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2018年04月03日

コカ・コーラやロレアルは何がスゴい? 6つのスタイルに学ぶ「顧客分析の秘訣」

マーケティングでは、さまざまな形で顧客を分析しているのではないだろうか。その手法は多岐にわたり、さらに見込める効果も一律ではない。では「企業は何を基準に」「どう取り組みを推進すべき」なのか。顧客分析の6つのスタイル(類型)とそれぞれで見込めるメリット、さらに顧客分析で成功する方法を解説しよう。



※本記事は「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018」の講演内容を基に再構成したものです。

古典手法でも“それなり”に効果あり

 「顧客分析の究極的な狙いは顧客によい印象を与えたうえで、自社の望みにできる限り沿った行動を起こさせることにある」──そう指摘するのは、 ガートナー リサーチ ディレクターのガレス・ハーシェル氏だ。さらに、そのための手法は6つに大別できるという。「6つの手法に良しあしは存在しない。あるとすれば、自社の企業文化に合致しているかどうかだけだ」(ハーシェル氏)。

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顧客分析は「顧客が何を優先しているのか」を理解することからはじまる

(出典:ガートナー)


 1つ目は、VoC(Voice of Customers)活動の基本となる「顧客の嗜好性把握」を追究することだ。

 たとえばオンラインでの楽曲配信を手掛けるPandoraは、サービス過程で利用者が登録した好みの曲と、そこにひもづけられた歌手の「声音」や音楽の「スタイル」、使われている「楽器」などの属性をきめ細かく管理し、利用者が好むであろう曲の類推に役立てている。

 これは多くのECサイトで広く利用されるレコメンド手法だ。未知の曲を含めて、好みの曲に出会う確率が高まることで、利用者により、ひんぱんかつ長時間のサービス利用を促すことができる。

 また、英国の大手携帯キャリアでは、英国と欧州各国を結ぶユーロスターの乗客か否かを基地局で収集される電波から把握し、「行き先を踏まえたうえで、国際ローミング用のモバイル通信サービスを車中で販売することに結びつけている」(ハーシェル氏)という。

 さらに中古自動車販売を手掛ける別の企業では、事前登録した何百万ものキーワードを使い、広告に利用された既存文書の顧客からの評価データを基に、より有効なメッセージを自動生成する取り組みを続けている。

 ハーシェル氏は「こうしたアプローチは初歩的であり、その効果は『利用顧客がこの企業と付き合ってもいいかな』と判断する程度だ。ただし、アプローチの手軽さと、“顧客から嫌われないようにする”効果があると考えれば、成果としては十分だと言える」と、説明する。

 これと類似する2つ目が、顧客の好みを把握しつつ、何らかの仕掛けで「自社商品をカスタマイズする」スタイルだ。代表例がコカ・コーラの自動販売機「フリースタイル(Coca-Cola Freestyle)」の取り組みである。これはコカ・コーラの既存飲料をブレンドし、ユーザーがオリジナルの一杯を作ることができるというものだ。

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(クリックで拡大)

コカ・コーラの「フリースタイル」


「この自動販売機の導入でコカ・コーラは、消費者に『オリジナルドリンクを作る楽しみ』という新たな付加価値を提供できるようになった。これにより、定番商品をミックスすることで新製品に生まれ変わらせることができた。さらに、『ドリンクを買う』から『ドリンクを作る』という、消費行動を変えることにも成功した」(ハーシェル氏)

 同様にアディダスはスマホで撮影した写真を基に、靴の柄だけをカスタマイズして提供するといった取り組みを行っている。すでに成功を収めてマス商品の差別化策として有効な策だ。

「情報共有」が新たな付加価値に

 3つ目は、顧客満足度のために「情報を顧客と広く共有する」方法である。そこで一定の成功を収めたとしてハーシェル氏が評価するのがデルタ航空だ。

 同社は従来、運用スケジュールを守らないことで多くの利用者から不評を買っていた。この状況を改善した手法が「運行状況の可視化」である。これにより、遅れが多いことに変わりはないものの、事前に遅延状況が把握できることで利用者のストレス軽減につながり、評判は少なからず改善された。

 また、シンガポールのある銀行では顧客の口座残高の動きなどを基に「交通費」「食費」などの支出割合を算出し、併せてその平均値を提供するサービスを開始。自分の消費傾向が手軽に把握できることもあり、同サービスは新規顧客の開拓にも確実に寄与している。

「ここで理解すべきは、ちょっと頭をひねることで、既存の情報から新たな付加価値を生み出せるということ。新たに情報を取得する手間は不要で、コストもそれだけ抑えられる」(ハーシェル氏)

 その延長上にある4つ目が、顧客の求めに応じた情報提供と、求めを支援する何らかの企業側の行動を組み合わせた「問題解決を後押しする」アプローチである。

 この手法で成功を収めたのがインドで小売流通業を手掛けるヒッポ(Hippo)である。インドの小売流通企業の多くは販売データの統合が進まず、店舗で欠品が発生することが多い。

 こうした中、ヒッポではSNSで消費者から欠品情報の提供を呼び掛けたうえで、寄せられた情報を基に欠品を補充しつつ、他のユーザーも巻き込み近隣で在庫のある店舗を教え合う活動を展開している。一連の施策は売り上げの底上げと顧客満足度の向上に着実に結びついているという。

 同様の取り組みを展開するのがリアル書店を展開する米バーンズ&ノーブルである。アマゾンが競合となる同社にとって、顧客が望む本を書店にそろえられるかが売り上げ、ひいては生き残りで鍵を握る。そこで同社はSNSを活用して顧客の声を集め、その分析を通じて地場の細かなニーズを把握し、各店の適切な在庫管理に役立てているという。

【次ページ】顧客の声はマーケティングイノベーションの宝庫

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