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  • 2018/12/04

レンズを16個も搭載、Light(ライト)がカメラ・メーカーを目指さない理由

Light(ライト)が開発したデジタルカメラは16個ものレンズを搭載する。一度シャッターを切ると、異なる焦点距離を持ったレンズから複数の画像を撮影した後、先進的な画像処理技術により、高品質な1枚の画像を作成する。その高度な画像処理技術は、高品質な画像が求められる自動運転やロボットへの転用が期待される。

佐藤 隆之

佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うと共に、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」http://ctoforgood.com/を運営。

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Lightが開発した焦点距離の異なる16個ものレンズを備えたデジタルカメラL16
(出典:Welte プレスリリース)

成長著しい画像処理の技術分野「コンピュータ・ビジョン」

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 高性能カメラを搭載したスマートフォンの普及によって、今日、誰もが写真家になった。

 2015年の調査では、世界の写真人口は40億人を超え、また、1年に撮影される写真は1.2兆枚に及んでいる。

 スマートフォンユーザーの79%は日常的に写真を撮影しているという。ソーシャルメディアへの投稿、メッセンジャーアプリでの共有、フィルター加工、顔認識、位置情報の付加など、新たな写真の活用方法が次々と開発されてきた。

 産業界でも画像処理・画像認識は大きな成長が見込まれている。自律走行を行う自動車の開発には、周囲の状況を把握し、危険を察知するためのカメラおよびその画像処理が欠かせない。

 IoT、インダストリー4.0といった文脈でも、カメラで撮影された映像をもとに、機械やロボットを制御する仕組みが提案されている。さらに、ドローンに搭載されたカメラでの撮影や、セキュリティ用途での監視カメラなど、画像がもたらす可能性は大きい。

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 画像処理に関わる技術分野はコンピュータ・ビジョンと呼ばれる。同市場は、2018年時点で119億ドルの市場規模となり、さらに、2023年まで年率7.8%で成長して173億ドルに至ると予測されている。高性能カメラやセンサー、画像処理のための機械学習技術の応用が市場拡大を牽引する。

16個のレンズで撮影し、1枚の高品質画像を作り出す

 次世代型カメラおよび画像処理技術の筆頭格として注目されるのが、2013年に米国で創業されたLight(ライト)だ。同社が発売したデジタルカメラL16は、焦点距離の異なる16個のレンズを備えている。独自の画像処理技術を使い、それぞれのレンズから撮影された画像を組み合わせて、52メガピクセルもの高解像度を実現した。

 レンズの焦点距離が短いほど画角が広がり、映る範囲が広がる。逆に、焦点距離が長いほど画角が狭まり、被写体を大きく映せるのがカメラの仕組みだ。

 L16では、焦点距離28㎜のレンズを5つ、70mmのレンズを5つ、150mmのレンズを6つ搭載している。全体像を映した画像と、特定の被写体に絞った画像を同時に撮影してから、画像処理技術を使って1つの高精細画像を作り出している。1つのレンズで1つの写真を撮影する従来のカメラとは、まったくコンセプトが異なる。

 最近のスマートフォンは12メガピクセル前後のカメラが搭載され、コンピュータの画面で表示したり、印刷して個人で楽しんだりする分には十分な品質が提供されている。 L16は52メガピクセルを達成し、プロ用あるいは産業用にも対応できるレベルとなった。

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Lightのビジネスモデル

 L16が多眼カメラである利点として、3次元の奥行きを認識できる点が挙げられる。人物をはっきりと撮影し、背景をぼかす加工をかける場合に、画像処理が高い精度で行える。撮影した後に、焦点を変更するといった高度な処理も可能だ

 L16は撮影にまつわる使いやすさも追求している。ソフトウェアアップデートはネット接続を通して行われ、更新が容易だ。コンピュータやスマートフォンで画像編集を行うためのアプリも提供している。

 小型カメラなので、従来のデジタル一眼レフカメラと比べて取り扱いも楽になる。画面をタッチして操作するユーザーインターフェースは、直観的で使いやすい。シャッタースピード等は自動で設定されるが、専門的な使い方を好むユーザーは、手動で設定変更も可能だ。

【次ページ】スマホや自動運転、ロボット分野への進出も

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