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  • 2020/10/02

投資額1兆円超のDeFi(分散型金融)、「3つの革新性」と「フィンテックとの違い」

ブロックチェーンが登場して早10年。暗号資産に続く具体的な実用例がなかなか出てこなかった中で、2018年に火を灯し始めた「DeFi:Decentralized Finance」が2020年に入り巨大市場を形成しつつある。本稿では、そんなDeFiの詳細について、フィンテックとの違いや市場規模の分析といった観点から解説する。

田上 智裕

田上 智裕

techtec代表取締役。チームラボでのアプリ開発やリクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。内閣官房「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」、内閣官房・新経済連盟共催「ブロックチェーンに関する官民推進会合」のオブザーバー。

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DeFiに資金が集まる理由とは
(Photo/Getty Images)

DeFiが持つ3つの革新性

 金融機関やフィンテックに関わっているなら、改めて注目したいのが分散型金融(Decentralized Finance:DeFi)だ。

 金融システムを構築する際のインフラにブロックチェーンを活用することで、金融サービスから特定の管理者を排除することができる。取り扱うすべてのサービスがスマートコントラクト(契約の自動化)によって同期し、外部の金融サービスと連携する際のさまざまな作業(提携やAPIの開発など)が非常に少なくなる──。これが、DeFiの価値である。 

 このような性質からDeFiは、「レゴブロック」という表現を用いて説明されることが一般的だ。レゴを積み重ねるように金融サービスを構築可能な点が特徴であり、海外では「Better Banking」や「Banking as a Service:BaaS」としても表現される。フィンテックは既存金融のアップデートであるのに対し、DeFiは金融を根本から作り変えるイメージだ。

 DeFiの主な革新性は次の3つである。

・金融サービスの開発を既存のシステムから解き放つ
・金融サービスへのアクセスを解き放つ
・金融サービスを自動化する

 先述の通り、DeFiではレゴブロックを積み重ねるように金融サービスを開発することができる。これは、DeFiあらゆるサービスの基盤システムがブロックチェーンというプロトコルで統一されているためだ。財産(アセット)はスマートコントラクトによって管理され、誰かの恣意性を受けることがない。

 実際、DeFi市場をけん引するサービス群を見ると、すべてが同一のブロックチェーン(Ethereum)上に構築されていることが確認できる。これらのサービスには相互互換性があるため、自前で作り込まず他のサービスに接続することで簡単に機能を拡張できるのだ。

 もちろん、現在提供されているすべての金融サービスや機能を現在のDeFiで提供することは難しいが、これまでは困難だった金融サービスや金融システムの垣根を越え、機能を拡張できる──。これは「金融の民主化」に他ならないと言えるだろう。

金融サービスへのアクセスを解き放つ

 特定の管理者が存在しないということは、そこには国境も存在しないということを意味する。グローバルにアクセスでき、どの国の規制からも影響を受けない。これがDeFiの最大の特徴だ。

 スマートフォンさえあれば、誰でも金融サービスを享受できるのである。全世界におけるスマートフォンの普及率は、今や銀行口座の開設率をはるかに上回る。しかしながら、銀行口座を有していないがために金融サービスを享受できない人々が、世界中には数多く存在しているのだ。DeFiはここに、金融サービスを届けることができる。

 本質的には、年齢や性別、国籍、年収などに関係なく世界中の誰しもが平等に、金融サービスを享受できる権利を有しているはずだ。ブロックチェーンは、既得権益者によって集権化した世界の仕組みを再び分散化させる技術とも言える。


金融サービスを自動化する

 DeFiはブロックチェーンを活用した金融サービスの総称だ。そこに特定の管理者は存在せず、すべてをスマートコントラクトによる自動実行によって成立している。少し専門的なサービス名が登場するが、現在のDeFiでは次のような取引が日々行われている。

  1. 通貨発行:暗号資産「ETH」を担保に暗号資産プロジェクト「MakerDAO」で分散型ステーブルコイン「Dai」を発行
  2. 貸付:保有する暗号資産(Dai)を元手に融資が可能な行うことができる基盤「Compound」に預け入れて利子を獲得
  3. 権利移譲:預け入れた暗号資産(Dai)の権利をサービス「Aave」で他人に委譲
  4. 保険:DeFiコミュニティでさまざまなリスクをカバーするプロジェクト「Nexus Mutual」で清算リスクを回避
  5. ポートフォリオ最適化:最適な利回りを計算ツール(Set)を利用
  6. 資産管理、ウォレット機能:ウォレットサービス「Argent」で暗号資産の入出金情報などを集約

 上記には、計7つのサービスでの金融取引が登場する。もしこれらを既存金融で実施しようとした場合、どれだけの期間を要するのだろうか......。DeFiでは、これらを即時に自動実行することができる。圧倒的なスピードで資産が動いている事実を目の当たりにすれば、この経済的インパクトは想像に難くないだろう。

 そしてこのDeFiに現在、1兆円超の資金が集まっている。なぜ、どのようなプレイヤーが出資しているのだろうか。

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DeFiのプロジェクトには現在、1兆円超の出資がある
(出典:各種資料より筆者作成)

【次ページ】市場規模からみるDeFiの盛り上がり

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