記事 地方自治体・地方創生・地域経済 新組織で「食い倒れ」の街をパワーアップ、大阪の味は“粉もん”だけじゃない 2020/01/28 大阪商工会議所と大阪観光局は25日、訪日外国人観光客に大阪の高級料理を売り込む新組織の「食創造都市大阪推進機構」を発足させた。大阪市を訪れる訪日客は年々増えているが、お好み焼きやたこ焼きなど単価の安い「粉もん」料理に人気が集中し、訪日客の飲食費単価が東京など他の都市より少ないためで、継続したPR活動で「食い倒れ」の街大阪のブランド力向上も図る。明星大経営学部の田原洋樹特任教授(地方創生学)は「安くておいしいことが大阪のイメージになっているが、訪日客に喜ばれる高級料理の潜在力はある」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 “平成の大合併”の悲劇、なぜこうなった? 財政危機で苦しむ合併自治体が各地に 2020/01/20 「平成の大合併」で誕生した地方自治体の財政危機が各地で表面化してきた。大分県杵築市は歳入の減少で財政再生団体に転落する恐れがあるとして、緊急財政対策に着手する。香川県さぬき市や山口県周南市は財政健全化策を進めてきたものの、財政の硬直化で苦境を脱出できていない。国の優遇措置に飛びついて安易に大型事業を進めたつけが回ってきたわけで、拓殖大政経学部の宮下量久准教授(地方財政論)は「(合併した自治体は)合併特例債の発行や合併算定替えによる地方交付税の増加で自らの財政負担を十分認識できない状況の恐れがある」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 空き家大国ニッポン、やはり「家は買ってはいけない」のか? 2020/01/13 「両親が住んでいた家に、今は誰も住んでいないが、どうしたらいいだろう?」「家って買ったほうがいいの? それとも賃貸がいいの?」など、ビジネスパーソンに家の悩みはつきものだ。昨今、空き家が増えていると言われているが、ならば家が欲しい人に空き家を売れば、需要と供給がマッチするのではないか。しかし、坂口 孝則氏によれば、事態はそう簡単にいかないようである。それはなぜか? 坂口氏に解説してもらった。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 いまや全国1160カ所、年2,500億円を売り上げる「道の駅」 2020年新たなステージへ 2020/01/09 道路利用者へのサービス提供の場所から観光、物販の目的地へと進化してきた道の駅が、2020年からさらに機能を高めて地方創生の拠点を目指す。国土交通省の有識者会議が提言したもので、国交省は道の駅の第3ステージと位置づけ、本格的に拠点整備の支援に乗り出す方針。有識者会議のメンバーでもある跡見学園女子大観光コミュニティ学部の篠原靖准教授(地域活性化論)は「道の駅が地方へ向かう訪日外国人観光客を受け入れ、地域活性化のけん引役になるべきだ」と提言する。道の駅が誕生して四半世紀、一部の地域では提言を先取りした活動が始まっている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 【国内初】宮城県「水道民営化案」可決、安くて安全な水は守られる? 2019/12/23 水道事業の運営権を民間に委ねるコンセッション方式導入の関連条例改正案が宮城県議会で可決され、宮城県で2022年4月から上水道と下水道、工業用水が民間で運営される見通しとなった。コンセッション方式は浜松市が2018年、下水道事業に導入したが、上水道事業では全国で初めて。大阪市が年明けに上水道事業にコンセッション方式を導入する条例改正案を市議会へ提出する方針で、全国の自治体に広がる可能性もある。立命館大の仲上健一名誉教授(水資源環境政策)は「宮城県の挑戦は壮大な社会実験といえるが、成功させるためには民間事業者に対する厳しいチェックが必要」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 「橋と船の両方はわがままか」──宇高航路が幕。国の“道路優先”政策が招く未来 2019/12/13 岡山県玉野市の宇野港と香川県高松市のサンポート高松を結ぶ宇高航路が15日かぎりで運休する。瀬戸大橋の開通後、最後に残った四国急行フェリーが減便を繰り返しながら存続を図ってきたが、利用者の減少に歯止めがかからなかったため、鉄道連絡船を起源とする109年の歴史に幕を下ろす。長く人の移動や物流を支えてきた地方の船便は、宇高航路以外でも運休が相次いでいる。岡山大大学院社会文化科学研究科の中村良平特任教授(地域公共政策)は「やむを得ないこととは思うが、国の政策が高速道路優先で、(国の支援がある)離島航路以外は橋ができると廃止に向かっている」と指摘した。