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  • 2018/03/27 掲載

銀行の「スマートバンキング化」が加速、6つのテクノロジーでトレンドを押さえよ

フロスト&サリバン連載 ~ICTとの融合で特定の産業がどう変化するか~

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ICTはあらゆる産業に浸透しつつある。銀行においてもICTの導入は著しい。従来の実店舗型支店中心のビジネスモデルからの脱却を試み、既存システムと新しいテクノロジーの統合を積極的に検討する銀行も増えている。こうした動きの背後には、銀行競争における3つのトレンドと、顧客満足度やサービスの向上を可能にする6つのテクノロジーがある。フロスト&サリバン ジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャの伊藤 祐氏が事例を交えてスマートバンキングの現状と将来の展望を解説する。

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバンジャパン 成長戦略シニアマネージャー。日本、シンガポール、フィリピン、タイ、イギリス等において、ビジネスプロセスリエンジニアリングやERPシステム導入、海外展開戦略策定やM&A実行支援、スマートシティのグローバルトレンド調査等のプロジェクトに携わる。慶應義塾大学にて経済学士取得。

執筆アシスタント:フロスト&サリバン ジャパン Jaewoo Kim

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本格化するスマートバンキング化、これからどうなっていくのか
(イメージ写真:Money Bright/flickr,CC BY 2.0)


スマートバンキングとは

 これまで銀行業では、顧客データや取引データを十分に活用しているとは言いがたく、各支店が個別に営業活動を行っていた。しかし近年、インターネットやスマートフォンの普及により、大きな変化がみられるようになった。

 モバイルアプリケーションを用いたデジタル支店やデジタル決済の利用が急速に増え、インターネットを通じた銀行サービスを使った新たなビジネスモデルが続々登場している。近い将来、銀行業でもモバイルが中心的に活用されるようになり、サービスの中心は実店舗型支店ではなく、デジタルプラットフォームへ移行していくと予想されている。

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金融サービスにおけるIoT:リテールバンキングの進化2017
(出典:フロスト&サリバン)


 このように、実店舗型支店を通じてしかできなかった決済や取引が、モバイルやデジタルプラットフォームを通じてできるようになっていく動き全体のことを「スマートバンキング」と呼ぶ。端的に言えば、支店業務をデジタル化していくことが、銀行のスマートバンキング化である。

 実際、多くの銀行は従来の支店や営業店を中心とする運営システムから、オムニチャネルのデジタルバンキングへと変化を図っている。銀行側はより高いレベルで顧客情報を得られるようになり、多くのデータを収集・分析することで、より個人向けにカスタマイズされたサービスを提供することができるようになる。

 このような動きは、銀行の顧客にもさまざまな利便性を与える。顧客はスマートバンキングによって、時間や場所の制約を受けることなく決済や投資ができるようになり、自分の要望に応じた商品の選択やAIによるアドバイスを低コストで受けられるようになると予想される。

スマートバンキングが必要な3つの理由

 銀行各社は時代の変化に合わせ、スマートバンキング化を急ピッチで進め、パートナーシップや独自の技術開発を通じ、ライバル銀行よりも一足早くスマートバンキングの関連技術の導入を進めようとしている。このようなスマートバンキングテクノロジーの促進・普及の背景には、下記のトレンドがある。

1. 効率化への高い意識:
近年の銀行業のグローバルトレンドとして第一に挙げられるのは、「効率化」である。銀行は多くの人員を抱えて高コストな体質になっている一方で、個別の顧客に満足なサービスを提供できていなかったという反省があり、その解決策としてスマートバンキング導入が進んでいると見られている。
2. スマートデバイスの普及:
スマートフォンやタブレットなどの普及により、顧客のニーズが急速に変わりつつある。顧客は、日常の生活のほとんどをスマートデバイスを中心にまかなうことを求めているが、銀行もその例外ではない。スマートフォンにアプリケーションをダウンロードし、それを通じて取引をすることを求めている。その要請に応えるため、スマートバンキングが発展している。
3. 新しいテクノロジーの登場:
クラウドコンピューティングやビッグデータ、AIによるデータアナリティクスなど、新しいテクノロジーの進歩と共に、これまで銀行が対応できなかった領域までサービス提供が可能になり、より高いレベルのサービス提供を図る銀行が増えている。
 スマートバンキングはこれらのトレンドに後押しされ、急速に浸透しつつある。支店中心の従来の形式からスマートバンキングへの移行が進む中、各種のテクノロジーが銀行の利便性やパフォーマンス、取引スピードの向上などに大きな効果を発揮すると見られている。

【次ページ】スマートバンキングを支える6つのテクノロジー

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