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  • 2019/04/11 掲載

「お口の恋人」が「シニアの友人」になった理由

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歯につきにくいガム<記憶力を維持するタイプ>はロッテが2017年9月に発売開始したガムで、記憶力を維持する成分が配合されており、発売してすぐ当初計画の140%の売上を記録した。同社 戦略担当チューイング企画課 佐藤勲興氏は、商品開発の背景には、止まらない高齢化と、かつてガムを噛みながらバリバリ働いていた世代の引退があったという。「お口の恋人」がシニア層にどうアプローチしたのか、話を聞いた。

ライター 夏野 久万

ライター 夏野 久万

ライター。会社員時代は、求人広告代理店の営業兼ライター、出版社・デザイン会社でライター・コピーライターなどを経験。デザイン会社では不動産系をはじめアパレル系や行政系など多方面に渡る制作物(チラシ、パンフレット、リーフレット、冊子、ネーミングなど)の企画立案から執筆まで手掛ける。現在はフリーライターとして、企業をはじめ保育園や個人へのインタビュー記事、恋愛コラム、新聞・雑誌で取材執筆活動をおこなっている。 note:note.mu/natukuma Facebook:facebook.com/100022731252155 Twitter:@_Natukuma Blog:natukuma.com

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歯につきにくいガム<記憶力を維持するタイプ>
(画像提供:ロッテ)


高齢化社会ゆえに生まれたガム<記憶力を維持するタイプ>

──「歯につきにくいガム<記憶力を維持するタイプ>」とは、どういった商品なのでしょうか?

佐藤氏:この商品は、中高年の方の言葉や図形などを覚え、思い出す能力、つまりは「記憶力」を維持する、と報告されている成分であるイチョウ葉フラボノイド配糖体やイチョウ葉テルペンラクトンが含まれているガムです。2017年9月に発売開始されました。現在でも記憶力が気になるお客さまから人気を得ています。

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ロッテ 戦略担当チューイング企画課 佐藤勲興氏

──「記憶力の維持」に着目した理由を教えてください。

佐藤氏:ご存じの通り、高齢化が進み、超高齢社会となっています。そこで、シニアの方々の悩みや関心事を調査しました。すると目と脳に対して、不安を持っている方々が多いことが分かりました。

 目に関しては老眼や緑内障、白内障。そして脳に関しては、「思い出せなくなった」ことが多くなった、会話の中で「アレ」や「コレ」が多くなった、などが挙げられました。そこで認知機能という切り口に可能性がある、と考えました。

 そこで私たちは認知機能に焦点をあて、イチョウ葉抽出物を使っておいしいお菓子を作れるのではないか、ということをロッテとして考え、商品化に至ったわけです。

対予算140%達成の裏には「かつてのガムユーザー」

──売上はどうでしたか。

佐藤氏:売上としては2017年の9月に発売して、当社の予定していた計画費の140%での着地です。うれしいことに計画よりも大幅に売れています。本商品は主にスーパーで売れています。

 実は、もともと仕事中にエチケットなどでガムを噛まれていた方が、定年をさかいに家に居ることが多くなり、ガムを買わなくなるということが起きています。定番コーナーに置いたところで、買わなくなった人は訪れません。そこでシニアが足しげく通うところはどこか検討したところ、米菓コーナーやお米売り場という考えに至りました。

 スーパーで買い物をする動線から見えるところに置くという仕掛けづくりとして、簡易キットを作り、お米や米菓売り場など、シニアの立ち寄りポイントに置かせていただきました。通常、レジの横などに置いてある「お口の恋人」ロッテの商品が、今度は「シニアの友人」としてかつてのユーザーと米菓コーナーやお米売り場でばったり再会するわけです。

 ガムは買わなくなったけれど、「すぐに思い出せなくなった」などと思うような方たちが、パッケージを見てすぐわかるように心掛けました。そういったところが予想以上に売れた理由だと思います。

 さらにその隣りに、頭のアイコンを付け、視覚で「頭に関する何かかな」と分かってもらい、さらに右上に「歯につきにくいガム」という表示を入れています。年齢を重ねるにつれて記憶力や認知機能の悩みが増えていくんですが、そういった方は義歯の割合が増えがちです。「義歯になったためにガムをやめた」という方も一定数いらっしゃるので、そういった方にも安心して噛めるように、歯につきにくいガムという品質にして、それをしっかりと記しています。

 チューインガムの表示面積は小さいですよね。一番伝えたいことをあの小さいところで訴求するにはどうすればいいのか、という点で知恵を絞りました。「記憶力を維持する」という文字を大きく出して一目で分かるようにしています。

【次ページ】苦味の強い「イチョウ葉」をガムにするまで

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