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  • 2018/11/27 掲載

ヘルステック(医療テック)スタートアップ40社まとめ、命と健康守る最新技術を総覧

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ヘルスケアとITを融合した「ヘルステック(ヘルスケアテック)」が盛り上がりを見せている。かつて医療分野のプレイヤーは限定されていたが、近年、異業種の企業やベンチャー、スタートアップ企業などが加わり、新しい価値を持った医療サービスが次々と開発・提供され始めている。本稿では、J-Startup選定企業およびデロイト トーマツ イノベーションサミット参加企業などをもとに注目すべきスタートアップをピックアップし、その事業内容とともに総覧として紹介する。

ライター 森本進也

ライター 森本進也

ライターとして海外のスタートアップやECサイトの戦略を分析する記事を多数執筆。企業サイトのコピーライティングやIオウンドメディアの記事の企画・執筆も行っている。

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成長が著しいヘルステック業界。その拡大のカギを握るスタートアップを一挙に紹介する
(©wladimir1804 - Fotolia)
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インフィック:センサーを活用した高齢者見守りシステム

 介護サービスならびに介護用品の開発・提供を行っている企業。センサーを活用した高齢者見守りシステム「LASHIC(ラシク)」を展開する。

 LASHICでは、テレビ台やタンスの上に設置したセンサーで部屋の室温や湿度、照度を測定する。また、ベッドに設置したセンサーで被介護者の睡眠時の呼吸や脈拍、姿勢を測定し、被介護者に異常がないかどうかリアルタイムでモニタリングする。もし異常があれば介護者のスマホに通知が届くようになっている。介護者の労力を軽減しながら、きめ細かなモニタリングを可能にする。

https://www.infic.net/

ウンログ:「うんち記録アプリ」でお腹の状態を健康に

 大便を記録するアプリ「ウンログ」を開発・提供している企業。ユーザーは大便の状態(形状・色・大きさ・匂い)をチェックしてウンログに記録する。お腹の状態が診断されてスコアが表示され、スコアに応じてお腹の状態を健康に保つためのアドバイスが得られる。

 ウンログだけでなく腸内フローラを検査するキットも提供。腸内にいる細菌の種類・バランスを診断して健康状態をフィードバックする。

 ウンログと腸内フローラの検査キットを提供する中で得られる大量のデータを活用し、病気予防サービスの開発にも取り組んでいる。

https://unlog.me/



エネフォレスト:空気感染予防のための殺菌装置を提供

 空気感染予防のための紫外線を活用した殺菌装置「エアロシールド」を開発・提供している企業。エアロシールドは、UVGI(紫外線殺菌照射)方式を採用し、空気中の浮遊菌を89.6%減少させる。

 エアロシールドは、病院・クリニック・調剤薬局などの医療機関、食品工場・調理室・給食センター・レストランなどの食に関連する施設、高齢者センターなどの介護施設、保育園や学校などの教育施設、また人が多く集まるオフィスや図書館などの公共空間で活用される。

http://www.eneforest.co.jp/

クオンタムバイオシステムズ:安価で高性能なDNA解析装置を開発

 量子力学を駆使して、DNAの塩基配列を自動的に読み取り、解析する装置「DNAシーケンサー」を開発している。量子力学に基づく1分子電流計測技術「ゲーティングナノポア」を活用してより高精度なDNA解析を実行する。

 既存のDNAシーケンサーは一般的に1台3,000万円から4,000万円、ハイエンド機種では1億円になり、さらにDNAを構成する1塩基を解析するのに1センサーあたり10分を要する。一方のゲーティングナノポアを活用した同社のシーケンサーは価格は1台100万円程度。1塩基を解析する時間も1センサーあたり1000分の1秒に短縮できる。

 安価で高精度な次世代DNAシーケンサーは病気の原因解明、創薬研究、出生前の新生児の健康検査など医療分野で活用されることが想定される。

https://quantumbiosystems.com/

トリプル・ダブリュー・ジャパン:排泄予測ウェアラブルデバイス開発

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一般向け排尿予測センサー「DFree Personal」本体イメージ画像
(出典:トリプル・ダブリュー・ジャパン報道発表)
 排泄予測ウェアラブルデバイス「DFree」を開発・提供している。DFreeは主に介護現場において活用される。DFreeを被介護者の下腹部に装着すると、超音波センサーで膀胱の大きさの変化を読み取って排尿前後のタイミングを予測。「そろそろ排尿しそう」「すでに排尿した」という情報をスマホ経由で介護者に通知する。

 予期しない失禁を防ぎ、介護者の排泄介助の負担を軽減することを支援する。また、被介護者はおむつを付けなくて良くなるので自立支援にも役立てられる。排泄に関連したデータを収集し続け、利用すればするほど排泄予測の精度を向上できる。

https://dfree.biz/

ナノエッグ:「注射針の要らない医療」の実現

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習慣性敏感肌向けのスキンケアブランド「MediQOL(メディコル)」
(出典:ナノエッグ報道発表)
 皮膚科学に基づいた医薬品や化粧品を開発・提供している。有効成分をナノカプセル化して皮膚から浸透させる技術「DDS(Drug Delivery System)」を活用することで、有用性が高い薬剤を必要なところで効率よく作用させ、副作用を低減させる。

