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  • 2019/07/11 掲載

ドローンやウエアラブル、新時代のデバイス9種を「生かし切る」3つのポイント

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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センサーや監視カメラといったさまざまな機器から得たデータを活用する「IoT(Internet of Things)」やスマートグラスやスマートウオッチに代表される「ウエアラブル端末」。これらの新しいデバイスによるIT活用への取り組みは企業がデジタル時代を生き抜く上で無視できなくなりつつある。こうした新しいデバイスによるIT活用は業種によって適用場面も大きく異なるが、中堅・中小企業が取り組む際に最も留意すべきポイントとは何か?「業種を意識しつつ、業種に縛られない」をメインテーマに、最新の調査データを踏まえながら探っていくことにする。

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ シニアアナリスト 博士(工学)
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品及びビジネスの企画/開発/マネジメントに携わる。ノークリサーチでは多方面で培った経験を生かし、リサーチ/コンサル/執筆・講演など幅広い分野を担当。著書は「AdobeAIRの基本と実践」「クラウド大全(共著)」(日経BP刊)など。

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デバイスを中堅・中小企業が真に活用するには何が大切なのか
(Photo/Getty Images)

近年、さまざまなデバイスが登場している

 ほんの数年前まで、企業がIT活用で利用するデバイスと言えばPC(パソコン)、スマートフォン、タブレットが中心であり、業種によってハンディターミナルやGPSなどが加わる程度だった。だが、昨今では技術の進歩や価格の低下に伴い、中堅・中小企業においても以下のようなさまざまなデバイスを活用する事例が見られるようになってきた。

センサー:
 光、振動、位置情報などを検知し、さまざまな状態を把握/計測するデバイス

監視カメラ:
 映像や画像を撮影し、記録または転送することのできるデバイス

ドローン:
 ヒトによる操縦または自律飛行によって、空撮や運搬が行えるデバイス

スマートグラス:
 カメラやスクリーンを備え、さまざまな情報を取得/表示できる眼鏡型のデバイス (ウエアラブル端末の一種に数えられる)

スマートスピーカー:
 マイクとスピーカーを備え、音声認識による自動対話が行えるデバイス

音声ヘッドセット:
 マイクとスピーカーを備え、音声による対話ができるヘッドホン型のデバイス (ウエアラブル端末の一種に数えられる)

ヘッドセット:
 ゴーグルとヘッドホンを備え、外界と遮断した形で映像を視聴するデバイス (ウエアラブル端末の一種に数えられる)

スマートウオッチ:
 GPSやセンサーを備え、さまざまな情報を取得/表示できる腕時計型のデバイス (ウエアラブル端末の一種に数えられる)

リストバンド:
 手首に巻き付けて、位置情報や健康状態などをセンサーで取得するデバイス (ウエアラブル端末の一種に数えられる)

ポイント1.新しいデバイスは「業種」と密接に関連する

 PCやスマートフォンに関しては「メールの読み書き」「業務アプリケーションの利用」など、主な用途は業種が異なっても大きな違いはなかった。

 一方で、新しいデバイスを用いたIT活用はそれぞれの業種と密接に関連していることが多い。実際にWebサイトや雑誌などで新しいデバイスの活用事例を見てみると、「IoTセンサー」は組立製造業、「ドローン」は建設業といったように“〇〇のデバイスは△△の業種で事例が多い”といったように業種ごとの「定番デバイス」と言えるものがいくつかある。代表的なものを活用場面と共に列挙すると以下のようになる。

●「設備/機器の稼働状況を把握/共有する」←組立製造業+IoTセンサー
組立製造業で、製造設備の稼働状況をIoTセンサーで収集/分析し、予防保守に役立てる。

●「従業員をハンズフリーの状態にする」←一般サービス業+スマートグラス
保守/点検を担う一般サービス業で、スマートグラス上にマニュアルを表示し、両手を空いた状態にすることで作業効率を改善する。

●「顧客の行動や動線を把握/分析する」←小売業+監視カメラ
小売業で、店舗における顧客の回遊経路を監視カメラで分析し、購買行動を把握する。

●「建物や土地の測量または撮影を行う」←建設業+ドローン
建設業で、ドローンを用いて現場を測量し、建設機械の作業プランを事前に作成する。

ポイント2.その業種での「定番」以外にも目を向けよう

 だが、中堅・中小企業が新しいデバイスを賢く活用するためには「定番デバイス」以外に目を向けることも大切だ。その参考となるのが以下のグラフである。年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、上記に例示した「今後取り組む予定の新たなデバイスによるIT活用場面」を尋ねた結果を業種別に集計したものだ。

画像
今後取り組む予定の新たなデバイスによるIT活用場面

 グラフに凡例として示した4つの活用場面ごとに定番デバイス以外の、“業種とデバイスの組み合わせ”を見てみよう。

●「設備/機器の稼働状況を把握/共有する」←建設業+IoTセンサー
建設業が建物や道路などにIoTセンサーを設置し、災害や破損/老朽化を事前に検知する。

●「従業員をハンズフリーの作業状態にする」←組立製造業+音声ヘッドセット
製造業が設備点検において音声ヘッドセットを活用し、点検時の報告業務を効率化する。

●「顧客の行動や動線を把握/分析する」←一般サービス業+リストバンド/スマートウオッチ
保育や介護といった一般サービス業がリストバンドやスマートウオッチを用いて迷子や徘徊(はいかい)を防止する。

●「建物や土地の測量または撮影を行う」←一般サービス業+ドローン
一般サービス業が景観やホテルなどを空撮し、旅行客の集客増に寄与する映像コンテンツを作成する。


 このように「IoTセンサー」「ウエアラブル端末」「ドローン」などの新しいデバイスによるIT活用では事例紹介で目にする「定番」のほかにも業種とデバイスの組み合わせは多種多様な選択肢がある。

 「IoTセンサーは組立製造業が使うもので、建設業であるウチには関係ない」や「ドローンは建設業が使うもので、一般サービス業であるウチには関係ない」のように最初から決めてしまわずに「ひょっとしたらウチの業務にも適用できるんじゃないか?」といった視点で他業種の事例紹介にも少し興味を持つ習慣を付けておくと良いだろう。そこに自社の競争力を高める大きなヒントが隠されているかもしれないからだ。

【次ページ】ポイント3は、よくある「活用事例」を少し視点を変えて見てみること

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