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2018年01月10日

ガートナー ジョーンズ氏が解説

Windows 10への移行方法、2018年末までに企業の8割が使用へ

2015年7月に一般向け提供が開始されたマイクロソフトの最新OS「Windows 10」。その最大の特徴が、「Windows as a Service」というキーワードだ。Windows 10では、OSが常に最新の状態になっていくわけだが、企業は必ずしも変化を求めないケースもある。また、コストの問題もある。一般向けに無償配布しているものの、Enterprise版限定の機能も多いため、やはり多額の費用がかかる。こうした変化をどう捉えて、Windows 10への移行を検討するべきなのか。Windows 10の最新機能などとともに、ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのニック・ジョーンズ氏が解説した。

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Windows 10搭載端末

(出典:日本マイクロソフト)


Windows 10は、旧バージョンとどう違うのか

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 さまざまな新機能、新機軸が搭載されたモダンOSへと進化したWindows 10。ジョーンズ氏によると、「今までのOSに比べ、移行が簡単で、2018年末までに、企業ユーザーの80%がWindows 10を使用している」ことが見込まれるという。

 多くの企業にとって、アップグレードが避けられなくなるということは、自社への最適な導入タイミングを見極め、移行のためのロードマップをどのように考えていくか、しっかりとした準備が求められる。

 では、Windows 10は、旧バージョンとどう違うのか。ジョーンズ氏は設計面での進化を挙げる。

「Windows 10は、システムトレイやスタートメニューなど慣れ親しんだUIを継承しつつ、タッチデバイスなど新しいデバイスのアプリケーションにも対応する。多くのユーザーにとって、それほどの習熟化トレーニングは必要なく、従来のOSとの互換性を保ちつつ、多様なワークスタイルに対応するように設計されている」

 また、最も大きな変化は、OSが売り切りではなく、「継続的なアップデート=サービス」に変化した点だ。

「アプリケーションも、継続的なアップデートのストラテジーに基づき、Windowsストアから配信されることになる。App Storeと同じモデルで、ここが組織にとって一番大きな変化になる」

 興味深い新機軸としては、アップルの「Siri」のような仮想パーソナルアシスタントである「Cortana」や、ハードウェアの境界をなくし、アプリを異なるデバイス間で自在にスケールできる「Continuum」があり、そしてチーム・コンピュータの「Surface Hub」、ホログラムを投影する「HoloLens」のような周辺領域がある。その他に、ブラウザやセキュリティの新機能についてジョーンズ氏は以下のように語った。

「Windows 10に搭載される新しいブラウザの“Edge”が、今後のスタンダードになっていく。これに伴い、Internet Explorer(IE)は、IE 11がWindows 10で保持され、企業のレガシー・ニーズに対応していく役割を担う。セキュリティ面では、顔認識を行う『Windows Hello』や、企業データとパーソナルデータを切り分けるデータのコンテナ方式、ハードウェアの改ざん防止プラットフォームなどの新機能が搭載された。これにより、たとえば、ハードウェア障害の際に、ドライブを別の筐体に移し替えるということができなくなる点に注意が必要だ」

 これらの機能により、企業は、Windows 10に移行する前に、業務アプリをIE 11に対応するようアップデートしておくことや、自社のPCの保守、運用に関するポリシーを十分検討しておく必要がある。

移行シナリオの策定方法とは

 Windows 10の大きな設計思想の一つが、「Windows as a Service」というキーワードだ。これは、継続的にOSが最新の状態になっていくという考え方で、「Windows Insider Program」によって、新機能が開発されるたびに月次でプレビューされる。しかし、企業ユーザーの中には、必ずしも変化を求めないユーザーもいるため、マイクロソフトはCB(Current Branch)やCBB(Current Branch for Business)といったアップデート提供モデルを提供している。

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(クリックで拡大)

企業向けWindows 10のアップデートシナリオ一覧

(出典:ガートナー)


「CBは4ヵ月ごとに新しい機能をまとめて提供するモデルで、CBBは、CBのアップデートがさらに4〜8ヵ月遅れで提供されるモデルだ。その間に、アプリケーションの機能などをテストできる。しかし、アップデートの受け入れは無制限に延期できない。セキュリティFIXが受けられなくなるからだ」

 このほかにも、「Long Time Service Branch」というアップデートの間隔を2〜3年ごとに空け、その間、セキュリティFIXだけを受けるオプションもあるが、これは、安定性が重視される特定の業種などで適用されるモデルだ。

 ジョーンズ氏は、自社の環境に適したアップデートのタイミングとして以下の3つのパターンを挙げた。

積極的:
新機能などを広く実装したい企業は2016年〜2017年末までをめどに
対象を絞る:
特定のニーズを対象に導入を進めたい企業は、2016年〜2019年をめどに
保守的:
今のところアップデートのニーズはない企業は、2017年〜2019年をめどに

 いずれの場合においても、Windows 7のサポートが2020年1月に終了することから、それまでに移行作業を完了する必要がある。

「2020年1月までに移行完了というスケジュールを逆算すると、積極的な企業では、今後、2〜3ヵ月をかけてIT担当者を対象としたWindows 10に関するトレーニングを開始するというスケジュールになる。自組織だけでなく、業務アプリや関連するソフトウェアを開発する外部のソフトウェアプロバイダーなどと、移行タイムラインについて十分に話し合ってほしい」

 また、移行の難易度はWindows XPからWindows 7などへの移行に比べて容易だが、どの移行シナリオが最もコスト効果が高いか、あるいは、移行に際してのテストや修正といった全体の計画について事前にしっかりと考えておくことが重要だ。

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(クリックで拡大)

Windows 10は無償ではない

(出典:ガートナー)



移行に向けた方針と大まかなスケジュールの決定に直ちに着手すべき

 次に、導入のための準備だ。ジョーンズ氏は、以下のように導入準備を3つのステップに分け、だいたい準備には9〜12ヵ月を要すると指摘した。

・ハードウェアやソフトウェア、IT担当者や開発者などへの情報収集:3ヵ月
・エンジニアリング・テスト:3〜6ヵ月
・パイロット・テスト:3ヵ月

「移行が容易といっても、準備には最低でも9〜12ヵ月は必要だ。『待ち』の姿勢ではなく、今すぐ最初のステップに着手することを推奨する」

 多くの企業では、Windows 10への移行は、ハードウェアの入れ替えのタイミングが一つの契機となるだろう。上述の通り、Windows 10は、固定化されたプロダクトではなく、継続的にOSが最新の状態に進化する「Windows as a Service」というサービスである。

「CIOが直ちに実行すべき事項は、まず、Windows 10を管理された環境で調査し、移行に向けた方針と大まかなスケジュールを決めることだ。次に、90日以内に実行して欲しいことは、サポートや最新情報の取得についてソフトウェアのプロバイダーや社内開発者と相談し、新しいセキュリティ機能が今の運用体制にどう影響をおよぼすかを考えることだ。そして、1年以内に実行すべきことは、継続的なアップデートに対応できるプロセスを作成し、移行のプロジェクト計画を完成させることだ」

(取材・執筆:阿部 欽一)

(※本記事は、Gartner Symposium/ITxpo 2015の内容をもとにビジネス+IT編集部が再構成したものです)

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