 このコア技術を化粧品開発へ応用しているほか、加齢に伴って生じる皮膚疾患の詳細解明をはじめ、アトピー性皮膚炎の予防や完治を目的とした新たな治療法や、肌に塗る・貼るだけのワクチンの開発、抗がん剤治療で生じる皮膚疾患予防のための外用薬開発など、注射針を使うことなく皮膚から薬剤を体内へ浸透させる医療への応用研究も行っている。

https://www.nanoegg.co.jp/

ネクストイノベーション:スマホを活用した遠隔診療

 スマホのチャットを活用した遠隔医療サービス「スマ診」を提供している企業。オンラインでの診療となるため、自宅や会社など好きな場所から直接医者の診療を受けることができる。

 まずユーザーはWeb上で会員登録を行い、花粉症、AGAなど診察内容を選択する。診察可能なクリニックが表示され、その中から診察を受けたいクリニックを選択するとAIボットによる問診が実施される。都合の良い時間にチャットで医師に診察してもらえる。診察後には医師と相談の上で決定した処方薬を医療機関から指定住所宛てに配達してもらうことも可能だ。

https://sumashin.com/



バックテック:従業員の生産性向上のために肩こり・腰痛対策

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腰痛対策サービス「ポケットセラピスト」
(出典:バックテック報道発表)
 企業の従業員を対象にした肩こり・腰痛対策ソリューション「ポケットセラピスト」を開発・提供している。ポケットセラピストでは、企業の健康増進施策の効果判定を支援する「アセスメントプラン」と、肩こり・腰痛の健康相談を行う「ソリューションプラン」が利用できる。

 「アセスメントプラン」では、従業員の労働生産性やワークエンゲージメント、フィジカル/メンタルの状態、生活習慣を定期的に評価する。生産性が低下することによるコスト損失額も算出可能だ。「ソリューションプラン」では、従業員がスマホで質問に回答すると肩こり・腰痛など痛みのタイプを診断。その肩こり・痛みの状態を理学療法士と共有したり、チャットで相談したりすることもできる。

https://www.backtech.co.jp/

ベースフード:1日に必要な栄養素の3分の1を摂取できるパスタ

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完全栄養パスタ「BASE PASTA」
(出典:ベースフード報道発表)
 1食で1日に必要な栄養素の3分の1を摂ることができるパスタ「BASE PASTA」を販売している。料理の手間と時間を少なくしながらも、栄養バランスの良い食事を取ることを可能にする。

 全粒粉の小麦やチアシードなど10種類以上の栄養豊富な食材が練りこまれている。たとえば、栄養士が食事指導に使う「食事摂取基準」における和風定食の達成栄養素数は31種中26種だが、調理時間は30分以上かかることもある。一方、BASE PASTAではゆで時間はわずか3分で達成栄養素数は31種中29種におよぶ。素早く簡単に栄養バランスの良い食事ができる点が人気となっている。

https://basefood.co.jp/

メガカリオン:iPS細胞由来の血小板製剤を開発

 iPS細胞由来の血小板製剤の開発を行っている企業。

 京都大学iPS細胞研究所江藤浩之副所長らが開発したiPS細胞を用いた血小板生産技術や、複数の日本企業との共同研究によって「ヒトiPS細胞由来血小板製剤」の臨床試験用製剤の製法を確立している。現在は、量産体制に向けて動いている段階だ。

 従来、輸血治療に利用される血液製剤の製造に必要な輸血用血液はすべて献血によって賄われてきた。しかし、献血の血液は有効期間が4日間と短く、需給調整に困難があるという。さらに今後は少子高齢化の影響で献血が少なくなり、血液製剤が不足する可能性もある。そのため、iPS細胞由来の血小板製剤への期待が高まっている。

http://www.megakaryon.com/

ユカシカド:身体の栄養状態が分かる尿検査キット

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尿で栄養の過不足を評価する「VitaNote」
(出典:ユカシカド報道発表)
 身体の栄養状態が分かる尿検査キット「VitaNote」を開発・提供している。

 この検査キットによって、健康を維持する上で欠かせない、たんぱく質・ビタミン・ミネラルの吸収量、身体のサビつき度をチェックできる。検査が完了するとWebのマイページで身体の栄養状態を確認できる。マイページでは、レーダーチャートで15種類の栄養素のどの栄養が不足しているのかを表示。さらにあとどのくらい摂取すべきかを数値で示す。ユーザーは不足栄養素を補うために各個人に合ったオーダーメイドの栄養サプリメントを購入することも可能だ。

https://www.yukashikado.co.jp/

ユニバーサル・サウンドデザイン:「聴こえ」を支援する対話型補聴システム

 対話支援機器「Comuoon」を開発・提供している。Comuoonは、難聴によるコミュニケーション障害を持つ人の発話を支援するために生まれた卓上型の会話支援機器である。

