記事 地方自治体・地方創生・地域経済 奈良県「県庁移転問題」の深刻さ、地方消滅に向かう南部をどう扱うべきか 2018/05/21 奈良県議会が県庁を北端の奈良市から中部の橿原市(かしはらし)周辺へ移すことを求める決議案を賛成多数で可決した。奈良県は大阪、京都のベッドタウンとなり、官公庁や企業、観光地が集積する北部と、深い山に囲まれ、過疎化が深刻な南部の「南北格差」が問題になっている。決議は県庁を中部へ移すことにより、県土の均衡ある発展を目指しているが、法的拘束力を持たず、多額の移転コストを考えると実現までの道が険しい。奈良県立大地域創造学部の下山朗教授(地方財政論)は「県庁移転のコストに見合う経済効果があるかどうかは疑問。むしろ県全体を考慮した経済政策を考えるきっかけにすべきではないか」と指摘する。
記事 運輸業・郵便業 外国人観光客から「取り残された」神戸、空港民営化でどう変わるのか 2018/05/10 神戸空港の運営が4月、神戸市から関西、伊丹の両空港を運営する「関西エアポート」の子会社「関西エアポート神戸」に移った。関西3空港が一体運営の時代を迎えたわけで、関西経済活性化に3空港をどう生かすかが焦点に浮上する中、海上空港として高い潜在能力を持ちながら、発着枠や運航時間の制限を受けている神戸空港の規制緩和にも注目が集まっている。関西学院大経済学部の上村敏之教授(公共経済学)は「規制で民間の手足を縛る必要はない。規制緩和し、関西全体のために活用すべきだ」と提言するが、3空港の地元自治体の思惑には隔たりも存在する。
記事 運輸業・郵便業 動き始めた全国のLRT計画、岡山や栃木はどう取り組んでいるのか 2018/05/01 全国の地方自治体が次世代路面電車(LRT)に熱い視線を注いでいる。岡山県では岡山市と総社市、JR西日本がJR吉備線のLRT化で合意したのをはじめ、栃木県では宇都宮市と芳賀町によりLRT新設工事が始まった。本格的なLRTを導入した国内の自治体は富山県富山市だけだが、コンパクトシティの実現で一定の成果を上げているほか、東京都葛飾区など構想を描く自治体も少なくない。関西大経済学部の宇都宮浄人教授(交通経済学)は「LRTは鉄道よりコストが低く、バスより輸送力がある。存在が明確なため都市交通の軸となり、観光客にも分かりやすい。デザイン次第で街の顔になる」とみている。
記事 流通・小売業IT 良品計画 金井政明 会長が「家畜化する現代人」に警鐘、人間にとって何が大切か 2018/04/26 先進国でありながら国民の幸福度が低いとされる日本。国連が2018年3月14日に発表した「世界幸福度ランキング」では156カ国54位と、51位だった前年よりもさらに順位を落としている。良品計画代表取締役会長兼執行役員の金井政明氏は、現代人が「家畜化」していると指摘。デジタル化以前に、「人間にとって何が大切か」を考えるべきだと語った
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 7割自治体で人口2割減の現実、それでも「現実離れ」人口ビジョン続々のワケ 2018/04/25 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が新たにまとめた地域別将来推計人口で、全都道府県が2030年から人口減に陥り、2045年に市区町村の7割が2015年比で20%以上人口が減ることが分かった。全国の地方自治体はそれぞれ、地域の将来人口を示す人口ビジョンを策定し、V字型の人口回復を打ち出すところも少なくないが、明確に否定された格好だ。奈良女子大大学院人間文化研究科の中山徹教授(都市計画学)は「人口ビジョンとのかい離が広がり、このままでは地方創生の実現が危ぶまれる」と指摘する。
記事 製造業IT パナソニックも進出、優遇税制延長でも「東京一極集中」は変わらない 2018/04/17 政府は2018年度税制改正で、東京から地方へ本社機能を移した企業を税制面で優遇する地方拠点強化税制を2019年度まで2年間延長するとともに、これまで対象外だった京阪神や名古屋市への移転も対象に加えた。地方創生の目玉事業として2015年度に打ち出した制度にもかかわらず、地方に本社機能を移す企業が増えていないばかりか、首都圏への本社転入超過が続いているからだ。しかし、近畿大経営学部の松本誠一准教授(経営学)は「税制面の優遇措置だけで大きな効果を上げるのは難しい」とみている。