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  • 2022/04/15 掲載

AWS・Azure・GCPの「IoT」を徹底比較 なぜAzureが先駆者のAWSを追い越せたのか

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多くの産業でIoTの活用が広がっていますが、そのIoT構想の基幹を担うのがパブリッククラウドです。中でもAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudは3社で8割のシェアを持つまでに至りました。この記事では、ドイツの市場調査会社IoT Analytics(IoTアナリティクス)社の市場調査レポート「IoT向けクラウドコンピューティング市場(2021年~2026年)」から、大手クラウドサービスプロバイダー3社の代表的なIoTクラウドサービスの詳細、ならびに具体的なサービス名称、さらには活用事例までわかりやすく解説します。

編集協力:グローバルインフォメーション

編集協力:グローバルインフォメーション

世界の主要調査会社250社以上とパートナー契約を結び、日本をはじめとする世界各所で市場調査レポートを提供している。パートナーが発行するレポートは複数産業の約10万点におよび、毎月2000点超の新刊が発行されている。レポートの販売のほか、提携先への委託調査の仲介も実施している。
企業URL:https://www.gii.co.jp/

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IoTの基幹を担うパブリッククラウドでサービスを提供するAWS、Azure、GCPの大手ベンダー3社。経営戦略やサービス展開はどう違うのか

この記事の概要
  • 大手3社クラウドサービスプロバイダーは、世界のIoTパブリッククラウド市場の80%以上を占めています。
  • マイクロソフトとAWSの両社にとってIoT向け戦略の重要性が高く、グーグルはそれほど優先していません。
  • 大手クラウドサービスプロバイダーは、IoT構想の基幹となるパブリッククラウドにおいて、多くのサービスを提供しています。

なぜAzureは“先駆者”AWSを追い越せたのか?

 IoT Analyticsの最新調査によると、IoTに特化したパブリッククラウドサービスでは、大手クラウドサービスプロバイダー3社(AWS、Microsoft Azure、GCP)が80%以上の市場シェアを占めています。

 IoTデバイスを接続するためのパブリッククラウドサービスの提供は、まだ3社の主要な事業ではありませんが、IoTサービスおよび関連するクラウド投資は、一般のパブリッククラウド支出よりも急速に成長すると予想されています。今後、数年間でパブリッククラウドは数兆円規模の市場となり、戦略の重要性が高まるでしょう。

 2006年、AWS(Amazon Web Services)はパブリッククラウドサービスを導入、2015年にIoTに特化したサービスを追加し、業界の先駆者となります。

 2010年にMicrosoft Azureもパブリッククラウドを開始します。その後、IoT中心の戦略や、2018年のIoTへの50億ドル投資、エンタープライズセグメントでの強力な事業展開を行い、マイクロソフトはIoT専用サービスのマーケットリーダーとしてAWSを追い越すことに成功しました。

 GCP(Google Cloud Platform)は、データ分析を武器に、Microsoft AzureやAWSと並ぶ強力な競合としての地位を獲得しました。しかし、今日までのグーグルによるIoTへの注力度合いは、主要な競合他社に匹敵するには至っていません。

戦略・事例・サービスを徹底比較

■Microsoft Azure
 Microsoft Windows、Microsoft 365(旧Office 365)、Microsoft Dynamicsの普及により、3大クラウドサービスプロバイダーで、マイクロソフトは最も強力な企業顧客基盤を持っています。多くの顧客にとって、既存のツールに新しいMicrosoft Azureのクラウドサービスを追加することは簡単でした。

 Microsoft Azureの差別化のポイントは、ビジネスインテリジェンスツール(特にPower BI)との統合、業界特化型ソリューション(Microsoft Cloud for Retail/Microsoft Cloud for Manufacturingなど)、そしてエンタープライズサポートに強く注力していることです。

 またマイクロソフトは、9つのIoTクラウドサービスをウェブサイトで詳しく紹介しています。

 Microsoft Azureが公開している167件のIoT事例を分析した結果、Azure IoTサービスで最も多く利用されているのはAzure IoT Hubで、次いでAzure IoT Edgeとなりました。Azure IoT Hubは、IoTデバイスからクラウドにデータを取り込むためのマイクロソフトにおける中核的なサービスです。このサービスは、IoTデバイスへの安全な通信と、デバイスのプロビジョニングなどのデバイス管理機能を提供します。

 マイクロソフトにとって、IoTは重要な優先事項です。同社は、企業や産業におけるIoTの利用法を簡素化し、IoTバリューチェーンにおける他のサービスとの相互運用性や結束力を高めることを掲げています。マイクロソフトは、産業用IoTとエッジコンピューティング(Azure Sphere認定チップとオペレーティングシステム/Azure PerceptなどのエッジAIプラットフォーム)に注力しています。

 マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は次のように述べています。
「スマート工場、スマートビル、スマートシティなど、あらゆるビジネスプロセスを可視化、シミュレーション、分析するために、Azure IoT、Digital Twins、Meshを組み合わせ、人、場所、モノのデジタル化を支援する組織を支援しています。たとえば、エコラボはこれらのツールを使って、水の管理をモデル化し最適化するための独自のプラットフォームを構築しています。Azure IoT、Digital Twins、Meshの3つで、お客さまが私たちと関わっている多くの事例があります。それがAzureに現れてくるわけで、われわれはそこに大きな投資をしているのです」(2022年1月25日)


活用事例
 Microsoft IoTのさまざまなコンポーネントがどのように構成されているかを理解しましょう。

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産業用IoTの状態監視システムのリファレンス・アーキテクチャー

 この画像は、OPC UA(Open Platform Communications Unified Architecture)プロトコルを用いて、メーカーが自社の資産をマイクロソフトのクラウドに接続する方法を示しています。データは、Azure IoT Edgeを実行しているエッジデバイスに送信されます。

 OPC UAで通信できない産業用デバイスは、IoT Edgeに接続するためにサードパーティー製のPLCアダプタが必要です。データはIoT Hubに送られ、クラウドに取り込まれた後、Kubernetesコンテナ管理上にホストされた産業用サービスに渡されます。産業用サービスは、REST APIを公開する複数のマイクロサービスから構成されています。すべての産業用サービスは、Azure Kubernetes Serviceクラスタに配置されます。

 図に記載されているAzure Event Hubは、Azure IoT Time Series Insights、Data Storage、Stream Analyticsなど、ほかのサービスへのデータ変換・配信に使用されます。この仕組みにより、お客さまは機器の主要なパラメータを監視し、重大な問題になる前に異常を感知することができます。

 米国に本社がある産業用材料のサプライヤーのケナメタル社は、この分野でマイクロソフトのIoTリファレンスカスタマーとして知られています。同社のオーウェル工場では、IoTとマイクロソフトのクラウドソリューションを活用し、製造業務のパフォーマンスを監視・最適化しています。

IoTクラウドサービス
 マイクロソフトは、IoT製品のページで、8つの具体的なIoTクラウドサービスを紹介しています(このページでは、一部のIoTサービスが欠落しています)。


【次ページ】「AWS」と「GCP」はこちらで解説

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