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 京都市が宿泊施設誘致方針を撤回、客室数“3年で1.5倍”オーバーツーリズムで方針転換 2019/12/11 京都市は観光客殺到による市中心部の混雑が深刻さを増してきたのを受け、これまでの宿泊施設誘致方針を撤回した。公共交通機関が大混雑するなど市民生活に大きな影響が出る一方、過当競争で宿泊施設の値崩れや廃業が目立ってきたためだ。門川大作市長は記者会見で「市民の安心・安全や地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入をお断りする」と述べたが、京都光華女子大キャリア形成学部の佐滝剛弘教授(観光学)は「市中心部は明らかなオーバーツーリズム。方針転換は遅きに失した」と厳しい見方を示している。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 「自動運転バス」続々と実証実験へ、急ぐのも分かる深刻事情と“MaaS社会”の利点 2019/11/27 全国の地方自治体が大学やバス会社、IT企業などと連携し、自動運転バスの実証実験を急いでいる。人口減少で地方のバス路線が相次いで撤退に追い込まれているうえ、運転手不足で需要のある路線が縮小されるケースも出てきたからだ。交通弱者の足が確保されなければ、人口減少にさらに拍車をかける結果になりかねない。自治体は省人化を図れる自動運転に路線維持の望みをつないでいるわけで、名城大理工学部の田崎豪准教授(情報学)は「自動運転バスが実用化されれば、赤字路線の維持や運転手不足対策に効果を期待できる」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 4町村が「出生数ゼロ」、赤ちゃんが“1人も産まれない”自治体の未来とは… 2019/11/20 2018年1年間に出生数ゼロだった地方自治体が奈良県野迫川村など4町村に上ることが、総務省のまとめで分かった。東京一極集中に歯止めがかからないうえ、出産期の女性減少で出生数が減少していることが背景に見える。政府は東京圏(東京都と埼玉、千葉、神奈川3県)の転入超過を解消する目標達成を2024年度に先送りする方向で調整を始めたが、明治大政治経済学部の加藤久和教授(人口経済学)は「東京圏への人口移動が拡大傾向にあり、目標を先送りしても達成は難しいのではないか」とみている。地方消滅への足音が一段と高くなってきた。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 知事の6割が“中央官僚”出身のワケ。47都道府県知事の経歴を一覧表にしてみた 2019/11/08 人口減少と地方経済の疲弊が地方自治体の財政を苦しめる中、都道府県知事の約6割を中央官僚出身者が占めている。今年行われた各地の知事選挙でも官僚出身の知事候補が相次いで当選したが、選挙戦では国とのパイプの太さを競い合う場面が相次いで見られた。近畿大法学部の丹羽功教授(政治学)は「官僚出身の知事は堅実に地域課題に取り組み、成果を出すという長所を持つ。そうした行政能力が官僚を知事に擁立する一因」とみている。財源を国に依存せざるを得ない地方の苦しい台所事情が、その傾向に拍車をかけていると考えられそうだ。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 島根発「高校魅力化プロジェクト」が全国へ。なぜ今「地方の高校」が選ばれる? 2019/10/31 過疎地の高校を魅力的な存在に立て直し、地方創生の拠点に変える島根県発の高校魅力化プロジェクトが全国に広がってきた。首都圏や京阪神など都会から生徒を集めるとともに、地域課題の解決型学習など特色ある教育に力を入れている。政府は年末に策定する地方創生の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略でプロジェクトを柱に位置づける方針。青山学院大教育人間科学部の樋田大二郎教授(教育社会学)は「高校生が固定観念のない目で地域資源を掘り起こすだけでなく、住民も高校生の姿勢から柔軟な発想と頑張る勇気を得られ、地域の発展につながる」とプロジェクトに期待する。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 「統合・再編」対象の病院リスト公表。医療費削減の“荒療治”、地方消滅に拍車の懸念 2019/10/17 厚生労働省が医療費削減を目指し、統合再編の対象となる424の公立・公的病院の実名を公表したことに対し、全国の地方自治体から反発の声が広がっている。