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  • 2021/04/22 掲載

米国経済は急回復、物価急上昇…それでもFRBは金融緩和を続けるのか?

【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」

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コロナショックにより停滞していた米国経済だが、足元は回復基調にある。こうした状況を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)は、なおも金融緩和路線を継続するのだろうか。米国経済の状況を示す、各種経済統計を紐解きながら予想する。

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。

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コロナショックでダメージを受けた米国経済だが、足元で急回復している。これを受け、FRBは金融政策をどのように変更するのだろうか?
(写真:AFP/アフロ)

米国経済が回復している理由

 米国経済はコロナ感染状況が好転に加え、ワクチン接種が進展していることから、2021年2月中旬頃から経済活動正常化の動きが加速、3月入り後は急速に回復力を強めている。

 製造業の代表的指数であるISM製造業景況指数を見ると、64.7と1983年来の高水準に到達した(50%が景気の拡大・後退の分岐点と言われる)。

 2000年以降の20年間でISM製造業が60を超えたのは2004年と2018年の2回の局面のみで、それを大幅に超過する64.7という数値は異常値とも言うべき水準だ。これは、2021年1月と3月に支給された給付金の一部が財消費に向かい、製造業の業況改善に寄与した。

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図表1:ISM製造業景況指数が高水準を記録している。その理由とは?
(出典:Refinitivより筆者作成)

 そうした中、これまでコロナの打撃が集中していた飲食店や航空関連も急速に回復している。レストラン予約サイト「オープンテーブル」が公表する日次データに基づくと、レストラン予約件数は4月12時点(7日平均)で、2019年対比約8割の水準まで戻した。

 ニューヨークやカリフォルニアといった大都市を抱える州は、なお正常化に程遠いものの、テキサス州やフロリダ州などでは2019年水準を明確に上回る活況を取り戻している。今後もワクチン接種の進展と共に回復傾向を維持する可能性が高い。

 また、コロナの苦境を象徴してきた航空業界にも光明が差し込んできた。米運輸保安局(TSA)が公表する日次データに基づくと、2021年4月10日時点の旅客数は2019年対比で6割強と大幅なマイナスも、それでも年初からは大幅に増加しており基調は明らかに上向いている。こうした旅客数の増加は、宿泊業の回復を強く示唆する。

物価が上昇傾向にある理由

 そして金融政策と関連の深い物価統計も上昇基調が鮮明になってきた。

 2021年4月13日に発表された3月消費者物価指数は前月比プラス0.6%、前年比プラス2.6%と大幅に上昇加速した。

 背景には(1)エネルギー価格が2020年前半の急低下から持ち直したこと、(2)耐久消費財の販売好調などから財価格が上昇傾向を維持していること、(3)半導体不足や船賃高騰などサプライチェーン(供給網)の乱れに伴う仕入れコストの上昇波及、といった複合的要因である。また、前年比の数値は(4)ベースエフェクト(効果)、「前年の裏」とも言われるテクニカル要因による押し上げが効いた。


 比較対象の2020年3月に物価が急低下したため、前年比伸び率が2021年2月から3月にかけて急上昇した形だ。これらの傾向は向こう数カ月続くと見られ、物価の前年比上昇率は4月に一段と上昇することが確実だ。

 食料とエネルギーを除いたコア物価は、2%を明確に上回る公算が大きい(※FRBが最も重視するのは消費者物価ではなく、「PCEデフレータ」という別の統計であるが、さほど大きな違いはない)。

【次ページ】FRBは金融緩和を継続するのか?

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