政府の思惑は実を結ぶのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 国内初の本格ダム撤去、「清流復活」を地域振興につなげられるか 2018/03/30 日本三大急流の1つに数えられる熊本県の球磨川で荒瀬ダムの撤去工事が終わった。「みお筋」と呼ばれる本流が60年ぶりに復活し、流域から姿を消していた生き物が戻りつつある。米国では役割を終えたダムの撤去が当たり前になっているが、国内で本格的なダムが撤去されたのは初めて。明治学院大国際学部の熊本一規教授(環境政策)は「地元漁民や住民が河川法を勉強し、ダム撤去を勝ち取った意義は大きい」と評価する。だが、ダムが撤去されても地域の活性化はこれからの課題。復活しつつある清流をどう地域振興に生かすのか、地元の模索が続く。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 国民健康保険が都道府県に移管、透けて見える「負担増」の思惑 2018/03/22 慢性的な赤字に陥っている国民健康保険の財政運営が4月、従来の市区町村から都道府県に移管される。国民皆保険制度がスタートした1961年以来の大改革で、広域化により国保財政の基盤を安定させるのが狙いだ。しかし、市区町村で異なる保険料は当面、統一が進まず、激変緩和措置で抑えられる保険料率も今後、上昇が避けられそうもない。立教大コミュニティ福祉学部の芝田英昭教授(社会保障論)は「保険料率の上昇で滞納が増え、さらに保険料率が上がる悪循環に陥りかねない」とみている。国民健康保険の前途には暗い影が漂っている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 関西都心部でタワマンが急増、小学校不足は解消できるか 2018/03/08 タワーマンションなど大規模マンションの建設が進む関西の都心部で小学校の児童が急増し、地方自治体が対応に追われている。住民の都心回帰の動きが子育て世代を中心に加速しているためで、大阪市が2018年度当初予算案に校舎の高層化を盛り込んだほか、神戸市は校舎増築と越境入学、京都市は小学校新設で対応する方針。これに対し、西宮市は児童急増地区のマンション建築自体を規制し、教育環境の維持に努めている。同志社大社会学部の鰺坂学教授(地域社会学)は「都心回帰の動きはあと5~10年くらい続く」とみている。急激な人口移動に振り回され、関西の自治体は頭を悩ませる一方だ。
記事 運輸業・郵便業 乗客数はピークの4割、地方バス「赤字路線の廃止届」は当然だ 2018/02/24 岡山県を中心にバス事業などを営む両備ホールディングスが、グループ2社の赤字31路線廃止を国土交通省中国運輸局に届け出た。格安運賃を掲げる他社が両備グループの黒字路線に参入するのを国交省が認めようとしていたことに抗議するためで、地域の公共交通維持へ議論の場を設けようとしない岡山市に対する不満もぶつけた形だ。島根県立大総合政策学部の西藤真一准教授(交通政策論)は「対立する利害を調整し、公共交通維持に向けて将来像を描くのが自治体の役割」と指摘するが、この役割が機能しているとはいいにくい。人口減少が進む中、地方路線を自由競争に任せて維持できるのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 都会と地方で売り上げ2極化、明暗分ける百貨店業界のゆくえ 2018/02/22 全国の百貨店売上高が2017年、既存店ベースで3年ぶりに前年を上回ったことが、日本百貨店協会のまとめで分かった。大阪が訪日外国人観光客の急増などに支えられ、対前年比6.6%増の売上高を記録したのをはじめ、札幌、東京、福岡など大都市中心部の百貨店に明るさが戻りつつある。これに対し、大都市圏の郊外や地方は売り上げの落ち込みが続き、閉店ラッシュが止まらない。流通経済大流通情報学部の矢野裕児教授(物流論)は「郊外や地方の百貨店は明るい材料が見えず、今後も厳しい状況が続くのではないか」とみている。都心と郊外、地方で売り上げが2極化する百貨店業界は、大きな岐路に立たされている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 川崎が「地獄」なら日本も地獄です──『ルポ 川崎』著者・磯部涼氏インタビュー 2018/02/21 ラップ、ヤクザ、貧困、人種差別──神奈川県川崎を舞台にしたルポルタージュ「川崎」は、『サイゾー』に掲載されるやいなや大きな話題を呼ぶ。