2025年度に団塊の世代が後期高齢者を迎え、医療費の急増が見込まれる中、病床数の適正化が思うように進まない背景があるが、公立病院は地域コミュニティーを支える存在だけに、統合再編となれば地域に混乱を招くばかりか、人口流出に拍車をかけることにもなりかねない。城西大経営学部の伊関友伸教授(行政学・地方自治論)は「日本は世界各国と比べて病床数が多く、削減の必要性があるが、実名を公表して統合や再編を求めるやり方は乱暴でないか」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 憧れどこへ… “神戸ブランド”に暗雲。「転出超過数が最多」からどう脱却するのか 2019/10/11 政令指定都市で最多の転出超過、全市区町村で最大の人口減少に陥った神戸市が、「リノベーション神戸」と題した人口減少対策を始めた。神戸市を子育て世代が定住したいと考える都市に変えるための施策で、今回が第1弾。今後、第2、第3の施策を打ち出し、人口流出に歯止めをかけたい考えだ。だが、かつて関西の若い世代を魅了した「神戸ブランド」に陰りが見える中、東京一極集中を乗り越えるのは簡単でない。甲南大経済学部の足立泰美准教授(財政学)は「大阪市へ通勤する人が多数いることを踏まえ、神戸経済圏での自立を目指すだけでなく、関西圏全体を見据えた施策も盛り込む必要がある」と指摘する。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 10年で売上6割減…衰退した市場から生まれた「陶磁器イノベーション」 2019/10/04 10月4日は「陶器の日」。日本の陶磁器「やきもの」は、実は重大な危機に直面している。日用陶磁器の国内生産額は10年余りで6割以上も減少し、金額ベースで中国などからの輸入品にたびたび追い越されるありさまだ。それに危機感を抱いた産地の人たちは、いいものをつくろう、新しい用途や販路を開拓しようと伝統工芸に最新の科学技術を取り入れ始めた。「ハイテク陶磁器」の波がいま、全国に広がっている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 必要なのは「小規模店舗」。止まらない“百貨店の撤退”、地方に希望はあるのか 2019/10/04 中心市街地の核店舗として営業してきた百貨店の閉店が全国で加速している。人口減少と若者の百貨店離れ、インターネット通販との競争などが原因で、中心市街地の空洞化にますます拍車がかかりそうな状況。地方都市の多くが百貨店など大型商業施設を核にしてコンパクトシティの実現と中心市街地の活性化を目指しているが、成功例はほとんど見当たらない。明治大政治経済学部の飯田泰之准教授(経済政策)は「大型店誘致の再開発は家賃高騰で地元店や個人店出店のハードルを高め、経済的に貴重な地元経営の拡大に悪影響がある可能性も高い」と地方自治体の手法に疑問を投げかけている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 徳島見送りはわかっていた? 全面移転は京都のみ。「中央省庁の地方移転」進まぬワケ 2019/10/01 安倍内閣が進めてきた中央省庁の地方移転で、結論が出ていなかった消費者庁の徳島県移転が見送られた。徳島県には代わりに常設の調査研究拠点が設置される。結局、全面移転が実現したのは京都府へ移る文化庁だけで、内閣の試みは官僚の抵抗を突破できず、絵に描いた餅に終わった格好。奈良県立大地域創造学部の下山朗教授(地方財政論)は「個別省庁の機能を移すことに議論が集中し、中央省庁分散の必要性に関する議論が置き去りにされたように見える。それでは移転しないという結論が出るのは予想通りではないか」とみている。
記事 スタートアップ・ベンチャー 高高度飛行体通信「Loon(ルーン)」とは? グーグル兄弟がソフトバンクと組んだワケ 2019/09/13 発展途上国を中心に、全世界の約半分の人口はインターネットに接続する環境がない。また、インターネットが無ければ生活が成り立たない現状を考えると、自然災害が発生した際に、通信が途絶えてしまうのは大きな問題となる。いつでもどこでも通信できる頑健なインフラを構築するため、グーグルの兄弟会社Loon(ルーン)は気球で、また、ソフトバンク子会社HAPSモバイルは無人飛行機で、通信基地局を展開する計画を進めている。フェイスブック、アマゾン、スペースXも参戦し、複雑な提携・競争関係を結びながら、デジタル・デバイドという社会問題の解決が図られている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 コナン・鬼太郎・龍馬の共通点は? 地方空港の“愛称”は誘致につながるのか 2019/09/09 正式名称と別に独自の愛称を持つ地方空港が全国で増え、ちょっとした愛称ブームになっている。地域や空港を観光客らに売り込むのが狙いで、地元の動植物や特産品、観光地、人名のほか、アニメキャラクターの名をつけた空港まで出てきた。命名効果ははっきりしないが、観光客の誘致競争が激しさを増す中、ユニークな名で人目を引こうとブームは過熱する一方。島根県立大総合政策学部の西藤真一准教授(交通政策論)は「愛称は空港のブランディングであり、地域にとって期待もある。ただ、愛称が直ちに利用者拡大につながるかどうかは分からない」とみている。
