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  • 2020/01/07 掲載

“実用段階”に入ったブロックチェーンとの向き合い方、「解決策」としての進化を解説

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ブロックチェーンの実用化に向けた取り組みが加速している。数年前にブームとなったブロックチェーンだが、現在はどのような状況にあるのだろうか。ブロックチェーン実用化の最前線で活躍するスタートアップへの取材からは、「問題解決手段」として新技術を考える地に足のついた議論とサービスが展開されつつある。今企業がどのようにブロックチェーンに向き合うべきかについて取りまとめた。

みずほ証券 小川久範

みずほ証券 小川久範

日本アイ・ビー・エムを経て2006年に野村證券入社、野村リサーチ・アンド・アドバイザリーへ出向。ICTベンチャーの調査と支援に従事する。2016年みずほ証券入社。FinTechについては、米国でJOBS法が成立した2012年に着目し、国内スタートアップへのインタビューを中心に調査を行ってきた。FinTechエコシステムの構築を目指す「一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS」副代表理事。

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ブロックチェーンの現在地とは
(Photo/Getty Images)

Libraの発表によりブロックチェーンの実用化が加速

 ブロックチェーンの実用化が加速している。背景には、フェイスブックが2019年6月に発表したLibra(リブラ)の影響がある。Libraとは、フェイスブックが2020年に発行する予定の仮想通貨(暗号資産)である。

 価値の裏付けがなく、価格が市場で大きく変動するビットコインなどの仮想通貨とは異なり、Libraは資産の裏付けがあり、通貨として利用するため価格があまり変動しないように設計されている。世界共通の通貨となる可能性があるとされ、銀行口座やクレジットカードを持てない貧しい人でも金融サービスにアクセスできるようになるとしている。

 一般には国家が発行すると思われている通貨を、フェイスブックなど企業が発行すると発表したこと。27億人という全人類の約1/3を占めるユーザーを抱えるFacebookが中心となっていること。多くの有力な企業が参画を表明したこと。これらの理由から、Libraは大きく注目されることになった。

 Libraはかつてない取り組みとして注目される一方、フェイスブックからのユーザー情報流出が明らかになったタイミングで発表されたこともあり、米国議会や欧米の中央銀行はLibraに対する強い懸念を表明した。

 また、中国はLibraに対して危機感をあらわにし、デジタル人民元の開発を加速したとされる。各国のこうした反応は、Libraの実現にはある程度の信憑性があると捉えられたためだろう。

 このLibraの中核を担う技術として活用が計画されているのがブロックチェーン(分散型台帳技術)である。Libraを使った大掛かりな仕組みが、実現性が高いものとして注目されたことで、企業によるブロックチェーンの実用化に向けた動きが加速し、関連スタートアップへも問い合わせが増加しているという。

ブロックチェーンの検討は進み、諸々の課題は解決されつつある

 企業によるブロックチェーンの活用は、ブロックチェーンがブームになった数年前に多くの企業や組織で実証実験が行われた。その結果、どのような領域で活用するのが最適であるか、実装のための課題は何かといったことは、ある程度明らかになっていた。

 ブロックチェーンブームは一旦落ち着きを見せ、ガートナーのハイプサイクルでは、ブロックチェーンは幻滅期にある技術とされている。ただし、その後もブロックチェーンの実用化に向けた動きは継続し、スタートアップなどの活躍もあり技術的なボトルネックは解決しつつある。

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ブロックチェーンにはさまざまな用途があるが「そのもの」は幻滅期という状況だ
(出典:ガートナー 報道発表)

 一方、技術面の課題は解決しても、実際の導入時における課題が存在する。

 ブロックチェーン技術に特化したソリューションを提供するBUIDLの宇野 雅晴Vice Presidentによると、企業におけるブロックチェーン技術導入においては、(1)ブロックチェーンの定義があいまい、(2)解決すべき問題がない、(3)プラットフォームが開発途上といった課題が存在するという。

 「(1)ブロックチェーンの定義があいまい」というのは、ブロックチェーンが何かという明確な定義が存在しない中で、プロジェクトメンバーにより理解度や期待することが異なり、議論が噛み合わないことを意味する。

 「(2)解決すべき問題がない」とは、ブロックチェーンありきで導入検討を始めたものの、そもそもブロックチェーンにより解決する問題がないケースである。世の中で新しい技術が注目され、経営陣がとにかくその技術を活用しろという指示を下した企業で起こる課題である。

 「(3)プラットフォームが開発途上」というのは、イーサリアムなどのプラットフォームが現在も進化を続けており、商業利用するのは容易ではないことを指す。特に日本企業の場合、IT部門が自らリスクを取って新しい技術を導入することはあまりなく、システムインテグレーターなどに保証を求めることが少なくない。

 ただし、これらの課題も過去のものとなりつつある。BUIDLのような導入支援企業がコンサルティングサービスを提供することで、ブロックチェーンに関して正しい理解が広まり、それを前提に問題解決のために技術活用がなされるようになってきた。

 また、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームの中で有力な「Hyperledger Fabric」のように、企業がサポートを受けながら利用できる商用バージョンのブロックチェーンがリリースされている。

【次ページ】ブロックチェーンの実用化には中長期の目線も必要

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