若手ヒップホップグループBAD HOPや、ヘイト・スピーチと戦うカウンター団体「C.R.A.C. KAWASAKI」を取り上げ、川崎の過酷な現実を浮き彫りにした。連載をもとに大幅加筆し、『ルポ 川崎』(サイゾー)として刊行されたのを記念して、著者で音楽ライターの磯部 涼氏に話を伺った。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 なぜ地方で公設ガソリンスタンドが「急増」しているのか? 2018/02/05 地方自治体が運営するガソリンスタンドが増えている。公共交通機関が弱体化している過疎地域では自家用車が必需品だが、人口減少の加速で民営スタンドの経営が成り立たなくなっているからだ。全国にはスタンドが1カ所もない自治体が12町村あるうえ、1カ所だけの自治体も75町村に上る。民間スタンドの減少に歯止めがかからない一方で、今後も公設スタンドは増えそうな状況。東洋大経営学部の小嶌正稔教授(経営学)は「車が地域生活を支えるインフラである以上、公設でスタンドを維持するのはやむを得ない」とみているが、財政基盤の脆弱な過疎自治体にとって大きな負担になっている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 いよいよ「出生数ゼロ」自治体が各地に、遅きに失した少子化対策の末路 2018/01/29 2017年1年間に国内で生まれた日本人の赤ちゃんが推計94万1,000人で、2年続けて100万人の大台を下回ったことが、厚生労働省の調べで分かった。しかも、団塊ジュニア世代の女性が出産適齢期を過ぎ、20~30代の女性が減っているため、出生数の減少に拍車がかかっている。安倍晋三首相は少子化を国難と位置付けたが、過疎地域では1年以上にわたって1人の赤ちゃんも生まれない地方自治体が出るなど、加速する少子化が地方消滅の引き金になりつつある。中央大文学部の山田昌弘教授(家族社会学)は「30年も前から指摘されていた少子化問題に抜本的な対策を講じなかったツケが表れた」と指摘する。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 総務省の未来予測、2030年以降の情報通信技術はどうなっているのか 2018/01/19 2020年以降は超少子高齢化社会が継続し、加速度的に人口が減少する。同時に、生産年齢人口も大きく落ち込む。こうした未来を抱える我々は、2020年のオリンピック以降に向け何をすべきか。本稿では、総務省の「IoT新時代の未来づくり検討委員会」の検討項目から政府や官公庁の政策を紹介するとともに、企業が立案すべき「2020年以降」のIT戦略のヒントを示したい。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 住宅宿泊事業法(民泊新法)でどう変わる? 観光推進と生活維持は両立できるか 2018/01/19 2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行を5カ月後に控え、全国の地方自治体で民泊の営業日数を条例で上乗せ規制する動きが加速している。東京都大田区は住居専用地域での営業を全面禁止としたほか、京都市は住居専用地域で営業を認める期間を1、2月のみに限定する方向。民泊を健全に普及させ、観光立国を目指す政府と、規制を強化したい自治体の思惑に大きな開きが見える。和歌山大観光学部の廣岡裕一教授(観光学)は「自治体が地域の事情に応じて規制するのは良いが、厳しすぎると新法がスムーズに施行できない」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 地域仮想通貨が続々発行、地方の救世主となるか? 2018/01/18 2017年を代表するパワーワードといえば、年初から対ドルレートが10倍超にもなった「ビットコイン」をはじめとする「仮想通貨」だろう。ビットコインは2018年に入って大きく値を崩しているが、それでも2017年初比ではおよそ10倍の水準は維持している。こうした中、2018年は地域活性化策として話題だったローカルマネー「地域通貨」について、仮想通貨版の「地域仮想通貨」が続々と発行されそうだ。果たしてそれは「地方創生」につながるのか。現状をまとめた。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 港区で若者が急増のワケ 東京23区の人口動態から考える日本の近未来 2018/01/15 日本社会は今後、世界でも希に見るスピードで人口減少が進む。