• トップページ
  • 「ライブコマース」の止まらない勢い、海産物やマンションも「爆買い」されているワケ

  • 会員限定
  • 2020/11/02 掲載

「ライブコマース」の止まらない勢い、海産物やマンションも「爆買い」されているワケ

連載:中国イノベーション事情

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
コロナ禍をきっかけに拡大が始まった中国の「ライブコマース」の進化が止まらない。ザリガニから自動車やマンションまで、あらゆるモノがライブコマースで販売されている。配信を支援するライブコマース基地も各地に登場し、24時間配信を可能にするアバターを使ったバーチャルライブコマースの実験も始まっている。新型コロナの感染拡大から、わずか半年足らずで業界環境が整ってきた。

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

photo
中国ライブコマースの進化を追う


コロナ禍をきっかけに急速に拡大したライブコマース市場

 中国は、ピンチをチャンスに変えることで成長をしてきた国だ。2003年にSARSが流行したとき、感染者を出して緊急避難的に全社在宅勤務を実施したアリババは、EC「淘宝網(タオバオ)」の開発を始め、店舗でCD-Rなどのメディアを販売していた京東(ジンドン、JD.com)は、倒産の危機に直面してECに活路を見いだして成功した。ネットで注文して届けてくれるECという新しい購入体験が生まれ、アリババと京東という巨大企業が育った。

 そして、2020年の新型コロナ感染拡大では、店舗がこぞってライブコマースに乗り出している。中国でも、個人消費に与えた被害は小さくなかった。2020年1月、2月は2019年同時期よりも20.5%減という大きな落ち込みを見せた。回復の歩みは緩慢で、プラスに転じたのはようやく8月になってからだ。

画像
国家統計局が発表している個人消費の前年同期比の推移
中国の新型コロナの感染拡大は4月には終息が見え、第2波と呼ぶべき感染拡大は起きていないが、それでも個人消費がプラスに転じるのは8月になってからだった

 一方で、ライブコマース市場は2018年、2019年と急成長し、2020年はコロナ禍により、さらに大きく成長すると見込まれている。2019年の個人消費は41兆1,649億元。これに2020年のライブコマース市場の予測額1.1566兆元を当てはめてみると、2.8%がライブコマースによる消費となる。

画像
ライブコマースの市場規模
ライブコマース市場は2018年、2019年にも大きく拡大しているが、やはりコロナ禍で大きく成長した
(出典:「中国ライブコマース生態研究報告2020年」(iResearch)より作成)

にぎやかな商店街を歩いているかのよう

 ライブコマースは、当初、営業自粛をしなければならない店主たちが苦し紛れに始め、外出できない消費者たちが仕方なく購入していたようなところがあった。しかし、あっという間にライブコマースの娯楽性の高さが認知されるようになった。実際にライブコマースを見てみれば、その楽しさはすぐに理解できる。


 現在、ライブコマースプラットフォームとして有力なのは「タオバオ」「抖音(ドウイン、中国版Tik Tok)」「快手(クワイショウ)」の3つだが、いずれもTik Tokが広めたユニークな操作方法(=上下にスワイプすると別の動画に切り替えられる)を採用している。

 これにより、ライブコマースの番組を次から次へと切り替えられる。中国のライブコマースでは、店主、店員、生産者自ら出演して販売するというのが基本フォーマットになっている。チャットで配信主にコメントを送ることもでき、「色違いのものを見せて」「安くならないの?」とコメントを送れば、配信主がリアルタイムで応答するため、まるで店頭で買い物をしている雰囲気そのままなのだ。

 次から次へとライブコマースを高速で切り替えて見ていくと、にぎやかな商店街を、お店をひやかしながら歩いているかのような錯覚に陥る。

何が売れている?水産・農産物のライブコマースも活発化

 ライブコマースの楽しさに最初に気づいたのは、若い女性とオタク層という感度の高い人たちだ。当初、化粧品、服飾品、フィギュア、コスプレ衣装などのライブコマースが人気となり、2018年、2019年のライブコマース市場の成長につながった。

 2020年は多くの人がライブコマースを利用するようになり、扱う商品の幅も大きく広がった。現在では、マンション、自動車からスナック菓子までありとあらゆるものが販売されるようになっている。

【次ページ】ザリガニ250トンが完売? ライブコマースでは何が売れているのか

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます