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  • 2022/08/01 掲載

電動自転車やドローン活用、アマゾンらが取り組む「ラストマイルデリバリー」とは

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アマゾンやUPSなどロジスティクスに携わる企業の間で「ラストマイルデリバリー」に関する取り組みが活発化している。これらの取り組みでは、ドローンやデリバリーロボットなどのハイテク分野に目が向きがちだが、アマゾンやUPSは「電動自転車」を活用した新たな配送方法を導入し、注目を集めている。各社が取り組むラストマイルデリバリーとはどのようなものなのか、最新動向を解説する。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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アマゾンなどが取り組む、ラストマイルデリバリーについて解説する
(出典:Amazon News

アマゾン、ロンドンで電動自転車導入へ

 ロジスティクス分野ではこの数年ラストマイルデリバリーを強化する取り組みが活発化している。

 その取り組みの多くは、デリバリードローンや自律走行車の開発などいわゆるハイテク領域のものだが、同領域に頼らない取り組みも存在する。

 アマゾンが2022年7月に英ロンドンでローンチした「マイクロモビリティ・ハブ」がその好例といえるだろう。


 マイクロモビリティ・ハブとは、アマゾンがセントラル・ロンドンに開設したデリバリーハブで、電動カーゴ自転車による配達を前提とする施設だ。

 アマゾンは現在、2030年までに全デリバリーにおける50%をネットゼロにする「Shipment Zero」を掲げており、電動バンの導入などを積極的に進めている。マイクロモビリティ・ハブはこの取り組みの一貫で実施され、電動カーゴ自転車による排出ゼロのラストマイルデリバリーの実現を目指す。

 現時点における英国でのアマゾンの電動バン導入数は1,000台以上。2021年英国で電動バンによって配達された荷物の数は、4,500万個を上回ったという。

 一方、アマゾンは今回ローンチしたマイクロモビリティ・ハブと電動カーゴ自転車によって年間100万件以上の配達を実現したい考えだ。

 アマゾンが今回導入する電動カーゴ自転車は、英オックスフォードシャーの企業EAVが開発した4輪モデル。英国内では、Eコマース大手Ocadoが2021年にトライアルを実施するなど、すでにいくつかの企業で導入の試みが進んでいる。

 アマゾンはShipment Zeroの名の下、ラストマイルデリバリー以外の領域でも投資を進めている。

 2022年3月には、英国で完全電動の37トントラックを5台導入することを発表。英ティルベリーとミルトンキーンズのフルフィルメントセンターからの配送で活用される。

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アマゾンが導入した電動トラック
(出典:Amazon News

 現在、アマゾンの大型配送トラックはディーゼル車がメインだが、段階的に電動トラックに切り替えていく計画だ。2022年末までには、今回導入される5台に4台が加わり計9台になる見込みだという。

 大型電動トラックを供給するのは、オランダのトラックメーカーDAFだ。アマゾンが導入するモデルは、350キロワットのバッテリーを搭載しており、最大220キロメートルの走行が可能だという

UPSも英米で電動自転車導入

 ラストマイルデリバリーで電動カーゴ自転車を導入しているのはアマゾンだけではない。

 貨物運送業を手掛ける米UPSは2022年4月、ロンドンで電動カーゴ自転車「eQuad」を試験的に導入することを発表。二酸化炭素排出の削減、交通渋滞の緩和を実現しつつ、ラストマイルデリバリーを強化するのが目的だという。同社は、2050年までにカーボンニュートラル100%の達成を目指しており、電動カーゴ自転車は、それに向けた重要なステップになるとみられている。

 今回UPSが導入する電動カーゴ自転車を提供するのは、2013年創業の英スタートアップFernhay。UPSが試験導入する「eQuad」は、縦3メートル、幅84センチメートルの大きさで、自転車レーンと歩道を走行できるコンパクトさを売りとする。最大積載量は210キロで、1回の充電で60キロメートルの走行が可能だ。

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UPSが英国で導入したeQuad
(出典:AFP/アフロ)

 UPSが英国で始めた取り組みは、米国でも広がるかもしれない。

 Observerの2022年6月22日の報道によると、UPSは英国で試験導入している「eQuad」をニューヨークでも導入し、都市部でのラストマイルデリバリーを補完する構えだという。

 現在、マンハッタンでは400台以上のUPSトラックが走っているが、このところ駐車違反が深刻化している。電動カーゴ自転車の導入で、駐車違反コストも圧縮されることが期待される。2019年、ニューヨーク市だけで、UPSは駐車違反の罰金として2,300万ドル(約31億円)を支払ったと報じられている。同社は、ニューヨークでのトライアルが成功すれば、米国の他の都市でも電動カーゴ自転車を導入する計画だ。

 このほか、米国ではドミノ・ピザが電動自転車メーカーRad Power Bikesと提携し、電動自転車によるデリバリーを数都市で試みているほか、FedExがロンドンで電動自転車による配達を実施するなど、ラストマイルデリバリーで電動自転車を活用する事例は枚挙にいとまがない。

【次ページ】空からの配達も取り組み進む

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