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  • 2018/04/26

良品計画 金井政明 会長が「家畜化する現代人」に警鐘、人間にとって何が大切か

先進国でありながら国民の幸福度が低いとされる日本。国連が2018年3月14日に発表した「世界幸福度ランキング」では156カ国54位と、51位だった前年よりもさらに順位を落としている。良品計画代表取締役会長兼執行役員の金井政明氏は、現代人が「家畜化」していると指摘。デジタル化以前に、「人間にとって何が大切か」を考えるべきだと語った

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良品計画
代表取締役会長
金井 政明 氏

人間が「自己を家畜化」してしまう未来

 多くの企業がデジタル変革に取り組み、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン等の技術を活用し始める中、新たな課題も見えてきている。

 金井氏は東洋経済新報社主催『デジタル×CxO』で行われた講演の冒頭、「(デジタル)ツールを使ってどんな社会をつくっていくか、積極的に考えることが仕事だと思っています」と述べた。昨今、デジタル技術を業務の効率化や生産性向上に役立てる企業が増えてきているが、「今日の売り上げの規模や店舗の数にはあまり意味がない。規模が大きければ社員が幸せとはかぎらない。大企業でありながら不幸な社員がいる会社はいっぱいある」と金井氏は分析する。

 そこで良品計画では“大戦略”として「役に立つ」を掲げ、人間がいかに本来の姿を取り戻すかに注力しているという。

 「本来の姿を取り戻す」とはどういうことか。壇上のスクリーンには「良く食べ、眠り、歩き、掃く」「人間生活の回復」などの文字が映し出された。人と人、人と社会、人と自然が分断されている世の中だからこそ、動物として基本的なことを大事にしようというのが良品計画の考え方だ。その背景には、現代の私たちが「自己を家畜化」してしまっているという危機感がある。

「人間に家畜化されている動物は、本来持っている能力の中で、人間に有益な能力のみ伸ばされます。同じことを、人間は自分たちにもしていくだろうと思っています。グローバル化と言いながら、多様な文化を一切無視し、ある一つの考え方が世界に広まっている。そういう社会に適応するような能力を学校や会社で教えていると、人間が本来持っている能力、重要な心が失われるのではないかと気にかけています」(金井氏)

「これでいい」をつくる、ちょうどいいホテル

 良品計画が運営する無印良品では、2016年に「写真家が捉えた 昭和のこども展」と題した写真展を開催した。金井氏はここで展示された写真を通じ、当時の日本人の謙虚さ、素直さ、我慢強さ、助け合い、そしてこどもたちの目に宿った希望を感じたという。しかし、当時に比べて経済的に豊かになったはずの現代では、人々のつながりは希薄となり、社会には将来への不安が渦巻いている。

 「だんだん発展すると、人間は傲慢になって、無関心になって、依存心が出て。危機に向かっていきます。こんなサイクルを僕たちは持ってしまっている」と金井氏は語る。良品計画が目指すのは経済の発展の先に行きつくような豊かな暮らしではなく、「感じ良い暮らし」だという。これは、簡素であっても美しく、人や社会のことを考えた、調和のとれた暮らし方を示す同社独自の表現だ。

「僕たち(良品計画)のメッセージは、『これがいい』なんて言わないで、『これでいい』という価値観を共有していただけませんかということ。譲歩や、少し抑制した満足感を僕たちが提供できないかと。諦めや我慢ではない『これでいい』をつくっていくことをビジョンに活動をしています」(金井氏)

 その『これでいい』の一例が、2018年1月に中国・深センで開業した「MUJI HOTEL」だ。コンセプトは、「アンチゴージャス、アンチチープ」。コンセプトつくや空間デザインを良品計画が担い、ホテル内にも無印良品の製品を配置した。客室は余計な装飾を施さず、木のぬくもりや布の手触りが感じられるデザインとなっている。マーケットが高価格帯と低価格帯に二極化する中、同社は「ちょうどいいところ」を狙ったのだという。

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ビジネスへの集中や、街へ回遊する好奇心を高める、居心地のよい拠点を目指す「MUJI HOTEL SHENZHEN」。無印良品店舗を併設するほか、事務や図書室、会議室も備える
(出典:良品計画 報道発表)


「一人ひとりの生活や価値観が変わっていけば社会が良くなるのではないかと思いながら、僕たちは“すっぴん”な商品をつくっていこうと思っているところです」(金井氏)

【次ページ】良品計画の「自動運転」計画とは

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