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  • 2021/05/25 掲載

野村HDの成長戦略を担う3サービス、差別化のポイントと“新仲介”への対応とは?

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野村ホールディングス(以下、野村HD)が2019年に創設した社内横断組織型で新規事業開発を担う「未来共創カンパニー」。「FINTOS!」や「OneStock」などのデジタルサービスを次々に提供しているが、単にデジタル化の推進で差別化を図っているわけではないという。未来共創カンパニー長を務める、野村HD執行役員の池田 肇氏にデジタルサービスを含めた成長戦略を聞いた。

聞き手:編集部 山田 竜司 執筆:児玉 徳子

聞き手:編集部 山田 竜司 執筆:児玉 徳子

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野村ホールディングス
執行役員
未来共創カンパニー長
池田肇氏

野村HDの差別化戦略、ポイントは「OMO」

──今後、野村HDが成長するための戦略方針などを教えてください。

池田 肇氏(以下、池田氏):日本には2,000兆円もの個人金融資産があり、この資産をきちんと運用して次世代につなげていくというのが、野村の大きな使命です。現在、野村證券では530万超の口座があります。そのすべてのお客さまに対して、満足いただけるサービスを提供することが重要です。

 サービスには、私たちの強みでもある対面サービスはもちろん、多くのお客さまが求められているデジタルサービスも含まれます。対面する担当者が応対サービスのレベルを上げるとともに「OMO(Online Merges with Offline)」施策を通じ、オンラインとオフラインをシームレスに融合させたサービスを提供することが私たちの戦略です。

 デジタルで完結するサービスを提供しつつ、対面サービスの応対品質を向上させる──。対面とデジタルを組み合わせ、さらに充実したサービスを提供することを目指しています。特に私が所属する「未来共創カンパニー」では、まずはデジタル完結、自身で自己完結できるサービスの提供に注力し、最終的には、お客さまの受けられるサービスの選択肢を増やそうとしています。

 お客さまが必要とされるのは「資産運用に必要な情報」「自分の資産を把握する資産管理」「取引」などですが、デジタル化を進める中で感じているのは、デジタル化が進展するほどに「最後は人に頼りたい」というニーズが出てくることです。

 そのニーズに対応できるかどうかが証券会社としての差別化になると考えています。資産形成の複雑な話や、ご家庭のいろいろな事情がある場合は、どうしても「人への相談」が必要ですから。

投資判断の材料を高度化するアプリとは

──具体的に、どのようなデジタルサービスを提供されているのでしょうか。

池田氏:現在、特に注力しているデジタルサービスは、大きく分けて3種類あります。1つ目は投資判断に役立つ情報をタイムリーに提供する投資情報アプリ「FINTOS!(フィントス)」です。野村グループでは約430人のリサーチャー、アナリストが「野村のリサーチレポート」など、主に機関投資家向けにレポートを作成しています。FINTOS!ではこのレポートを個人投資家向けにアプリ配信しています。

 また、お客さまが保有している銘柄や興味のある銘柄を登録しておくと、株価が大きく変動した際にアラート通知するほか、関連ニュースやアナリストレポートが出た際に情報を自動的に配信しています。

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「資産の可視化」「資産寿命の把握」を支援するには

池田氏:デジタルサービスの2つ目の柱が「資産管理」に関するサービスです。当社では2020年にマネーフォワードと共同で制作した資産管理アプリ「OneStock(ワンストック)」を提供開始しました。

 OneStockでは、銀行や証券などの複数の金融機関と自動連携することで、各金融機関で保有する資産や確定拠出年金といった資産を可視化し、資産全体を一元的に管理、把握できます。2021年4月からは不動産情報についても連携しているのが特徴です。たとえば、投資用不動産をお持ちであれば、資産価値に加えて賃料などを入力することで投資利回りを算出することも可能です。今後、投資領域でもある「絵画」などとの連携も検討する予定です。

 また、OneStockでは、年齢や金融資産を入力することで、野村證券の年金研究所によるノウハウ・統計データなどを活用した将来の「資産寿命」を算出できます。資産の上げ下げに応じ、資産寿命がどのように伸び縮みするかをお客さま自身で把握可能です。

 さらには、月間・年間のレポート機能によって資産の全体推移、個別銘柄のパフォーマンスを一覧できる「診断機能」も備えています。「資産寿命を伸ばすためには、どのくらい預貯金をしなければいけないか」「どれくらい運用し、どれくらい節約しなければいけないか」などを診断することが可能です。

 日々変化する資産に対して、自分の資産運用が適正なのかという判断をサポートするのです。たとえば、日本株が上がってポートフォリオの中で日本株のシェアが大きくなっている場合、「少し売却して現金にした方がいいですよ」とご案内をすることも可能です。また、それによって資産寿命がどう変化するかという情報も提供します。

 3つ目が「取引のデジタル化サービス」です。まずは、さまざまな取引をスムースに行えるサービスの開発が重要だと考えています。WEBやアプリなどのUI/UXについて改めて改良を加えていきます。又、新しい商品・サービスの開発として、野村HDと野村総合研究所(NRI)では、ブロックチェーンを活用した有価証券などの権利を交換する基盤の開発と提供を担う合弁会社BOOSTRYの設立などに取り組んでいます。こうした新しい領域にも積極的に取り組んでまいります。

 こうしたデジタルサービスを提供することで、お客さまとのさまざまなやり取りがワンストップで提供できるようなります。デジタルでカバーできる範囲を広げるとともに、「退職」や「相続」などで資産運用に迷いが生じた場合は、担当者が直接ご相談に応じています。

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野村HDが展開するデジタルサービス群

【次ページ】金融サービス仲介業との積極的な連携も視野に

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