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  • 2021/09/17 掲載

なぜ熱い? 銀行免許申請急増の「東南アジア・南米」のチャレンジャーバンク事情とは

連載:小俣修一のデジタルバンキング・マンスリーレポート

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近年、オーストラリアをはじめ、東南アジアや南米など、欧米以外の地域でも、数多くのネオバンクやチャレンジャーバンクが台頭してきている。前回の第6回・前編の記事では、オーストラリアにおける主要なチャレンジャーバンク5社の動向を解説した。本連載の最後となる今回は、アジアや南米のチャレンジャーバンクの動向をまとめて紹介したい。各国のチャレンジャーバンクの動向は日本の金融業界に起きていることを理解するために、大いに役立つはずだ。

小俣 修一

小俣 修一

1979年、慶大大学院修了。 地域金融機関の企画部門に勤務後、コンパックコンピュータ、NTTソフトウェアを経て2005年アカマイ・テクノロジーズ社長、米国本社ヴァイスプレジデント、日本法人会長を歴任。16年ニッキン特別顧問、20年12月みんなの銀行社外取締役に就任。欧米のデジタル・バンキングの事情に精通。国内の金融機関からデジタル戦略をテーマに、数多くセミナー依頼を受ける。

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香港、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブラジルなど、各国のチャレンジャーバンクの動向をまとめて解説する
(Photo/Getty Images)

配車大手などの参入相次ぐ東南アジアのチャレンジャーバンク

 LINE BKがタイ、インドネシア、台湾で銀行業を始めつつある。東南アジアでは新興テック企業がデジタルバンクを手掛けようとしている。配車大手のグラブやゲームとネット通販のシーはシンガポールに続き、マレーシアでもデジタルバンクの銀行免許申請をしている。

 グラブの動きに対抗するように、インドネシアでは相乗りと物流のゴジェックもBank Jagoの株式22%を取得した。その後6月3日には、AWS上で稼働するMAMBUをBank JagoがGCP上で稼働させる発表を行っている。

 一方、伝統的金融機関としてはシンガポールのDBS銀行のデジタル・ブランドであるdigibankの活躍が有名だ。インドネシアではStandard Charteredが化粧品SociollaとECユニコーン企業BukalapakにBaaS提供する様子が伝えられている。さらに、Fidor Bankがシンガポールを拠点にBaaSビジネスを展開している。ここからは東南アジアの国別の動向を見ていこう。

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各国におけるネオバンク・チャレンジャーバンクの状況
(出典:各種資料より筆者作成)

■香港
 香港金融管理局(HKMA)では、2018年5月、今までの銀行免許とは別に「Virtual Banks」という新しい定義でデジタルバンクの銀行免許を認可するとした。現在、次の8行が「Virtual Banks」として認められている。Airstar Bank、Ant Bank、Livi Bank、Fusion Bank、Mox Bank、Ping An OneConnect Bank、WeLab Bank、ZA Bank。

 中でもAirstar Bank は小米科技(シャオミ)、Ant Bankはアントグループ、Fusionは中国工商銀行とテンセント、Mox BankはStandard Chartered、Ping An OneConnect Bankは平安保険グループの関連会社である。

 ほかにも、MSO(Money Service Operators) Licenseを持って活躍するNeatのようなフィンテック企業が数多く存在している。


■シンガポール
 シンガポール通貨監督局(MAS)では、2020年12月に新しいデジタルバンクとして、Digital full bank licenseをグラブ-シングテル連合とシーマネーの2社に、Digital wholesale bank licenseをGreenland Financial HoldingsとLinklogis(テンセント)へ与えた。4行ともに、2022年の一般開業を目指している。

■フィリピン
 フィリピンの中央銀行は、今年の4月から新しい定義のデジタルバンク免許を承認し始めた。4月5日、Land Bank of the Philippinesが設立したデジタルバンクであるOverseas Filipino Bankに最初の承認がされた。6月8日、フィンテック企業としては初のUNObankとネオバンクだったTonikに認可がされた。7月21日にはUnion Bank of the Philippines、8月17日にはGOtymeが5番目のデジタルバンクとして承認されている。

 フィリピンの中央銀行によると、9月以降3年間はこれ以上デジタルバンクの申請受付をしないという。

■マレーシア
 6月末の締め切りでデジタルバンクの銀行免許申請が相次いだ。7月5日の報道では、29社の申請があったとされている。それまでの経過では、5月31日に、RHB Bankが通信複合企業Axiataと共同でデジタルバンク設立申請することを発表した。

 6月18日には、コングロマリットのSunway・Linklogis(テンセント)・バンコック銀行が3社共同でデジタルバンク銀行免許を申請。7月1日には、グラブ-シングテル連合やBigPayというエアーアジアの子会社も銀行免許申請をしていたと報道されている。申請の結果発表は2022年初頭の予定だ。

■ベトナム
 ベトナムでは、2016年9月にViet Capital Bankの協力でVP Bankを作り変え、Timoという最初のデジタルバンクが登場している。8月12日の報道では、新しいコア・バンキングシステムとしてMAMBUを選択したとのことである。別途、eコマースに対応するために、次々とデジタルバンク化していく伝統的金融機関の活躍も報じられている。

 6月25日、香港のGIB Globalが、ベトナムでデジタルバンクの銀行免許申請を行ったことも伝えられた。デジタル・ウォレットによるスマホ決済市場へのフィンテック企業参入の様子は一時期の日本のようである。銀行のスマホ決済アプリTimo+、NEEBankやOCB OMNIなどが、新興のMomo・ZaloPay・ViettelPayあるいはテンセント、グラブ、シー各社がそれぞれ支援する決済サービスなどと激しく競い合っている。

【次ページ】スマホ保有率7割超、南米のチャレンジャーバンク

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