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  • 2018/05/09

「自治体初のICO」は、名誉挽回の好機となるか?

シリコンバレーのお膝元で市債発行

仮想通貨技術を使った「ICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)の8割は詐欺と言われ、おおむねその通りだが、興味深い動きもある。カリフォルニア州バークレー市が、ICOによる市債の発行を行うというのだ。ベン・バートレット市議はこれを「Initial Community Offering」と名付けており、起債に伴う仲介手数料などの削減につなげる狙いがあるという。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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仮想通貨技術を使った資金調達手法ICOの8割は詐欺と言われるが…
(©naka - Fotolia)

シリコンバレーのお膝元の自治体がICO

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 カリフォルニア州バークレー市は、公立大学として唯一米国大学ランキングのベスト10に入るUCバークレーを擁することで有名だ。場所としてはサンフランシスコから1時間弱、シリコンバレーのお膝元とも言える立地で学生による起業も盛んな場所として知られる。

 そのバークレー市がICOを企画しているという。ICOとは単純にいうと「仮想通貨の発行により資金を調達する」方法で、一つのプロジェクトに対し企業がトークンと呼ばれる仮想通貨を発行、一般の人々がこのトークン購入により資金を提供。このトークンが値上がりすれば投資としても有効というものだ。成功例としてイーサリアムが行ったICOがよく取り上げられる。

 このICOに自治体が参入というのは世界的にも珍しい。有名なものとして、2018年2月にベネズエラが同国で産出される石油をバックとした独自のクリプトカレンシー、Petroを発行、初日に7億3500万ドル相当を集めたことが記憶に新しい。ベネズエラに対し経済制裁を行っている米国は、財務省が注意を呼びかけたが、それにも関わらずマデュロ大統領が「大成功」と発表した。

ベネズエラのICOは詐欺扱い

 その後ベネズエラ政府によると1ヶ月で投資額は50億ドルにまで膨らんだと言われる。ただし詳細は謎のままだ。もし本当ならば歴史上最も成功したICOとなるのだが、3月の時点で米トランプ大統領は「米国民、企業などがPetroを保有することを禁ずる」という大統領命令を出した。

 4月現在でもPetroに関してはクリプトカレンシーの評価サイトが「詐欺」とランクづけるなど、情報が錯綜している。

 ベネズエラと深い関係にあるロシア政府はベネズエラから提示された「ロシアから購入したトラックの料金支払いをPetroで行う」という案に悩まされているという。

仮想通貨に置き換えることで手数料を軽減

 一方、バークレーが企画するICOはバークレー市が発行する市債をブロックチェーンを用いて仮想通貨に置き換えるというものだ。市議であるベン・バートレット氏が提案した。

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サンフランシスコ湾東岸にあるバークレー。米国内でも政治的・社会的に進んでいる都市として知られる
(©Yuval Helfman - Fotolia)

 市債は主に学校、橋梁、道路などの建設、インフラ整備などが目的で発行される。しかし、従来の方法で発行すると、一般の株式などと同様に仲介手数料などが含まれ「非効率的」だとバートレット氏は主張する。

 ブロックチェーンを導入することで、たとえば学校建設、という一つのプロジェクトに対する資金調達が容易になる、などターゲット化が可能になること、仲介業者を通さないので純粋な資金集めが可能になること、小規模なプロジェクトへの資金集めができるようになること、などがメリットで、バートレット氏はこれを「Initial Community Offering」と名付けている。

【次ページ】バークレーのICOに立ちはだかるハードル

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