記事 M&A・提携・協業 低迷する日本の地場産業・伝統産業を“ハゲタカ”が救う 2019/09/06 燕の洋食器、鯖江のメガネ、関の包丁、有田焼。全国各地の地場産業、伝統産業への日本人のイメージは、決して悪くない。ものづくりの現場を見せる「産業観光」も人気を集める。しかし、需要の低迷、人手不足、後継者難に苦しむ企業が多いのも事実である。そこへかつては“ハゲタカ”とやゆされた外国企業が手を差し伸べ、外資の対日直接投資によって息を吹き返したり、発展した企業や産地がある。高品質の製品を生み出すものづくりの「匠(たくみ)の技」が、海外からの投資を呼び込んでいるのである。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 使われなさすぎ「企業版ふるさと納税」、減税幅9割で本当に変わるのか? 2019/09/04 地方自治体の事業に寄付した企業の税負担額を軽減する企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の寄付額が伸び悩んでいる。2018年度の総額は34億円前後となる見込みで、年間5000億円を超す個人版ふるさと納税の受入額に遠く及ばない。北海学園大経済学部の西村宣彦教授(地方財政論)は伸び悩みの原因を「控除率が約6割にとどまり、返礼品もないため、企業にメリットが小さく、関心が広がりにくい」とみている。内閣府は打開策として減税幅を現行の約6割から約9割に引き上げるなどの制度見直しを2020年度税制改正要望に盛り込んだ。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 八芳園がV字回復の末に至った「オープン化」と観光ビジネスとは 2019/08/30 超高齢社会の到来により、労働力人口の減少という社会的課題を抱える日本。その解決には「インバウンドによる交流人口が糸口となる」と語るのは、八芳園取締役専務 総支配人 井上義則氏だ。かつて「四大結婚式場」と呼ばれていたものの、婚礼ビジネスの低迷によりどん底を経験。そこから4年で業績のV字回復を遂げた八芳園。同社はいかにして「婚礼ビジネス」から「観光ビジネス」へとビジネスモデルを転換したのか。話を聞いた。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 経済効果狙いの“世界遺産”は本末転倒?「過大な期待は禁物」のワケ 2019/08/22 大阪府堺市と藤井寺市、羽曳野市にまたがる百舌鳥(もず)・古市古墳群の世界遺産登録が決まった。国内の世界遺産登録は23件目で、大阪府内では初めて。地元の堺市では隣の大阪市に集まる訪日外国人観光客を引き込み、観光振興に生かそうと新しい取り組みに動き始めているが、登録直後に一時的な観光ブームが生まれても数年で観光客が激減する世界遺産が少なくない。奈良県立大地域創造学部の新井直樹教授(観光政策)は「登録後も継続して観光客や観光消費額が大幅に増加するという過大な期待は禁物」と指摘する。
記事 スタートアップ・ベンチャー インド発ユニコーンの「OYO(オヨ)」、6年で世界2位のホテルチェーンになれたワケ 2019/08/20 創業から6年、インド発のユニコーン企業として知られるOYO Hotels & Homes(以下、OYO)。いまやホテルの客室数は110万室にのぼり、客室ベースでは世界第2位のホテルチェーンとなった。なぜOYOは短期間で大躍進を遂げることができたのか。ビジネスモデルやテクノロジーの活用の観点から、OYOの強さを解説する。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 和歌山県白浜町のサテライトオフィスが大活況、IT企業に選ばれる理由とは? 2019/08/14 温泉とパンダで知られるリゾート地の和歌山県白浜町に、国内外のIT企業などが相次いでサテライトオフィスを設置している。白浜町が設けたサテライトオフィス用の貸事務所2棟は計10社が入って満室で、近く3つ目の施設整備に入る計画。サテライトオフィス誘致は多くの地方自治体が力を入れているが、苦戦するところが少なくない。早稲田大大学院アジア太平洋研究科の三友仁志教授(デジタルエコノミー論)は「箱モノを作ったから誘致できるわけではない。