 Comuoonでは、高周波音域の音をよりクリアに聞こえやすい音に変換する。また、スピーカーの形状を卵型にすることで音が拡散せず耳までまっすぐ伝わるようにする。さらに音声を信号処理することで、より高精細で自然な音質にして脳の認識をしやすくする。

 この「Comuoon」を使用すれば、70dBの中等度の難聴であれば補聴器なしで会話可能となる。

http://u-s-d.co.jp/



リーズンホワイ:患者と専門医のマッチングを最適化

 患者と専門医をITでつなぐさまざまなソリューションを開発・提供している。

 主要なサービスは、患者が現在受けている病気の治療方針に対して複数の専門家から意見を得られるサービス「Findme」、医師の経歴や実績、医師同士の推薦などの情報を集約したプラットフォーム「Whytlink」、医薬品・医療機関企業のエリアマーケティングを支援するツール「WhytPlot」、患者の最適な病院選びを支援する病院検索プラットフォーム「yourHospital」の4つだ。

https://www.reasonwhy.jp/

レキオ・パワー・テクノロジー:発展途上国向けのジェネリック医療機器を販売

 ジェネリック医療機器を販売している企業。主力商品は妊婦用超音波スキャナーで、従来の製品よりも安価な価格を設定することで発展途上国向けに販売している。スキャナーの重さは170~270gと軽量で携帯性にも優れている。また、PCにUSB接続することで駆動電力も確保可能。停電時でもPCバッテリーで使用できるため、電力供給が不安定な環境でも活用できる点が特徴だ。

http://www.lequiopower.com/



ワイズ:オーダーメイド型脳梗塞リハビリプログラムを提供

 脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に特化したリハビリセンターを運営している。脳梗塞を患った人の半数がなんらかの後遺症を持つとされるが、従来の医療制度や介護制度では、脳梗塞後遺症に対する十分なリハビリを受けられる環境が整っていないという課題がある。

 ワイズのリハビリセンターでは、個々の利用者の状態に合わせたオーダーメイドのリハビリプログラムを提供している。ADLの改善だけでなく、職場復帰などの目標に合わせて短期から長期のリハビリプランを計画し、改善状況によってその都度計画を修正、再計画していく。

https://ys-j.co.jp/our_business.html

Canary Speech:AIを活用して認知疾患や神経疾患を早期発見

 AIを活用して会話を分析し、認知疾患や神経疾患などの病気を初期段階で発見する装置を開発している。

 アルツハイマーや認知症、パーキンソン病などの患者の会話データを大量に収集。患者らが使用する単語、フレーズの組み立て方、会話の特徴を分析することで、それらの病気に特有な会話パターンを特定して病気を検出する。

http://www.canaryspeech.com/

D&P Biotech:AI活用による遺伝子解析でカスタマイズ創薬

 AIによって遺伝子解析した結果を基に個々の患者に合わせた治療薬をカスタマイズ創薬するソリューションを研究している。たとえば予後が悪く、いまだに多くの死亡者を出している肺がんに対して、初期の非小細胞肺がん患者の手術後の予後を予測する遺伝子分析キットを開発している。

http://dnpbiotech.com/

Evasc:脳動脈瘤治療のための医療機器を開発

 脳動脈瘤用の医療機器を開発している。主力商品は脳動脈瘤治療のコイル塞栓術の補助デバイス「eCLIPs」だ。

 コイル塞栓術とは、コイルを動脈瘤に詰めることで出血を抑える手術法を指し、脳に触れずに治療でき、脳の深部でも技術的困難がないという利点を持つ。このコイル塞栓術の施行を容易にするのが同社の「eClips」で、脳動脈瘤の95%のタイプに使用可能である。

https://www.evasc.com/

eWell:訪問看護における大量の転記作業を不要に

 訪問看護システム「iBow」を開発している。iBowでは、訪問看護の記録をクラウド上で管理することを可能にして業務を効率化できる。訪問看護業務では、関連書類への大量の転記作業が伴う。iBowを利用することで入力データを帳票に自動反映することができ、転記作業が不要となる。

 また、日々クラウドで管理・蓄積しているデータを経営判断をサポートする分析データの形で抽出して、利用することもできる。

https://ewellibow.jp/index.html



FiNC:AIボットで健康・美容に関する情報を管理

 AIを活用したヘルスケアアプリ「FiNC」を開発・提供している。AIボットがユーザーとチャットしながら食事・睡眠・運動状況などのデータを収集する。そのデータに基づいて栄養士や料理研究家が監修したヘルシーレシピやフィットネスメニューなどのコンテンツを個々のユーザーの状態に合わせて提供する。

 ユーザーはAIボットとまるで人と会話するかのようにチャットしながら日々の歩数、体重、食事、睡眠の管理をサポートしてもらえる。

https://finc.com/



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【次ページ】ここまで前半20社、次ページから後半20社を紹介

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