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  • 2018/08/31

旧型テレビCMの終幕 コカ・コーラが「視聴者とダイナミックに作る」理由

オンライン運用でどう化けるか

CM素材の送稿から考査、搬入までのプロセスをオンライン上で行う「テレビCMのオンライン運用」が2017年10月より国内で開始した。プロセスの高速化やコスト削減といった運用面のメリットが注目されがちだが、本当に面白いのは、実はその先に実現が期待される次世代型テレビCMにある。10年以上前からオンライン運用を実施するイギリスの先進事例を見ながら、テレビCMの未来を占う。

谷崎朋子

谷崎朋子

企業向けIT専門誌の編集記者を経て、フリーランスのライター兼翻訳家(英日)。ソフトバンク ビジネス+ITでは主に戦略やイノベーションなど経営施策に関連するIT関係の記事執筆を担当している。

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「テレビCMが化ける。オンライン運用による未来のアド・オーケストレーション、到来。」と題して、次世代型テレビCMの可能性が活発に議論された

オンライン運用で見えてきた「アド・オーケストレーション」の可能性

 2017年10月、国内でテレビCMのオンライン運用が開始された。議論自体は2000年ごろから始まっており、CM素材ファイル運用促進プロジェクトが日本広告業協会に設置されたのが2013年4月。「オンラインCM搬入暫定基準」の制定、実験や検証など長期に渡って綿密な調整が行われ、ようやく昨年秋に本格導入の運びとなった。

 オンライン運用は、CM素材の送稿、考査とのやりとり、搬入といった一連の作業をオンライン上で行う運用形態だ。搬入時間の短縮、各種業務の効率化、テープやディスクなどの物理メディアへのプリント費用を含むコスト削減など、さまざまなメリットが期待されている。

 もっとも、オンライン運用の恩恵はそれだけにとどまらない。プロセスが“デジタル化”されたことで、ソーシャルメディアとの双方向のインタラクションがより加速。リアルタイムに視聴者の反応を計測、取り入れてCMに反映させるといった、今までの“インタラクティブ”とは一線を画す次世代型テレビCMが制作可能になる。

 マーケティングや広告などの業界関係者が一堂に会するイベント「Advertising Week Asia 2018」で行われたセッション「テレビCMが化ける。オンライン運用による未来のアド・オーケストレーション、到来。」では、10年以上前からオンライン運用を実施するイギリスの先進事例を交えながら、テレビCMの未来とその可能性、課題について、先端を走る関係者たちが語り合った。

 モデレーターは、Group IMDの田中 郷資氏。同社は素材搬入事業者としてテレビCMのオンライン運用に参画しており、当初より期待されていたプロセスの合理化や高速化などは、導入から半年以上経った現在、すでに実感していると田中氏は述べる。

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Group IMD 事業開発本部兼セールスマネージャー
田中 郷資氏

 だが、広告業界が見すえるべきは、その先にある「アド・オーケストレーション」だ。アド・オーケストレーションは、広告の送稿から配信までの統合管理を意味する。テレビCMをより効果的に、より面白く提供する手段として、海外ではさまざまな事例が生まれているという。

SNS連携でインタラクティブに変わる次世代型テレビCM

 アド・オーケストレーションで実現する次世代テレビCMのうち、田中氏は次の3つをテーで、それぞれ事例を解説した。

1.インタラクティブテレビCM
2.プログラマティックCM
3.ダイナミッククリエイティブ

 インタラクティブテレビCMは、ソーシャルメディアなどでの視聴者の反応をリアルタイムにテレビCMへ反映させる。田中氏は英never.noの事例の中から、Channel 4とPlayStationとともに実施したテレビCMを紹介した。

 CMの内容は、ゲーム「Horizon Zero Dawn」のプレイ動画。CMの最後に動画内で使用された武器が何か質問され、CM終了から5分以内に「#PlayStationLive」で答えをツイートすると、抽選でPlayStation4 Proやゲームなどが当たる。当選者は、次回のCM内で発表された。Twitterでは面白いと拡散され、あっという間にトレンド入りしたという。



 もう1つもnever.noの事例だが、複数局で16夜に渡って放映されたJeepのテレビCMだ。ゴールデンタイムの人気番組で放映された同CMは、番組冒頭でSUV「Jeep Renegade」がテーマとする“冒険”を感じさせる写真を「#RenegadeLifeConteset」とともにソーシャルメディアへ投稿してほしいと呼びかける。そして、選ばれた写真は番組最後のCMで紹介し、さらにはミュージックアワード参加の旅行券が当たると発表した。



 never.no. UK, Ltd.のグループCEO、スコット・デイヴィス氏は、次のように振り返る。

「こうした仕掛けは、オンライン運用前は絶対にできなかったことです。素材を差し替えやすくなったことで、旬な素材を効果的に放映できるようになりました。Jeepの事例では、複数局に同じクリエイティブを流すのではなく、局のオーディエンスにカスタマイズしたものをそれぞれ用意しました。レクサスでも同様のキャンペーンを実施しましたが、ブランド認知度は22%向上しました」(デイヴィス氏)

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never.no. UK, Ltd. グループCEO
スコット・デイヴィス氏

 この取り組みについて、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングのメディアダイレクター、山縣亜己氏は、番組とCMの境界線がぼやけて考査に引っかかる可能性と、1本のCMにかかるコストが高くなる可能性を指摘しつつも、広告主としてはぜひやってみたいと前向きな姿勢を見せた。

 また、テレビ視聴計測サービスを提供するMedia Gauge TVのプロダクトマネージャ、山田護氏は「キャンペーンの参加者数が正確に把握できるので、局としてはうれしい仕掛けです。まずはローカル局とメーカーで始めるのもいいかもしれません。局は現在進行形での視聴率アップ、メーカーは新商品の認知度向上やサンプリングで効果が得られそうです」と分析する。

【次ページ】コカ・コーラは2週間で500通りの投稿をCM内に盛り込んだ

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