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  • 2014/09/04 掲載

鹿島建設のワークスタイル変革、人手不足が深刻化している建設現場はITでどう変わるか

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東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備などで人手不足が深刻化している建設業界だが、ITを活用して生産性向上や構造改革を行おうとする動きが活発化している。通常、建設の現場では、元請負会社であるゼネコンと電機や空調など得意分野に特化したサブコンが協力して工事を進めており、大規模工事になると関わる企業の数は数百社に達する。さらに公共工事や大型施工案件などではゼネコンがJV(共同企業体)を組むことも多く、複雑さはさらに増すことになる。こうした建設業界特有のビジネス環境を踏まえて、鹿島建設は工事現場で大量の設計図や資料を共有するIT基盤を構築した。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

建設業界特有の企業間連携を支援する情報共有ツールを開発

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鹿島建設
横浜支店 管理部 担当部長
持田 貢 氏
 現代の社会インフラや高層ビルなどの大規模な建築物は、どこかの建設会社が単独で請け負うことはほとんどない。多くの場合、ゼネコンやサブコン、設計事務所など多数の企業がJV(共同企業体)を構成し、協力しあうことで建築物を完成させている。その意味では各建設会社は、お互いにライバルであり、パートナーでもあるという間柄にある。

 では、そうした会社や組織をまたいだコラボレーションを行う際に必要となるのは何だろうか。SoftBank World 2014のセミナーセッションに登壇した鹿島建設の持田貢氏は、「建築物に関する詳細情報と共通認識、すなわち設計図(設計資料)を多くの会社間や関係者間で共有できなければ、建設は成り立たない」と指摘する。

 そこで鹿島建設はYSLソリューションと共同し、建設業界標準の情報共有ツールの開発に乗り出した。持田氏によると、そのコンセプトは次のようなものである。

  1. 工事関係者が「いつでも」設計資料を利用できる
  2. 現場(フィールド)や出先など「どこでも」設計資料を利用できる
  3. JVに参加する他社、協力会社や施工図会社など「だれでも」設計資料を利用できる
  4. 現場の「最新情報(設計資料、状況)」を迅速に共有できる

 こうして完成したのが、「CheX(チェクロス)」と呼ばれるモバイルアプリである。


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「パブリッククラウド(AWS)上に設計図などの各種資料を保管し、企業をまたがる工事関係者全員で情報を共有することができる。また、これらの情報はフィールドだけで使われるものではなく、各建設会社の本社や支店、設計事務所などのオフィスでも必要とされる。したがってタブレットだけでなく、PCからのアクセスもサポートした」(持田氏)

 なお、鹿島建設はアドバイザー的な立場でCheXの開発に携わり、機能検討やフィールドでの試行などを担当したものの、目的はあくまでも建設業界全体での情報共有を実現することにある。鹿島建設が同アプリによって利益を得る意図もなく、「CheXを利用する際には、一般ユーザーと同様に料金を支払っている」と持田氏は言う。

【次ページ】現場で日々行われる「巡回確認」の業務効率を大幅に改善

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