IT統制の文書化は、チェックリスト方式がお勧め

システム・サーバ運用管理セミナー
ベリングポイント
マネージング ディレクター 執行役員
椎名 茂氏
 最初に登壇したのは、べリングポイント マネージング ディレクター 執行役員 椎名茂氏。同氏は「内部統制時代のIT部門のあり方」と題し、2009年度から施行される日本版SOX法に向けて何をすべきかについて論じた。IT統制には、業務処理統制、IT全般統制、ITに関する全社的内部統制の3つがある。IT管理者は、上記3つの中でも、特にハードウェアやネットワークの運用管理を行うIT全般統制を中心に施策を練る必要がある。

 同氏は、IT管理者は手始めにIT統制のフレームワークとして、『実施基準』(金融庁)、『システム管理基準 追補版』(経済産業省)、『IT委員会報告第3号』(日本公認会計士協会)、『COBIT for SOX』(米:ITガバナンス協会)、『ITIL』(英国政府)の順に読むと分かりやすい、と持論を展開した。また、来年の3月までには、評価対象システムの選定を行い、内部統制報告書の文書化作業を終わらせておく必要があると指摘した。

 また、IT統制の文書化に関して、チェックリスト方式を採用すると、子会社が多い場合も分かりやすいとアドバイスした。そのうえで、「どこまで実施しなければならないかは、常識で判断することが大切。一度、作った文書は廃止できないのも日本版SOX法の特徴。コスト対効果の視点を忘れてはならない」と締めくくった。

ITのライフサイクル・マネジメントを


システム・サーバ運用管理セミナー
ビーエスピー
結城淳氏
 次の講演では、ビーエスピー マーケティング部統括リーダの結城淳氏が、「ライフサイクル・マネジメント」から実現するITサービスの品質向上」について、同社の新運用コンセプトLMISを中心に紹介した。

 同氏は、システムを開発し、サービスを提供した後、開発へのフィードバックがあまり行われていないことを指摘。開発からサービス提供を円で描くLifecycle Management for IT Service(LMIS)の必要性を考えてみる必要がある、という。

 また、ITシステム運用部門で今後取り組みたい事柄として、運用分析・改善部門に高い関心が集まったアンケート結果を紹介。それに必要な運用管理項目として、ジョブ管理、ログ管理、サーバ監視の順に関心が高いという結果を公表した。

 そこで、同氏は異なるシステム、運用、プラットフォームを仮想的に統合し、業務運用の標準化を促進する運用統合ソリューション「BeXtation」、ジョブを含めたスケジューリング管理もできる「A-AUTO」などの利用を提案した。これにより、「業務の属人化を防ぎ、継続的な標準化を目指したITシステム運用が実現できる」と自信を見せた。

OSの仮想化でIT効率化とコスト削減を


システム・サーバ運用管理セミナー
プロトン
古川伸一氏
システム・サーバ運用管理セミナー
SWsoft
土居昌博氏
 プロトン 主任古川伸一氏とエグゼクティブ・ディレクターの土居昌博氏は『OS仮想化ソフト「Virtuozzo」を中核とした『仮想化/バックアップ統合ソリューション』』と題し、OS仮想化による効率化について説明を行った。サーバ仮想化とは、一台のサーバコンピュータを複数の仮想的なコンピュータに分割し、それぞれに別のOSやアプリケーションを動作させる技術。

 土居氏は、「企業によっては、専門化されたサーバを数多く持っていながら、それぞれのサーバの使用率が10%未満の場合もある」と現状を説明し、管理コスト、ソフトウェアコストの増大につながっていると指摘した。

 そこで、既存インフラを活用しながらコスト削減できる、仮想化によるIT効率化を勧めた。 

 「Virtuozzo」は、OSを仮想化するもので、ハードウェアを仮想化する場合のハイパーバイザーと比べてオーバーヘッドが少ないという利点がある。また、同製品は、インテリジェントパーティショニングという特徴を持ち、フル機能を持つ数百もの仮想環境にサーバを分割する。同氏は「ハードウェア仮想化に比べ、TCOを1/3~1/5に削減できる」と高いコスト効果についても言及した。


遠隔地操作で、移動費削減


システム・サーバ運用管理セミナー
アボセントジャパン
米山康氏
 アボセントジャパン チャネルセールスマネージャ米山康氏は、『「行かない」「入らない」を実現するアボセントのITインフラ統合運用管理』と題し、同社製品DSView3シリーズを紹介した。

 同氏は、本番ネットワーク上ですべてを管理すると、予期せぬ障害が発生したときに、ダメージが大きいと指摘。アウト・オブ・バンドまたは管理ネットワークの代替パスの必要性を説いた。

 DSView3の管理ネットワークでは、たとえ遠隔地のルーターでエラーが生じても、サポート用のネットワーク経由で検知通報され、管理者が遠隔操作で修復できるという特徴を持つ。これにより、移動費用を削減でき、また、データセンターに入らないため、情報漏えいの危険性も低く抑えることが可能になる。同氏は「DSView3では、安全な停止中のサーバの電源投入、エージェントレスのシャットダウンが可能になった。今後、次世代サーバ管理として注目されていくだろう」と語った。

 なお、当セッションの模様は、後日、当サイトにてストリーミング配信を行います。