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  • 2018/09/25 掲載

デンソー、ソフトバンクらの「学ばせ方」教えます、上場メルカリの「育て方」も公開

ポスト働き方改革時代の「学び方」

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働き方改革が進むにつれて、「学び方」の改革が望まれている。どのような学びを提供していくと、変化の激しい、不確実性の時代を生き抜いていけるのか。急成長を遂げているメルカリの働き方、新たな学び手法を提供するレアジョブ英会話、TechAcademy、グロービスの取り組みを、企業事例とともに紹介する。
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グロービス・デジタル・プラットフォーム
マネジング・ディレクター
井上陽介 氏

メルカリの昇給は“無制限”、「性善説」で最小限のルール

 グロービス井上陽介氏は6月22日、「ポストは働き方改革時代の学び方」のオープニングトークで「定型業務はロボットに代替される。そのような時代に向けどう組織を作り、どういう人材を育成すべきなのか。その適切な解を考える機会にしたいと思った」と語った。イベントの目的は、個人が主体的に学ぶ時代において、企業がどのように価値を提供するべきか示すことだ。

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メルカリ
執行役員
VP of People&Culture兼社長室長
唐澤俊輔 氏

 まずは人材育成に関して、先進的な取り組みをしているメルカリ執行役員 VP of People&Culture兼社長室長の唐澤俊輔氏が登壇した。唐澤氏は2017年9月にメルカリに転職する前、日本マクドナルドでチェンジ・エージェントとして組織内部からの変革を推進し、日本マクドナルドのV字回復に貢献した人物としても知られている。

 メルカリの守るべきカルチャーとは、「人を信じること。性善説」と唐澤氏は言い切る。ボトムを管理するためのルールは作っていないなど、最小限のルールしか設けられていない。

「社員一人ひとりがバリューに沿っているかどうかで、最適な判断を行ってもらっている」と唐澤氏。それを可能にするため情報はできる限りオープンにしており、いつでも、どこからでもアクセスできるようにしているという。「必要な情報は自ら取りに行く。自走生、主体性を大事にしている」(唐澤氏)

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 このような考えから生まれてきたユニークな制度・仕組みとして唐澤氏が紹介したのが、無制限昇給制度とチームビルディングである。

 同社では原資を持たずに昇給の上限を設けない絶対評価を採用。「Go Boldに人材を評価し、登用している」と唐澤氏。性善説に基づいているとはいえ、甘い上司の場合、バンバン給料を上げることも考えられる。そのような不公平感を防ぐための仕組みとして、同社が用意しているのがキャリブレーション会議である。「参加者は11人。2日間合宿し、給与が適切かどうか会議している」(唐澤氏)

 新入社員も例外ではない。「新卒入社時の年収も個別に決定している」と唐沢氏。というのも同社の新入社員は全員が半年~1年、インターンを経験している。その過程で実力を見て、入社時の給与を決めるというのだ。

 チームビルディングでは、ランチ・ディナーの頻度、金額、人数の制限を撤廃。「マネージャーの判断にすべて任せている」(唐澤氏)

 このような斬新な仕組みがある一方で、在宅勤務を認めないなど、世の中で先進的といわれているような仕組みを取り入れていないことも多いと唐澤氏は語る。「顔を合わせて話すコミュニケーションの効率と効果は信じている」ためだ。フレックス制を導入している同社では、コアタイムの12時から4時の間は必ず在籍することが義務づけられている。

 これまではカルチャーとバリューの浸透に注力してきたという唐澤氏。「育成まで手が回らなかった」と明かす。というのもこれまではマネージャーとなるべく人材を、中途採用してきたからだ。しかし今後は内部登用も増えてくる。つまりこれからはマネジメント教育が必要になるというわけだ。

 だが、育てるのは人事ではなく「現場のマネージャーの役割」と唐澤氏。そのための取り組みも徐々に始まっているという。「まずはメルカリのリーダー、メルカリのマネージャーはどういう人材であるべきか。その定義から始めています。トレーニングのロードマップはこれからですね」(唐澤氏)

ニューオータニ×「英会話」

 続いて学びソリューションプロバイダと同ソリューションの導入企業によるパネルディスカッションが行われた。

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レアジョブ英会話 代表取締役 中村岳 氏
ニューオータニ 人事総務部能力開発課 支配人 杉井志帆 氏

 最初に登壇したのは、オンライン英会話サービスを提供しているレアジョブ 代表取締役 中村岳氏と、同サービスを活用しているニューオータニ 人事総務部能力開発課 支配人 杉井志帆氏である。

 レアジョブ英会話は外国人講師によるマンツーマンの英会話レッスンを月額6000円程度で、個人、法人、教育機関向けに提供している。

「オンライン英会話だけではなく、講師を企業に派遣するオフラインセッションなども用意しており、すでに1700社がサービスを導入している。私たちの目標は日本人1000万人が英語を話せるようにすること。導入した企業の社員が私たちのサービスを活用し、業績が上がるよう、コンサルティングをしながら研修パッケージや教材の提供を行っている」(中村氏)

 レアジョブ英会話を約3年前に導入し、従業員の英語力向上を図っているのがニューオータニである。杉井氏は「私たちのようなシフト勤務の従業員にとって、使いやすいサービスです」とレアジョブ英会話を評価する。

 また英語力向上の成果も出ている。「TOEIC600点前後のスタッフが、2年ぐらいレアジョブ英会話で学習したところ、800点を超えるようになった。従業員一人ひとりの英語力の向上により、生産性も向上している」と杉井氏は満足そうに語る。

【次ページ】学び事例:デンソー×「ビジネスナレッジ」、ソフトバンク×「プログラミング」

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