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  • 2022/02/18 掲載

「デジタル田園都市国家構想」とは何か? 岸田内閣「5.7兆円」施策の全体像

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2022年1月4日の岸田総理大臣の年頭の記者会見では、地方における官民のデジタル投資を大胆に増加させるデジタル投資倍増に取り組む「デジタル田園都市国家構想」の実現に関する決意表明がなされた。それに先立つ2021年12月28日、政府は「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」を開催し、施策の全体像をまとめた。2021年度補正予算と2022年度予算案を合わせて総額5.7兆円を投じる。デジタル田園都市国家構想は、政府が「新しい資本主義」実現に向けた成長戦略、そして、デジタル社会の実現に向けた重要な柱に位置づけている。同構想の概要を解説する。

執筆:国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

執筆:国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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「デジタル田園都市国家構想」とは何か?
(Photo/Getty Images)

「デジタル田園都市国家構想」とは何か?

 デジタル田園都市国家構想とは2021年、岸田文雄内閣総理大臣の下で発表された「デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されずすべての人がデジタル化のメリットを享受できる心豊かな暮らしを実現する」という構想である。デジタルの力を全面的に活用し「地域の個性と豊かさ」を生かしつつ、「都市部に負けない生産性・利便性」も兼ね備え、「心豊かな暮らし」(Well-being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)の実現を目指すとしている。

 政府は今後、地方創生関係交付金などによる分野横断的な支援を通じ、デジタルを活用して地域の課題解決に取り組む自治体の数を2024年度末までに1000団体に展開する計画である。

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デジタル田園都市国家構想の成功の鍵
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

 デジタル大臣の牧島かれん氏の資料によると、デジタル田園都市国家構想の成功の鍵となるのがデジタルの力だ。「暮らし」「産業」「社会」を変革し、地域を全国や世界と有機的につなげていく取り組みだという。具体的には、国が整備するデジタル基盤の上に、共助の力を引き出し、各地域で全体最適を目指したエコシステムを構築する。

 「暮らし」という観点では、多くの場合、教育、仕事、治療・介護などのために「地域」から離れざるを得ない環境となっている。そのため、ゆりかごから墓場まで「田園都市」で最先端の知、仕事、文化とふれ合うことで、デジタルの力によって教育から生活、医療に至るまで時空を超えて最先端サービスの提供を目指すことが掲げられれている。

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暮らしからの変革
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

 また、都市空間では、職・住・学・遊が互いに近接したデジタルインフラが整った空間である「インクルーシブ・スクエア(IS)」を構築する。このISにデジタル田園都市に求められる機能や人材を集結し、密度の濃い空間に関係者を集めることで世界最先端のサービスを享受できる環境の構築を目指すという。

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都市空間からの変革
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

 次に「産業」という観点では、「人と産業を呼ぶ」「デジタル地場産業を生む」「新たなビジネスを興す」という3つの段階(ステージ)で地域産業における構造変革を図る。

 ステージ1では、サテライトオフィスにさまざまな人材・知見が交わる空間を作り、新たな産業創出の基盤を整える。ステージ2では、大学・高専などを核に人材や知見の環流を進め、デジタルを活用した新たな産業を生み出す。そして、ステージ3では、地域がそのコミュニティ力を生かして、世界へ羽ばたくベンチャー・新事業を生み出し育てることなど、ステージごとの取り組みが示されている。

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産業からの変革
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

構想実現を支えるデジタル基盤の構築のイメージとは?

 デジタル田園都市の実現を支えるデジタルインフラは国が主導し、民間活力も活用しつつ、最先端のデジタルインフラを日本全国に整備する。デジタルインフラでは「5G(第5世代移動通信システム)」を、2023年までに人口カバー率を9割まで引き上げる予定である。

 データセンターなどのデジタルインフラは東京圏に過半が集中しており、十数カ所の地方データセンター拠点を5年程度で整備する。また、「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」として、今後3年程度で日本海側を周回する海底ケーブルの完成させる計画だ。

 さらにデジタル田園都市の実装にあたっては、先進的なサービスの開発・実装から展開し、徐々にその充実を図る。具体的には、スーパーシティ構想、スマートシティ・プロジェクト、MaaS、スマートヘルス、防災、スマート農業、行政のDXなど、それぞれの地域の実情に合わせる。デジタルの効果を実感できる分野から、官民連携してサービスの構築を進めるという。

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デジタル田園都市を支えるデジタル共通基盤(イメージ)
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

 そして、官民が連携してサービスを構築したり、民間同士や官民などセクター間のデータ連携実需が見えてきた段階で、データ連携基盤を整備する。また、行政機関間でのデータ交換の基盤となる「公共サービスメッシュ」については、国自身が整備して自治体事務にも提供する計画だ。

 官民連携や民間サービス間でのデータの交換を担うエリア・データ連携基盤は、コアとなる部品とアーキテクチャを国が提供する。これらの基盤整備によって、すべてのサービスで必要に応じて、国や自治体、民間企業、教育・医療など凖公共分野のサービスを担う機関、ベースレジストリ、インターネット上にあるオープンな情報などにアクセスするとともに、データを利活用できる環境を構築する。

 また、マイナポータル、統合ID基盤、ガバメントクラウドなどの共通に必要となるデジタル基盤を、地域の自主性のみに任せず、国が積極的に整備していく。

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デジタル田園都市を支えるデジタル基盤の構築について
(出典:デジタル庁「第2回デジタル田園都市国家構想実現会議」資料(2021年12月))

【次ページ】デジタル田園都市国家の実現に向けた「デジタル日本改造ロードマップ」

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