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  • 2018/06/20

歩行支援機器開発の根底に「ホンダらしさ」があったワケ

「ターゲット設定せず」でも大ヒット

いま自分の足で当たり前に歩けていても、年を取ったり、病気になって、いままで通り歩けなくなることがある。当たり前にできていたことができなくなるのはつらく、元通りに歩けるようになるためのリハビリは苦しい。こうした中、歩行リハビリの現場ではロボット技術が活用されるようになった。ホンダが開発した「Honda歩行アシスト」もその1つ。開発秘話を語った本田技研工業 パワープロダクツ事業本部事業企画部 歩行アシスト事業課 課長 浜谷一司氏が明かしたのは、開発の根底にあった「歩くこともモビリティー」という信念だった。

フリーランスライター 大澤裕司

フリーランスライター 大澤裕司

フリーランスライター。1969年生まれ。月刊誌の編集などを経て、2005年に独立してフリーに。工場にまつわること全般、商品開発、技術開発、IT(主に基幹系システム、製造業向けITツール)、中小企業、などをテーマに、雑誌やウェブサイトなどで執筆活動を行なっている。著書に『これがドクソー企業だ』(発明推進協会)、『バカ売れ法則大全』(共著、SBクリエイティブ)がある。

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本田技研工業
パワープロダクツ事業本部事業企画部 歩行アシスト事業課 課長
浜谷一司氏

「Honda歩行アシスト」とは

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 歩行困難になった人が以前のように歩けるようになるためには、リハビリが必要だ。長くつらい、苦しいリハビリに励む人たちをアシストするのが、ホンダの「Honda歩行アシスト」である。

 2015年11月に法人向けにリース販売されたHonda歩行アシストは、二足歩行理論である倒立振子モデルに基づく効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器だ。

 股関節の屈曲による下肢の振り出しの誘導と伸展による下肢の蹴り出しの誘導ができるよう、左右のモーターに内蔵された角度センサーが、歩行時の左右の股関節の動きを検知し、それに合わせて制御コンピューターがモーターを動かす仕組みになっている。これまでに全国約250の病院やリハビリ施設、介護老人保健施設などで導入され、歩行訓練や歩行能力の計測に活用されている。

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歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」
(提供:本田技研工業)

電動アシスト自転車に似たHonda歩行アシストの使用感

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「Honda歩行アシスト」の装着イメージ
(提供:本田技研工業)

 Honda歩行アシストは腰フレーム、モーター、大腿フレームの3パーツ構成。腰フレームに制御コントローラーとバッテリーを内蔵し、その下の両サイドにモーターと大腿フレームを配置している。重量はバッテリー含めて約2.7kg。シンプルなベルト機構により脱着が簡単にでき、座ったままでも装着ができる。腰フレームと大腿フレームのアジャスト機構により、幅広い体格に対応可能だ。

 装着すると、「追従モード」「対称モード」「ステップモード」という3モードの歩行訓練ができる。各モードの訓練内容は次の通り。

追従モード:装着者の歩行パターンに合わせて歩行動作を誘導
対称モード:装着者の歩行パターンを基に、左右の屈曲・伸展のタイミングが対称になるよう誘導
ステップモード:連続歩行ではなく、下肢の振り出しや蹴り出し、重心移動の反復練習をサポート

 モードの選定や左右それぞれの脚の屈曲と伸展のサポート強度の設定は、付属のコントローラーで行う。コントローラーは歩行時の左右対称性、可動範囲、歩行速度なども計測し、その場で確認することができるほか、使用者ごとに計測履歴の参照や比較もでき、パソコンで集計すること可能だ。

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付属のコントローラーでは歩数や歩幅だけでなく、歩行時の左右対称性、可動範囲、歩行速度などが計測可能
(提供:本田技研工業)

 「使用感は、電動アシスト自転車に乗っているときにモーターで押されているような感覚と同じ」と説明するのは、本田技研工業 パワープロダクツ事業本部事業企画部歩行アシスト事業課 課長の浜谷一司氏。

 実際、Honda歩行アシストを装着し、追従モードを体験してみたが、確かに浜谷氏の言っていた通りだった。普段通りに歩いていても、いつもと違い太ももの後ろが押されたり、前が押さえつけられたりする。外側から太ももの前後に力をかけることにより、脚部の伸展や屈曲をサポートしているのが実感できる。

 モーターのアシストは、平らな道を歩くときより階段や坂道を上り下りするときの方が実感しやすい。階段を上り下りしてみたが、装着しないときより脚部の負担が格段に軽い。歩行に何の支障もない筆者でさえこう思うのだから、歩行が困難な高齢者や障害者には大きな助けになるだろう。

【次ページ】二足歩行ロボットから始まった開発

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