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  • 2018/04/04

NANDフラッシュメモリ市場は今後どうなる? IHSマークイット南川氏が最新動向を展望

スマートフォンなどの普及により、今やなくてはならない存在となった「NANDフラッシュメモリ」。IHSマークイットの調査によれば、2017年の同市場はスマートフォンやSSDの成長により、金額ベースで前年比40%以上の急成長を遂げたという。今後もこの成長は続くのだろうか? 半導体分野に詳しい同社の主席アナリスト 南川 明氏が世界を取り巻くデジタルメガトレンドの現状からNANDフラッシュメモリ市場の現状、そして今後の需要予測について語った。

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SSDなどで用いられるNANDフラッシュメモリ需要は今後どうなるのか?
(© breakermaximus – Fotolia)


ストレージ・クラス・メモリが登場、ただし普及には課題も

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 「次世代オールフラッシュストレージ戦略セミナー2018(主催:SBクリエイティブ株式会社 ビジネス+IT編集部)」の基調講演に登壇した南川氏はまず、世界には「人口増加」「高齢化」「都市部集中」という3つのメガトレンドがあり、今後ますますスマート社会が進展していくと指摘。その実現の鍵を握るのが、IoT(モノのインターネット)だという。

 これまでPCや携帯電話などに閉じていた情報ネットワークが、IoT技術を活用することで家庭内の家電やエネルギー機器、自動車などとつながることで「スマート交通網やスマート工場、スマートな運輸、スマートな医療など、経済をもう少しスマートにしようと動き出している」と説明する。

 このIoT技術の核となるのが、コンピューターを構成する「半導体メモリ」だ。半導体メモリには、CPUのレジスタやキャッシュメモリとして使われるSRAM、メインメモリとして用いられるDRAM、ストレージに利用されるNAND型フラッシュメモリなどがある。NAND型フラッシュメモリは、HDDよりは高速だが、DRAMと比べるとアクセス速度にギャップがあり、データ処理のボトルネックにもなっていた。

 このギャップを埋める高速な次世代の不揮発性メモリとして「ストレージ・クラス・メモリ(SCM)」が注目を集めている。代表的な製品としては、インテルが提供している「3D XPoint」が挙げられる。SCMは、NANDフラッシュメモリとDRAMとのギャップを埋められるアクセス速度を持ち、低消費電力かつ長寿命であることが特徴の1つだ。

 南川氏は「今後もより高性能な新しいSCMが開発されている。少しずつDRAMの階層を侵食していくと予想される。NANDフラッシュメモリの微細化は限界にきている」と説明する。ただし、現状のSCMは生産することが非常に難しく、時間もコストもかかり、思うように価格を下げていけないという課題があり、新しいメモリの開発が待たれているという。

自動車機器や医療機器での需要が拡大

 米国の調査会社IDCによると、国際的なデジタルデータの量は飛躍的に増大しており、2011年の約1.8ゼタバイト(ZB)から2020年には約40ZBに達すると予想されている。南川氏も同様に「IoTの登場でデータ通信量はうなぎ上りに増加する」と説明する。

 さらにIHSマークイットの調査では、2015年のデータ通信量は6ZBで、2020年にはその7倍の44ZBまで拡大すると推測しているという。また、最終的にデータを保存するストレージの容量は2015年では1.5ZBだったが、2020年には6.5ZBと約4倍になると試算している。

 現在、年間60億台の電子機器がインターネットに接続する機能を持っている。今後も産業機器などさまざまな製造機器がつながり、これらの分野が主戦場となるという。また、分野別にみると自動車や産業自動化、医療、コンシューマーなどが年平均成長率(CAGR)で2桁成長する見込みだ。

 南川氏は「大きく成長しそうなのは、自動車機器や医療機器の分野。すべての車がネットにつながっていくことが計画されている。また、家電製品もインターネット接続することが予想される。こうした機器からのデータを吸い上げて分析したり、サービスを展開する結果として、コストやエネルギーの削減につなげることがIoTの最終的なミッションである」との見解を示した。

 ではこうした取り組みはどのような経済効果が見込めるのだろうか。たとえば、インターネットに接続することで、工期短縮と品質向上などさまざまな業務効率化が図れる。IoTの活用で1%のコスト削減効果があると試算した場合、すべての産業で年間320兆円の削減効果に相当するという。

 航空機産業ではボーイングが飛行機を作るために、IoT機器を導入し始めている。これにより、同分野全体で約3兆円の燃油費の削減効果も見込まれる。また、医療分野でも約6兆3,000億円の生産性向上が図れるという。「特に日本市場は約10%程度のコスト削減効果が見込まれ、かなりの効果が期待される。また、ハード主体のビジネス展開になり、さまざまな産業が取り入れようとしている」(南川氏)

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IoTによるコスト削減効果
(出典:IHSマークイット)


今後の需要予測のカギを握るのは「中国」

 ではNANDフラッシュメモリの今後の需要はどう変化していくのだろうか? 南川氏によると、「NANDフラッシュメモリのビット成長率(出荷メモリーの総容量の伸び率)は、2000年代前半は前年度比200%を超える伸びを見せていた。その後、ビット成長率は鈍化して2010年ごろには安定的な成長率を遂げている。2017年以降は50~60%の成長率を続けると予測する」という。

 そもそも2017年のNANDフラッシュメモリ市場の規模は大きく拡大し、供給不足だった。南川氏は「NANDの需給バランスは4~5年サイクルで波を打っている。2018年、2019年とSSDの成長がNAND需要を押し上げるが、2020年頃からは中国からの供給能力拡大による需給バランスの崩れが懸念される」と今後の市場動向を見ている。

 今後の需要予測で注目すべきなのが「中国」の台頭だ。中でも、2016年に誕生した「長江ストレージ(武漢YMTC)」の存在が大きい。最近、中国は国家政策として半導体産業の強化に取り組んでおり、その躍進が市場に影響を与えることが予想される。

 NADNフラッシュメモリ市場をけん引するのは、SSDと携帯電話。特に2010年ごろはSSDの市場は小さかったが、2015年から比率が上昇して2017年には急拡大している。南川氏はSSDの比率が高まることで安定的な市況となると予想しているが、中国の市場参入により変化する可能性があるという。

 また、NANDの平均単価とビット単価の推移については、ビット単価は大幅な供給不足が無ければ、年平均25%程度で下落。2020年以降に中国からの出荷数量増加により一時的にビット単価下落が大きくなり、金額の推移は鈍化すると予測している。

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NAND需給バランス
(出典:IHSマークイット)



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