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  • 2018/08/16

ロンドンでわかった、世界中で「路線バス」を使い倒す外国人が増えている理由 篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(101)

普段利用しない路線バスを使いこなすのは、地元であっても難しい。まして、見知らぬ土地であればなおさらだ。そこで役立つのが交通系アプリだ。とはいえ、現実の利用場面では、いくつかの課題もある。初めての来訪者もストレスなくワンタッチで使えるアプリとはどんなものか。海外の実例で考えてみよう。

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

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6年ぶりに訪れたロンドンで筆者が感じた変化とは
(©william87 - Fotolia)

来訪者にも心地よい街づくり

連載一覧
  前回指摘したように、観光とツーリズムは異なる。

 ツーリズムは、狭い意味の観光旅行者だけでなく、ビジネス客や留学生、彼らの家族など、目的と滞在期間を問わず、その地を訪れているすべての来訪者=交流人口を包摂した広い概念だ。

 交流人口の活力を地域に呼び込むには、来訪者を「一見(いちげん)客」や「よそ者」と考えるのではなく、定住者と並ぶシームレスな存在と位置づけ、滞在中に心地よく過ごせる街づくりが求められる。

 ひとつのバロメーターは、来訪者に対する公共交通機関の利便性だ。

見知らぬ街で路線バスを乗りこなせるか

 路線バスを考えてみよう。前回見たように、訪日外国人の波は全国の津々浦々に及んでいる。リピーター客ほどこの傾向が強く、個人や少人数のグループで小まめに移動することが多いため、行動範囲は電車や地下鉄が整備されたエリアにとどまらない。

 電車や地下鉄がカバーしない地域の交通機関といえば、網の目のように張り巡らされた路線バスが主力だ。駅からは遠いがバスだと近い場所は案外多い。滞在時間が限られる来訪者は時間価値が高いため、路線バスを効率的に利用するインセンティブは高いはずだ。

 ところが、バスは運行経路が複雑で、往来頻度や定時性の面で不確実性が高い。リアルタイムの動的情報が不足しているのだ。そのため、見知らぬ街で路線バスを乗りこなすのは容易ではない。

 そもそも乗り場がわかりにくい。同じ呼称の停留所が周辺エリアに複数点在していることもあり、どこから乗車すれば良いのか迷ってしまう。

 乗車中も気が抜けない。今どこを通過しているか、経路上の各停留所と現在地の位置関係が理解しにくいため、降りるタイミングを判断するのに一苦労だ。

 実は、地元住民であっても、普段使わないバス路線では誰もが経験する苦労だろう。まして、ルールや習慣が異なる外国人はなおさらだ。見知らぬ街で気軽にバスに飛び乗るのはかなり勇気がいる。

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海外で路線バスを乗りこなすのは至難のワザだ
(©janifest - Fotolia)

交通系アプリの実用面の課題は何か

 そこで役立つのがスマホの交通アプリだ。日本でも、さまざまな交通機関やネット企業から路線、運賃、所要時間、運行情報などを確認できるアプリが提供されている。

 だが、ユーザーの利便性や、緻密で正確なリアルタイムの動的情報という点で課題も多いようだ。

 緻密さや正確性では、運行各社がそれぞれに工夫を凝らしたアプリを提供しているが、急ぎの場面で別々のアプリを立ち上げるのは大きな手間だ。他社とのデータ連携や操作法の統一性、エリアを越えた利用の拡張性といった点で課題が残されている。

 もちろん、ネット企業による横断的、包括的なアプリも提供されているが、運行ダイヤが最新情報ではなく、実際の利用で乗り間違えることもある。情報の鮮度や緻密さなど「解像度」に十分とは言えない面があるようだ。

 見知らぬ街で即座に使おうとすれば、特に複数の交通機関をまたがる経路で、操作性や迅速性にストレスを感じやすい。

【次ページ】ロンドンで実感した日本の交通アプリに足りないもの

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