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  • 2019/07/16 掲載

Windows ServerのLTSCとSAC「最新情報」、混乱の原因と識別の仕方とは?

連載:山市良のマイクロソフトEYE

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現在、Windows Serverは長期サービスチャネル(LTSC)と半期チャネル(SAC)の2つのサービスチャネルがあり、それぞれ異なるサイクルで新バージョンがリリースされています。この連載でも以前に説明を試みましたが、Windows Serverの導入やアップグレードを検討している企業や組織にとっては、非常に分かりにくい状況になっています。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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混乱しがちなWindows ServerのLTSCとSACについて、改めて最新情報をまとめる
(Photo/Getty Images)

LTSCとSACについて概要をおさらい

 この連載では以前、Windows Serverの長期サービスチャネル(LTSC)と、2017年10から始まったWindows Serverの半期チャネル(SAC)に関して、これらのリリースサイクルやサポートの違い、および想定された利用シナリオの違いについて解説しました。

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 LTSCバージョンのWindows Serverは、数年ごとにリリースされ、5年のメインストリームサポートとその後5年の延長サポートの計10年の長期サポートが提供されます。

 これに対して、SACバージョンのWindows Serverは、Windows 10と同じ年に2回のサイクルでリリースされ、18カ月間サポートされます。

 LTSCバージョンは長期運用を前提としたオンプレミスのインフラストラクチャサーバとして、SACはクラウドアプリのためのプラットフォームとして、それぞれの利用シナリオに適しています。その後、2018年から2019年5月までに1つのLTSCバージョンと2つのSACバージョンがリリースされたので、以前の記事にあった表を更新しました(表1)。

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表1:Windows Server LTSCとSACのサポートポリシーとサポート期限(2019年7月時点)

 LTSCの最新バージョンは2018年11月にリリース(再リリース)された「Windows Server 2019」、SACの最新バージョンは2019年5月にリリースされた「Windows Server, version 1903」です(画面1、画面2)。なお、既にサポートは終了してしまいましたが、Windows Server 2016バージョンのNano Server(後述)はSAC扱いであるため、表の更新にあたりWindows Server 2016とは別の行に分けました。

画像
画面1:LTSCの最新バージョン、Windows Server 2019(デスクトップエクスペリエンス)のデスクトップ

画像
画面2:SACの最新バージョン、Windows Server, version 1903のローカルコンソール

見た目も中身も同じLTSC 2019 Server CoreとSAC 1809の識別

 Windows Server 2012以降、サーバのインストールオプションにはGUIを含むフルインストール(2012/2012 R2の「GUI使用サーバ」、2016/2019の「デスクトップエクスペリエンス」)と、GUIを含まないServer Coreインストールの2つがあることは、多くの方がご存じかと思います。

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 Windows Server 2016からはNano Serverというコンパクトなサーバ環境の提供も始まりました(現在のNano Serverは、Windowsコンテナ向けのみ)。

 GUIを含むフルインストールとServer Coreの2つのインストールオプションが用意されるのはLTSCバージョンだけであり、SACバージョンはServer Core環境とWindowsコンテナ用のNano Serverイメージしか提供されません。「LTSCとSACが別製品である」という認識がないと、最新バージョンでサーバのGUIが廃止されたと誤解してしまうでしょう。

 LTSCのWindows Server 2019とSACのWindows Server, version 1809は、どちらもWindows 10 October 2019 Update(バージョン1809)と同じビルド10.0.17763で作成されています。Windows Server 2019のServer CoreとWindows Server, version 1809は、製品としてはまったく別のものですが、同じバージョン番号、同じOSビルド番号であり、サポートされているサーバの役割と機能にも大きな違いはありません。

 Windows Serverのサービスチャネルやバージョンを識別するには、WMIC OS GETコマンドやGet-ComputerInfoコマンドレットを使用して製品情報(OS名、バージョン、OSビルド、SKU番号など)を参照して区別する以外にありません(画面3)。

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画面3:LTSCなのかSACなのかは、WMIC OS GETコマンドやGet-ComputerInfoコマンドレットを利用して製品情報(OS名、バージョン、OSビルド、SKU番号など)を参照することで確認できる

 SKU番号以外の情報は、レジストリの「HKLM\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion」キー内の値(ProductName、ReleaseId、CurrentBuildなど)から取得できます。Server Core環境でもレジストリエディター(Regedit.exe)は使用可能です。ちなみに、LTSCバージョンのWindows Serverは次のようなOS名とSKU番号になっています。

・Windows Server 2016 Standard(SKU番号7)
・Windows Server 2016 Datacenter(SKU番号8)
・Windows Server 2019 Standard(SKU番号7)
・Windows Server 2019 Datacenter(SKU番号8)


 一方、SACバージョンのWindows Serverは、バージョンごとの製品名を持たず、エディションごとに次のいずれかのOS名とSKU番号になっています。

・Windows Server Standard(SKU番号146)
・Windows Server Datacenter(SKU番号145)


 導入した担当者であれば、LTSCとSACのどちらなのか認識しているでしょう。しかし、アップグレード作業を担当する第三者(外部のシステムインテグレーターなど)にとっては、LTSCとSAC、そしてエディションやバージョンを正しく識別することは重要です。

【次ページ】分かりにくさが招く混乱は、アップグレードと更新にも

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