白浜町のように企業のニーズをくみ取り、進出に見合うメリットを提供する必要がある」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 ネット投票にブロックチェーン活用、それでも「若者の政治離れ」は防げない深刻事情 2019/07/30 茨城県つくば市が顔認証による本人確認やブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験を8月に実施する。総務省は2019年度中に在外投票を視野に入れたシステム上の実証実験を予定している。ともに実用化に向けた課題を洗い出すのが目的で、若者の政治離れなどから低下に歯止めがかからない選挙の投票率アップ策として期待する声もある。しかし、すでにネット投票を実現しているエストニアの事情に詳しい北九州市立大法学部の中井遼准教授(比較政治学)は「投票率を上げる効果はほとんどないというのが現地の認識」と指摘する。
記事 製造業IT 自動運転の列車が「逆走」、はるかに難易度が高いクルマの自動運転は実現可能か? 2019/07/24 クルマと比べて列車は「操舵」という機構がなく、軌道を走るという制約のために操作は単純化しやすい。そのため運転士のミスを減らし労力を軽減するために自動運転が早くから開発、導入されてきた。その自動運転の列車が逆走事故を起こしたのは、記憶に新しい。気になるのはクルマの自動運転への影響だ。この事故で、また自動運転の実用化へのハードルは上がった印象だ。しかし、果たして自動運転はクルマの最終形なのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 「民泊新法」施行から1年余り、届け出件数8倍も地方に普及しないワケ 2019/07/22 一般住宅に有料で旅行者を宿泊させる民泊が2018年6月の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行で解禁されて1年余り。届け出件数は1年間で約8倍に増えたものの、大半が首都圏と関西に集中し、地方の多くは届け出が伸び悩んだままだ。空き家や古民家を活用した施設が地方への普及策として考えられるが、民泊新法の営業日数制限や地方自治体の上乗せ規制が開業の足かせになっている。福知山公立大地域経営学部の中尾誠二教授(社会経済農学)は「訪日外国人観光客が増えている地方は限定され、家主不在型の民泊需要は伸びていない。当面は大きな変化がないのではないか」とみている。
記事 政府・官公庁・学校教育IT なぜ日本は「MaaS」の主導権を海外勢に奪われるのか? 根本にある2つの理由 2019/07/10 欧州を中心に、ITを使って公共交通機関を統合し、1つの移動サービスとして提供するMaaS(マース)と呼ばれる取り組みが活発になっている。日本でも多くの事業者がMaaSへの参画を表明しているが、本当の意味でこの仕組みを活用するためには、ある重要な視点が不可欠となる。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 京都市「高さ制限」を一部緩和へ、景観を損なう懸念も? 2019/07/10 歴史的な景観を守るために厳格な高さ制限を設定している京都市は、下京区中堂寺南町のJR丹波口駅前で現在の最高限度20メートルを31メートルに緩和する計画原案を市民に示した。駅前を通る五条通(国道9号)の拡幅に合わせた都市計画見直しが理由だが、背景に見えるのは深刻さを増すオフィスや住宅の不足だ。市民の間では歴史的な景観こそが市の宝として緩和に否定的な声が少なくないだけに、高崎経済大地域政策学部の大澤昭彦准教授(都市計画)は「丹波口の緩和はあくまで道路整備に合わせた都市計画見直しだとしても、緩和が続いて京都の景観を損なわないように留意する必要がある」と指摘する。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 地方創生の新方針は“マンネリ感”満載? 東京一極集中の是正目標を断念 2019/06/28 政府は臨時閣議で地方創生の5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」第2期に向けた基本方針を決定した。将来の地方移住につながる施策として関係人口の創出・拡大、高校魅力化プロジェクトなどを柱にした内容で、この方針に基づいて年内に第2期の総合戦略を策定する。2015年度から進めてきた第1期総合戦略では、東京一極集中の是正を安倍政権の看板政策として掲げてきたが、目標達成を事実上断念し、方針転換を余儀なくされた格好。九州大大学院法学研究院の嶋田暁文教授(行政学)は「関係人口と高校魅力化を除けば代わり映えしない内容で、マンネリ感満載」と厳しい見方を示した。