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  • 2018/05/19 掲載

グーグルにすらいる「職場のアホ」からどう逃げ出せばいいのか

スタンフォード教授の「アホ先生」が指南

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暴言を吐いたり、仲間をいたぶる、そんなアホが世界中の職場にはびこっている。こうした「アホ」とどう対峙いすればよいのかを研究している「アホ先生」こと、スタンフォード大学のロバート・サットン教授。サットン教授は、アホに出会ったら「断固逃げるべき」と説く。しかし、逃げるにしても逃げ方があるという。

スタンフォード大学教授 ロバート・I・サットン

スタンフォード大学教授 ロバート・I・サットン

スタンフォード大学教授。専門は経営科学・工学、組織行動論。ミシガン大学で組織心理学博士号を取得。スタンフォード大学内に職業・技術・組織研究センター、テクノロジー・ベンチャー・プログラム研究所、ハッソ・プラットナー・デザイン研究所を創設、牽引する。講演活動や企業へのコンサルティングにも積極的に携わり、2014年にはアメリカ経営者協会の「ビジネスに最も影響力のある30人」に選ばれる。主な著書に『あなたの職場のイヤな奴』(講談社)、『事実に基づいた経営』(東洋経済新報社)などがある。

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残念ながらどんな職場にも「アホ」はいる
(©ajr_images - Fotolia)

「戦うリスク」と「逃げるメリット」を考えよ

 前回、「職場のアホ」を目の前にしたときは「人は断固逃げるべき」と説いた。

 ただし、逃げるときに過激なやり方をとるのはやめたほうがいい。辞表を叩きつけたり仕返ししたりするのは想像するだけなら楽しいが、本当に実行してしまうと、ひどいことをした自分を後悔するだろうからだ。

 何よりそんな辞め方をしたら、それまで良好だった人たちとの関係まで、自分から断ち切ってしまうことになる。その後、アホなヤツが報復に走る危険もある。

 だからキレかけて衝動的に仕事を辞めたくなったときは、「ほかに選択肢はないか?」「どの程度のリスクなら負えるか?」と自分に問いかけてみてほしい。

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逃げるにしても過激な逃げ方は避けるべきだ
(©aijiro - Fotolia)

 その2つを考えた結果、ある若手弁護士の女性はひどい職場に踏みとどまった。

 彼女は連邦裁判所判事の事務官として、2年契約で仕事をしていた。若手の法律家にとって名誉ある職だ。ただし職場環境は最悪で、上司の判事はちょっとしたことですぐに怒鳴りつけるアホだった。そのせいで職場はピリピリし、同僚の事務官2人もいつもいがみあっていた。

 しかも1日12時間、休日も働かされていた……。

 しかしそれでも彼女は辞めなかった。

 なぜなら1つにはほかに選択肢がなかったからだ。また辞めたときのリスクも大きすぎた。辞めたら奨学金の返済ができなくなり、何よりキャリアに傷がついて、今後「欠陥商品」とみなされるかもしれない。

 また、彼女の場合は、2年という期限があったので、1日耐えればその分確実に終わりが近づいているという保証があったのだ。

 では期限のない人はどうすればよいのか。

「異動」という逃げ方もある

 アホなヤツからは逃げるべきだが、ひどいヤツからはできるだけ穏便な形で逃げたほうがいい。その場合、もし組織内で異動できる選択肢があるなら、辞めるよりむしろ異動することをお勧めしたい。

 つまりひどい上司がいるときは、同じ組織内で新しい部署やチームに移るなり、新しい上司につくなりするのだ。

 同じ組織の中にだって、いい上司もいれば悪い上司もいる。それはグーグルのようにいつでもフォーチュン誌の〈働きたい企業ベスト100〉の上位にランクインする会社だろうが、シアーズ百貨店やゼロックスのように〈働きたくない企業ワースト10〉に入る会社だろうが同じだ。


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 組織の中なら、どこにいい人がいてどこに害をまき散らすヤツがいるか、内部情報も入ってきやすい。アホなヤツから逃げるために、それを有効活用して異動を狙ってほしい。

 たとえば顧客管理ソフトウェアで世界第1位のシェアを誇るセールスフォース・ドットコムには、社員が異動しやすい制度がある。

 同社では、社内のチーム間でエンジニアを引き抜くことを積極的に勧めている。引き抜かれたエンジニアは元のチームの上司から許可をとらずに、別のチームに移ることができる。

 これによって毎年20%のエンジニアが異動しているそうだ。一方でメンバーが減り続け新しい人員を補充できないチームの上司は、部下に公正に接していないか、能力がない(またはその両方)と経営陣からみなされる。

 この制度のおかげで、同社に400以上あるチームのエンジニアたちは、他社に移らず同社で働き続けているという。

【次ページ】「ちょい逃げ緊急避難経路」を確保する

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