これまでは人口減少と叫ばれながらも、総人口はほぼ横ばいで推移していたが、これからは本格的に総人口の減少が始まる。人口減少は多くの場合、都市部への人の移動を伴い、日本の産業構造に大きな変化をもたらすことになる。東京23区の人口動態をもとに近未来の消費社会について考察してみた。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 大阪「あいりん地区」の再開発、日本最大のドヤ街はどう変わるのか 2018/01/12 日本最大のドヤ街として知られる大阪市西成区のあいりん地区。かつて24回の暴動が発生し、貧困や差別など社会問題が凝縮したこの街が今、大きく変わろうとしている。日雇い労働者が暮らしていた簡易宿泊所に外国人バックパッカーが増えたほか、JR新今宮駅を挟んだ北側に南海電鉄の訪日外国人交流施設や星野リゾートのホテルが建設されることになったからだ。関西学院大社会学部の白波瀬達也准教授(社会学)は「地域が変貌しても労働者の貧困がなくなるわけではない」とみている。あいりん地区が変貌を遂げる中、労働者の福祉が置き去りにされることはないのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 語られなくなった「地方創生」、5か年計画の折り返しを総括する 2017/12/29 地方創生と東京一極集中の是正を目指す政府の5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が、折り返しの3年を過ぎた。地方創生という言葉が社会に定着し、ブームになったが、この間にも東京一極集中がさらに進み、政府が鳴り物入りで打ち上げた中央省庁や民間企業本社機能の地方移転は成功していない。安倍晋三首相も「一億総活躍社会」、「働き方改革」、「人づくり革命」など新しいキーワードを次々に打ち出す一方、地方創生を語ることが減っている。地方創生はどこへ行ったのか、地方大学の若手研究者4人に総括してもらった。
記事 運輸業・郵便業 貨客混載が本格化、タクシー会社が宅配便の荷物を配達しはじめた 2017/12/27 ドライバーがいても空車増、利用者や収入の減少に悩むタクシー業界と、取扱個数が急増して配達ドライバーの不足に悩む宅配便業界。その両者が手を結べば補完しあえると、国土交通省は2017年9月、タクシー車両で宅配便の配達ができる「貨客混載」の規制緩和を行った。11月には北海道旭川市で、全国初のタクシーによる貨客混載サービスが始まった。しかし条件が過疎地限定のため申請はまだわずか。宅配ドライバー不足が深刻な都市部はまったく対象外で、3月に首都圏で独自にサービスを始めようとしたタクシー会社は運輸局から待ったをかけられた。なぜ、人手不足問題が深刻な地域をあえて外すという「骨抜き」の規制緩和になったのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 観光客急増に「宿泊税」導入で対応、課題はどこにあるのか? 2017/12/20 訪日外国人観光客の急増が続く中、宿泊税を導入する地方自治体が増えている。東京都が2002年に導入したあと、追随する動きはしばらくなかったが、大阪府が2017年に開始したのをはじめ、京都市が2018年10月をめどに導入することを決めた。北海道や沖縄県、石川県金沢市など導入を検討する自治体も多い。観光客受け入れ整備の財源を確保するのが狙いで、京都産業大経済学部の八塩裕之教授(財政学)は「観光客急増への対処という点で容認されるだろう」とみている。しかし、税収の使途や公平な徴収方法など課題も山積している。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 地方に眠る「埋蔵金」21兆円、財務省と総務省攻防のゆくえ 2017/12/13 全国の地方自治体が積み立てた21兆円を超す基金を巡り、財務省と総務省のさや当てが続いている。「新たな埋蔵金」と指摘し、年々膨れ上がる基金残高を問題視する財務省に対し、地方財政を所管する総務省は将来の財源不足に備えて必要な積み立てと反論する。2018年度の予算編成でも自治体に基金を取り崩させて地方交付税を削減したい財務省と、交付税を死守しようとする総務省の主張が正面から激突し、妥協点が見えない。