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  • 2022/09/06 掲載

巻き返し図る観光業界、東武鉄道やJTBら本格体制で挑む「観光型MaaS」その実力は?

連載:MaaS時代の明日の都市

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コロナ禍で大打撃を受けた輸送・観光業界。岸田首相が9月7日からコロナ関連の水際措置を緩和する方針を示すなど、一歩ずつではあるが観光を取り巻く環境は復活への道を進んでいる。業界内ではコロナ禍での巻き返しを図るために、各地でMaaS(マース:Mobility as a Service)への取り組みが進んでいる。その中でも、本格的な体制が特徴的な、栃木県日光市で展開されている「NIKKO MaaS」について今回は取り上げる。東武鉄道の開発担当者に話を聞くとともに、実際に現地で体験した使用感をレポートする。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『MaaSが地方を変える 地域交通を持続可能にする方法』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『富山から拡がる交通革命』『パリ流環境社会への挑戦』など。

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群雄割拠する「観光型MaaS」の中でも、独自のポジションを築きつつある「NIKKO MaaS」の実力を探る。写真は、東京と日光・鬼怒川方面をつなぐ東武特急スペーシア
(写真:東武鉄道)


東武鉄道MaaS担当者が明かす、参入のきっかけ

 2021年10月から栃木県日光市周辺で導入されている「NIKKO MaaS」は、当初から実証実験ではなく本格サービスとして通年展開されている。そのうえ、東武鉄道、JTB、栃木県、JTB コミュニケーションデザイン、オリックス自動車、トヨタレンタリース栃木という多様な組織が関係しており、さまざまある観光型MaaSの中でも本格的な体制だ。

 今回は、東武鉄道でMaaSを担当する経営企画本部の杉本洋輔氏に、導入の経緯や現在の状況、今後の展望などを聞いた。

 杉本氏によると、MaaSへの参入は栃木県の会議がきっかけだったという。日光は、自然保護のために国が指定する国立公園ということで、2017年に電気自動車(EV)を宿泊施設に設置してエコ移動を促す実証実験を行ったものの、利用実績はいまひとつだった。同県では実証実験の結果を踏まえ、2018年に新たに日光EV推進連携会議を発足させ、東武鉄道もそこに参加した。

「現地に設置したEVの稼働率を上げるならば、MaaSを導入して公共交通との連携を図ることで、利用を促進できないかと考えました。実は、社内でもかねてよりMaaSの研究は始めており、構想を練っていました。その成果を実施に移す場としても理想的でした」(杉本氏)


アプリではなくブラウザで。観光型ならではの工夫

 栃木県や会議メンバーであったJTBコミュニケーションデザインとともに構想を深め、他の会議メンバーからの了解も得られたことから、2021年10月28日に「NIKKO MaaS」がスタートした。

 開発にあたってまず心がけたのは、スマートフォン専用とはしたものの、アプリではなくWebサイトにしたこと。観光型MaaSは一度しか使わない人も多く、アプリを入れるのは面倒だと思う人が多いのではないかと考えたそうだ。

 たしかに観光型MaaSのパイオニアと言える、東急とJR東日本が中心となって実証実験を重ねている「Izuko」(イズコ)も、フェーズ1では専用アプリを用意したのに対し、フェーズ2以降はWebサイトに転換している。

【次ページ】7割がマイカーの現状、環境配慮の観点からも

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