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  • 2018/04/27 掲載

ハイブリッド統合プラットフォーム(HIP)とは何か?ガートナーが構築方法を解説

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ハイブリッド統合プラットフォーム(HIP)は、IT基盤統合の鍵を握るテクノロジー基盤である。HIPは、さまざまな統合シナリオに柔軟に対応できるメリットがあるが、業界における導入実績はまだ少ない。また、ベンダーのサービスも開発途上にあり、HIPの構築は容易ではない。ガートナー リサーチのバイス プレジデント 兼 ガートナーフェロー、イェフィム・ナティス氏が、HIP構築を推進すべき理由と、どのようなプロセスで導入を図るべきかを解説した。
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ガートナー リサーチのバイス プレジデント 兼 ガートナーフェロー、イェフィム・ナティス氏


※本記事は「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018」の講演内容をもとに再構成したものです。

場当たり的な統合は、デジタルビジネス移行を阻害する

 「統合とは、技術的なことももちろん含むが、どちらかといえば、デジタル・ビジネスの“哲学”だ」、イェフィム・ナティス氏はそう話を切り出した。

 現在、世界各国でイノベーションが展開されている。新しいアーキテクチャ、手法、技術、ソフトウェア設計の方法などが生まれ、新しいベンダーが台頭している。またそれによって、新しいアプローチも出てきた。

 「この新しい流れは、バラバラな状態に存在する」とナティス氏はいう。

 柔軟性に富む新しい流れであっても、最新の統合されたインフラがなければ活用することはできない。新旧の技術、社内外のイノベーションを統合することが重要となる。

 統合は、組織に対して柔軟性を提供し、会社の自由度を上げ、より意思決定がしやすい環境を整備するものだ。何が必要な技術で何が不要な技術なのかを、自らの業界の仕事をベースに考えるべきであり、過去の投資が足かせになってはならない。

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デジタル・ビジネスの構成要素

 デジタルビジネスは、顧客、エコシステム、モノ、ITシステムの各コンポーネント、そしてアナリティクスから構成されており、お互いに依存性を持つ。これらの要素がすべて相互接続されたものが、将来的にデジタルビジネスとなる。

 違う役割、違うプラットフォーム、物理的に別々の場所にあるものをつないでいかなくてはならない。さまざまな異なるアーキテクチャを統合していく必要がある。

 しかし、多くの企業は「必要に応じて統合する」場当たり的なアプローチをとってしまう。そうすると、全体のアーキテクチャは、最終的に複雑に絡み合ったものになってしまう。

 そして、そのような複雑なアーキテクチャは、アジャイル変革への意欲を損ない、デジタルビジネス移行への足かせとなってしまう。イノベーションのコストが割高になってしまうということだ。

統合が解決するデジタルビジネスの4つの課題

 「アプリケーション・リーダーはさまざまな問題に直面しており、戦略的に考えれば考えるほど統合という解に導かれるようになる」とナティス氏は話し、それらの問題を以下の4つに集約し、解決策を示した。

・エコシステムを実現するためのAPI
・即応性のあるオムニチャネル型のCX
・ビジネス・プロセスを変革するためのIoT
・マルチクラウド統合

1.エコシステムを実現するためのAPI

 APIは、それを介してパートナーと接続できるし、イノベーションを加速する重要なものだ。APIを接続すれば統合など考えなくてもよいと思うかもしれないが、そうではない。

 APIには標準がなく、設計の志向もデータモデルも異なる。各コンポーネントは、それぞれのコンテクストの中で最も上手く機能する形で設計されている。データモデルもしかりである。

 これらの異なるAPIを制御しなくてはならない。そこで、API管理という新しい技術領域が出てきた。API管理のサービスおよびソフトウェアはすでにあるが、APIが違ったデータモデルに依存していることは解決できず、いろいろな変換が必要であることも考慮できていない。そこで、統合サービスが台頭しているというのが現状だ。

 もし、これらAPIを統合プラットフォームで統合すれば、異なるデータモデル、たとえばSNSのデータ、既存プラットフォームのデータ、Webサイトからのデータなどさまざまなデータを取り込んで活用できるようになる。

2.即応性のあるオムニチャネル型のCX

 2つ目の課題はカスタマーエクスペリエンス(CX)、UXの問題だ。多くのユーザーはスマートフォンを持ち、音声認識によるチャットボットなどのインターフェースも広がっており、UXに対する要求は高まる一方である。そして、それと同じ使い勝手をビジネスの場面でも求めるようになる。また、近い将来には、ロボットがシステムに話しかけることも出てくると考えられる。

 そうすると、多様なUXを提供する各デバイスに対して、さまざまなUXを提供しなくてはならず、これに一つ一つ対応しようとするとコストが高くつき、難題となる。

 こうしたUXの最先端においてユーザーは、Webに始まり、次にモバイルで仕事を続け、さらにオフィスでAlexa for Businessを使ったりと、多様なUXを継続的に利用することになる。

 この状況にバックエンドが対応するためには、統合がなければ不可能だ。異なるアーキテクチャ、異なるAPIを使い、インタラクションのスピードもそれぞれ異なるものをつなげる必要があるためだ。統合によって、顧客やパートナー、あるいは従業員に対して、あらゆるUXを統一的なアプローチで提供できるようになる。

【次ページ】ビジネス・プロセスを変革するためのIoT

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