• 会員限定
  • 2021/05/06 掲載

ディープラーニングは「画像認識」が得意なワケ、その秘密は「ネオコグニトロン」?

連載:図でわかる3分間AIキソ講座

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
ディープラーニングが誕生し、最初に活躍したのは画像認識の領域でした。ディープラーニングがなぜ画像認識に強かったのか、そして登場直後のディープラーニングはどのようにしてその性能を発揮したのか、簡単に解説していきましょう。

執筆:フリーライター 三津村直貴

執筆:フリーライター 三津村直貴

合同会社Noteip代表。ライター。米国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後は国内の一部上場企業でIT関連製品の企画・マーケティングなどに従事。退職後はライターとして書籍や記事の執筆、WEBコンテンツの制作に関わっている。人工知能の他に科学・IT・軍事・医療関連のトピックを扱っており、研究機関・大学における研究支援活動も行っている。著書『近未来のコア・テクノロジー(翔泳社)』『図解これだけは知っておきたいAIビジネス入門(成美堂)』、執筆協力『マンガでわかる人工知能(池田書店)』など。

画像
ディープラーニングによる画像認識の仕組みとは…?(後ほど詳しく解説します)


人間の視覚神経を参考に作られた「ネオコグニトロン」

 ニューラルネットワークの研究が進む中で、ディープラーニングよりも先に「ネオコグニトロン」と呼ばれる人間の視覚神経を参考にした多層ニューラルネットワークが日本の研究者である福島邦彦氏によって考案されました。

 ネオコグニトロンは、ニューラルネットワークの階層ごとに、それぞれ「特徴を抽出する層」や「曖昧さや誤差を吸収する層」などの役割で分かれており、これにより手書き文字認識などに高い性能を発揮します。

 この発想は手書き文字認識以外にも画像認識の分野に役立ちます。

 たとえば、ディープラーニングにおける「畳み込みニューラルネットワーク」(CNN:Convolutional Neural Network)は、このネオコグニトロンのアイデアを参考にしており、「画像の特徴を抽出しつつ、無駄な情報を省いて情報を圧縮する」といったニューラルネットワーク内の情報処理に活用されています。

画像
人間の視覚神経を参考に作られた「ネオコグニトロン」とは?
(Photo/Getty Images)

ディープラーニングが注目されるキッカケ「Super Vision」

 そして、ディープラーニングが最初に注目されたのは2012年に開催された画像認識の競技会「ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)」でのことでした。

 ディープラーニングの考案者であるトロント大学のジェフリー・ヒントン氏のチームが開発したディープラーニング活用した画像認識システム「Super Vision」が出場し、ここで圧倒的な成績を残したのです。

 競技会で行われた種目は、画像に写っているものが何かを判別する「分類」と、それがどこにあるのかを特定する「位置特定」の2つでした。大半のAI(人工知能)は分類の正答率が70%台前半、「分類」+「位置特定」では50%未満というレベルでしのぎを削っていました。

 ところが、Super Visionは「分類」の種目で85%近い成績を上げ、「分類」+「位置特定」の種目でも67%前後のスコアを記録したのです。これは100m走のタイムを10秒台で争っている中で1人だけ9秒台を叩き出すような、圧倒的な差であり、まさに衝撃だったのです。

画像認識における大きな課題

 ちなみに、画像認識において、「何の画像か」を分類できるのにもかかわらず、画像のうち、「対象物が写っている場所」を特定することは難しい技術でした。それは、機械学習ならではの理由があります。

 たとえば、船を映したほとんどの写真には、船以外に海や湖が映り込んでいます。そうした、海や湖も映り込んだ船の写真を見せられて、「これは船の写真だ」とAIに教えたとしても、背景に映る海や湖が「船」自体に関係あるかどうかは、AIには判別できません。

 この「船と海は別物である」という人間にとっては当たり前のことを学ばせるには、AIに事物の「概念」を教えなければなりません。この概念の学習は、単純な分類に比べるとはるかに難しく、AIにおいてはある種の鬼門になると考えられていました。しかし、その壁も越えることに成功します。

【次ページ】「対象物」を判別できるカラクリ

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

Slack AI Day

Slack AI の日本語ローンチを祝し、革新の軌跡を振り返り、未来への一歩を踏み出す特別なイベントを開催します。 「コミュニケーションの先の未来を再定義する」というテーマのもと、Slack はメッセージングツールから AI を活用した強力なプラットフォームへと進化しました。 私たちの働き方を根本から変えるこのプラットフォームでは、CRM やアプリケーションの複数同時活用が可能で、 あらゆるデジタル業務が Slack を通じて円滑に進行します。 また、AI の強化により、過去の会話や見落としていた情報を活用して、ワンクリックで最適なコミュニケーションを実現することができます。 この記念すべきイベントでは、「新しい働き方」と業務における生成 AI の活用に焦点を当てます。 Slack AI を通じて、私たちは日常の業務プロセスを根本から変革し、生産性の飛躍的な向上を目指します。 AI とオートメーションの融合が、時間を要する従来のプロセスを一新。 Salesforce の Customer 360 と連携した Slack で働き方が劇的に変わります。 Slack を愛用し続けてくださる皆さま、そしてこれから Slack をご利用してくださる皆さまと共に、AI による業務効率化の新時代を創ります。 進化を遂げた Slackと一緒に、未来の働き方を再定義し、その可能性を探求しませんか? 【このような方におすすめです】 ・業務における生成 AI の活用を模索している方 ・より効率的な働き方・チームコミュニケーションを模索している方 ・Slack でできることを知りたい方、Slack の利用を検討している方 ・Slack を使っているけど、"コミュニケーション" 以外の新しい利用価値を知りたい方 ・部門・プロジェクトごとの部分的な Slack 利用から組織全体へ広げていきたい方 ・Slack 無償版から有償版へ切り替えたい方

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます