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  • 2018/07/27

エーザイ、スターフライヤー、パルコ…“三社三様”のデジタルマーケ施策を明かす

顧客の心に「刺す」ために

「モノ消費」から「コト消費」へ。人工知能(AI)の導入、DMP(Data Management Platform)、MA(Marketing Automation)ツール、SNSの統廃合。マーケティングの環境もあり方も日々進化している。デジタルとリアルのタッチポイントを複雑に往来する顧客行動を、改めて捉え直す必要がある。旧い手法や発想では太刀打ちできなくなった今、現場で指揮を執るデジタルマーケターたちは、企業と顧客の架け橋となる部分を、データからどのように導き出そうとしているのか。エーザイ、スターフライヤー、パルコが三社三様の実態を語った。

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どんなデータが必要で、どんなテクノロジーを採用すべきか。ブランドにフィットするものは何か。単に1つ1つの技術に対応するだけでなく、デジタルマーケティングの域を越えた全社的戦略の改革が求められている

エーザイ『美チョコラ』事例、データから読み取る顧客の“暗黙知”

 さまざまな業態の中で消費の現場を見つめるデジタルマーケターは、顧客行動から得られるビッグデータをどのように分析し活用しているのか。福岡市で開催されたイベント「アドテック九州」では、エーザイ LTP推進室の柘植 泰孝氏、スターフライヤー マネージャーの米田 由紀子氏、パルコ 執行役グループICT戦略室担当の林 直孝氏が登壇。地元・福岡を拠点にダイレクトコマースのコンサルティングを手がける倉橋 美佳氏(ペンシル 代表取締役社長COO)がモデレータを務め、データと向き合うことでこれまで気づかなかった法則や意外な発見について、三者三様の事例が語られた。

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エーザイから柘植 泰孝氏、スターフライヤーから米田 由紀子氏、パルコから林 直孝氏が登壇。モデレーターは倉橋 美佳氏が務めた

 エーザイは医薬品メーカー、スターフライヤーは航空会社、パルコは商業施設。顧客がブランドを認知し、購買に至るまでのタッチポイントも実にさまざまな各社は、顧客生涯価値の最大化を図るため、オン・オフの垣根も超えたハイブリッドな施策を行う必要がある。

 エーザイ柘植氏からは、ダイレクトマーケティングのテコ入れで売上が5倍、現在成長率が最も高い製品となったコラーゲンサプリ『美チョコラ』の事例が紹介された。

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Yahoo!との取り組みで『美チョコラ』を購入するユーザは何のワードに反応しているのか、相関図をマージしたスライド

 柘植氏がダイレクトマーケティングに着手した当初、コンペとしてはコラーゲンサプリメントの『すっぽん小町』でベンチマークを行っていたという。しかし、Yahoo! JAPANとの取り組みで行った検索ワードのビッグデータから見たターゲット設定の適性を調べてみると意外な発見があった。

「データ観点から見ると、美チョコラの購入者が検索しているワードは、ロート製薬の『Obagi(オバジ)』や資生堂と近いところに位置していて、射程距離に『すっぽん小町』はない。“プラセンタ”や“コラーゲン”といったキーワードでは競合していなかった。つまり、『すっぽん小町』は“ママ”に紐づくキーワードにフォーカスしている。実は『美チョコラ』はママ層からの購入が少ない。“美しさ”や“美容”というところに、ピンポイントにフォーカスされているのがわかったのです」(柘植氏)

 これらの結果を受け、『美チョコラ』のブランドWebをはじめクリエイティブを刷新することにした。準備期間は3カ月ほど。制作にはファッションビューティーに強いフォトグラファーをアサインし、より化粧品の世界観へと寄せた。新たなクリエイティブでのPDCAは始まったばかりだが、顧客に対しての価値向上がこれからの数値に出るのではと期待を込める。

情報収集は幅広く、情報量は「選択と集中」で

 ターゲットに対しデータの観点からフォーカスを寄せていくという点では、「ソーシャルアカウントの統廃合」もある。SNSを通じてのアプローチも、ただ情報を発信し続けるだけでなく、エンゲージメントの強いものへと優先順位を絞り込んでいく。今後はヘルスケアブランド「エーザイ」として顧客データをまとめ、LINE@からのプッシュ配信へ集約していく予定だ。

「プライベート端末は男性、もう1つ女性で登録しているバーチャルアカウント端末も手元に用意し、女性にしか表示されない広告やコンテンツもチェックできるようにしている。情報のシャワーを浴びることによって、お客さまはわれわれにどのような印象を持つのか、競合はどのような戦略で攻めているのか、常にアンテナを張る。席からコールセンターの現場が見えるのも、生の情報を知るポイントになる。ときどきコールセンターで働く50~60代女性とランチ会をするんですが、ベテランの知識を提供してもらえるのも非常に助かっている」(柘植氏)

 顧客は常に比較検討をしている。意識して探しに行くこともあれば、無意識に感じ取る雰囲気のように根拠のないものも含めて実にさまざまだ。選ぶ側でなく、選ばれる立場であるということを強く意識する必要がある。顧客のペルソナ化やターゲット設定を行ったうえで、常に顧客の暗黙知を感じられるようなことをやっていこうと考えているという。

 情報収集はフレームを越えて幅広く、情報発信は選択と集中へ。最大公約数的なものを求めるやり方から、濃さや深さへ。この視点の切り替えが今後も続きそうだ。では、顧客の変化はどのような形でデータに現れ、どのような施策決定を行っているのだろうか?

【次ページ】スターフライヤーのマーケが狙う「オンとオフの連動」、約20万人のフォロワーを持つ福岡パルコの施策

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