、スティーブ・ジョブズのようなカリスマが常にリーダーシップを発揮して、プロダクトを世に送り出せば、このモデルは絶大な威力を発揮します。

 ただし、本コラムの第1回 「イノベーションのジレンマ抱えるアップル、突破口に待ち受ける日本企業のさらなる苦難」でも触れたように、カリスマ亡きあと、この方針が曲がり角に差し掛かっているのも事実です。

 一方、“いろいろやって、うまくいったものを育てるタイプ”の代表例は、グーグルです。グーグルは“世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする”という使命のもと、幅広い分野でサービスを提供しています。

プロダクトポートフォリオから読み解くグーグル

 グーグルの事業は、プロダクトポートフォリオマネジメントというフレームワークを用いることでうまく説明することができます。

 プロダクトポートフォリオマネジメントとは、文字通り、プロダクトのポートフォリオ(組み合わせ)を管理する考え方です。前述のアップルでは、プロダクトが多くないので、こうしたフレームワークでは説明しにくいですが、膨大なサービスを提供するグーグルにおいては、プロダクトの管理こそがグーグルの経営にとって最も大事な点になるというのが筆者の見方です。

 具体的には、プロダクトポートフォリオは、市場成長率を縦軸、相対的なマーケットシェアを横軸として、その縦軸・横軸について、自社のプロダクトを以下の分類に当てはめます。

  1. 市場成長率 高い × マーケットシェア 高い → 花形 (Star)
  2. 市場成長率 高い × マーケットシェア 低い → 問題児 (Problem Child)
  3. 市場成長率 低い × マーケットシェア 高い → 金のなる木(Cash Cow)
  4. 市場成長率 低い × マーケットシェア 低い → 負け犬(Dog)

photo
図1 グーグルのプロダクトポートフォリオ
図の拡大はこちら
(出典:著者作成)

 上記の区分に沿って、グーグルの各プロダクトをプロットしたものが図1です。なお、グーグルの場合は、相対的なマーケットシェアよりも、ユーザー数に重点を置いているので、ユーザー数と置き換えます。

 特筆すべき点は大きく3つあります。

  1. 「問題児」をM&A、自社開発などの手段で失敗を恐れず、「花形」に育てる点
  2. ユーザー数が増えない事業については“春の掃除”などで潔くサービスを終了する点
  3. 花形事業→金のなる木へと成熟化しつつある事業についても、組み合わせによって再び花形事業へ進化させる点

 次ページでは、これを1つずつ見ていきましょう。

【次ページ】“金のなる木”を再び“花形”に

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