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  • 2018/09/10 掲載

ゲーム大国日本が“eスポーツ後進国”に甘んじている2つのワケ

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複数のプレイヤーで競い合うコンピューターゲームをスポーツとして捉える「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」。2019年の国体(国民体育大会)で、文化プログラムとして開催されることが予定され、国内でも盛り上がりを見せている。しかし、実は日本は「eスポーツ後進国」だ。海外ではすでにプロゲーマーが存在し、トップクラスは億単位の賞金を稼いでいるといわれる。eスポーツの現状と普及に向けた課題を日本eスポーツ連合 専務理事の平方彰氏が解説した。
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「eスポーツにさらなる関心を持ってほしいと」と語る日本eスポーツ連合 専務理事の平方彰氏


eスポーツは「スポーツ」なのか?

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 平方氏は、eスポーツについて「コンピュータゲームやテレビゲームで行われる対戦型ゲーム競技のことを指す」と説明する。1990年代後半に、欧米で高額賞金のかかった大規模ゲームイベントが複数開催されるようになり、プロチームやプロリーグが生まれるなどしてeスポーツというカテゴリーが形成された。

 日本では、2018年2月に振興団体である日本eスポーツ連合(以下、JeSU)が誕生した。これは複数あったIPホルダー(Intellectual Propertyホルダー:ゲームメーカーなど著作権の発生するクリエイティブを持つ企業のこと)やeスポーツ推進団体が統合されたもので、世界でも類を見ない取り組みだという。

 ただし、身体活動という点では、eスポーツはあまりスポーツらしく見えない。この点について平方氏は、体を動かすフィジカルスポーツと頭脳を使うマインドスポーツ、その中間にある「インタラクティブスポーツ」にeスポーツは位置づけられ、敏捷性や瞬時の判断力、動体視力、予知推察力を駆使する点でやはりスポーツだと語る。

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eスポーツは「インタラクティブスポーツ」に位置づけられる

 また、たとえば自動車ゲームなら、PC、コンソール、ハンドルなどデバイスをさまざまに工夫できる余地があり、多様性も確保できる。

「トッププレーヤーともなれば一日8時間も練習しており、その努力はアスリートと呼ぶに値します。また、シニア世代、女性、ハンディキャップを持つ人々もまったく同じ土俵で戦うことができる21世紀型スポーツともいえます」(平方氏)

世界では賞金総額25億円の大会も

 eスポーツは大きな経済効果をもたらしており、市場規模は右肩上がりで成長を続ける。2016年時点で4.63億ドルの市場規模があるが、このうちアジアは23%にあたる1.06億ドルを占める。

 特に盛んなのは中国と韓国だ。eスポーツを観戦するオーディエンスの数になるとさらにアジアのシェアは大きくなり(44%)、その数は5800万人に上る。2019年には市場規模は11億ドルまで伸びると予測されている。

 具体的にどのような大会が開催されているのか。すでに世界3大イベントというものが形成されていると平方氏は語る。最も大規模なのは「The International」で、「Dota2」という競技を行う。2017年大会の賞金総額は2478万ドル(約25億円)だった。

 このほかに、賞金総額225万ドル(約2億5000万円)の「League of Legends World Championship」、賞金総額152万ドル(約1億7000万円)の「Call of duty World League Championship」が続く。『League of Legends』は、世界のゲームプレーヤー1億人の4分の3がプレイしていると推測される人気ゲームだ。

 そのほかにも、ポーランドで開かれる「Intel Extreme Masters」という大会も、参加者17万3000人、経済効果は2200万ユーロ(約25億円)にのぼる。

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世界で開催されているeスポーツの大規模イベント

「世界的には、eスポーツはキラーコンテンツであり、大きな経済効果を生むまでに成長している」(平方氏)

 また海外はeスポーツ団体も活発に動いている。たとえば、2016年のリオデジャネイロオリンピックのときには、国際オリンピック委員会(IOC)を模した組織「International eGames Committee」(IEGC)が設立され、英国政府の支援のもと、ブラジルの英国大使館内でeスポーツ大会を開催した実績がある。2020年の東京五輪でも同様の大会を開催したい意向を持っているようだ。

【次ページ】ゲーム文化の違いと法の壁に阻まれ、出遅れた日本

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