甲南大経済学部の足立泰美准教授(財政学)は「自治体の多くが基金を積み増しているのは将来に不安があるからだ」と分析する。自治体の基金は積み過ぎなのか、必要な範囲なのか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 シビックテックとは何か? 5分野別の事例に見る、社会問題のITによる解決方法 2017/12/08 「少子高齢化による人口減少」「都市圏への人口流入と偏り」「貧富の差の拡大」……。山積する社会問題は、行政サービスだけは解決できない。こうした現状に対し、テクノロジーを活用して課題解決する取り組み/概念が「シビックテック」だ。本稿では「シビックテックとは何か」を解説するとともに、その取り組みを紹介する。
記事 政府・官公庁・学校教育IT 現在進行系で人手不足が悪化する理由、「生産人口1750万人減」の衝撃 2017/12/07 2020年以降は超少子高齢化社会が継続し、加速度的に人口が減少する。同時に、生産年齢人口も大きく落ち込むことになる。こうした未来を抱える我々は、2020年以降の「東京五輪後」に向け何に備えるべきか。この記事では、東京五輪後を見据えた日本政府としての動きを紹介する。政府や官公庁の政策などを踏まえ、どのようなIT戦略を定めるのがよいのかヒントを示す。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 ついに脱・返礼品か? ふるさと納税で犬、ネコ殺処分ゼロへ 2017/12/02 ふるさと納税の寄付金を活用して収容した犬やネコの殺処分ゼロを目指す地方自治体が徐々に広がってきた。名古屋市や兵庫県尼崎市は犬の殺処分ゼロを達成したほか、徳島県は災害救助犬やセラピードッグの育成で殺処分数を減らそうとしている。いずれも使用目的をはっきり示し、豪華な返礼品を用意していない。ふるさと納税は返礼品競争の過熱がしばしば問題になってきただけに、近畿大短期大学部の鈴木善充准教授(財政学)は「寄付金税制という観点からすると望ましい方向」とみている。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 後継者不足で損失22兆円、130年の老舗旅館が廃業せざるをえなかった事情 2017/11/28 後継者が見つからずに経営が順調なまま廃業する中小企業が全国で増えている。廃業数は2016年、過去最高を更新したが、今後10年足らずのうちに全国250万社の経営者が平均引退年齢の70歳を迎える。このままでは中小企業の「大廃業時代」に突入し、約22兆円の損失になるとの試算も出ているほど深刻な状況だ。関西大社会安全学部の亀井克之教授(リスクマネジメント論)は「国を挙げた対策になかなか着手できなかったつけが回っている」と現状を分析する。国はようやくM&A(企業の合併、買収)の推進や事業承継税制の改正に動き始めたが、大廃業時代を食い止められるのだろうか。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 震災後に乱立、石炭火力発電所が見直し迫られるワケ 2017/11/16 2011年の東日本大震災後、原発停止の受け皿として建設が計画された石炭火力発電所が岐路に立たされている。国内の電力需要が低下しているうえ、地球温暖化防止パリ協定の発効で大量に二酸化炭素(CO2)を排出する石炭火力に厳しい目が注がれるようになったからだ。各地で新増設計画が相次いで中止になったほか、兵庫県では市民グループが公害調停の申し立てを計画、宮城県では市民が営業運転差し止めを求める訴えを仙台地裁に起こした。NPO法人・気候ネットワークの山本元研究員は「地球環境への影響だけでなく、大気汚染の不安もある。石炭火力の新増設はストップすべきだ」と訴えている。
記事 AI・人工知能・機械学習 公共事業費が減少に転じる「東京五輪後」、インフラ保全の解決策は“人工知能とIoT” 2017/11/14 東京五輪開催の2020年以降では、社会保障費の増大などから、公共事業費は抑制されるが、インフラ保全の解決策としてAIやIoTといったテクノロジーが期待されている。矢野経済研究所が発表した「日本国内の社会インフラIT市場の調査結果」によれば、2020年以降は公共事業費は削減され、「スマート化」に期待が集まっているという。
記事 地方自治体・地方創生・地域経済 過疎自治体が出生率トップ級に! 岡山県「奈義町の奇跡」に何を学ぶべきか 2017/11/09 全国の地方自治体で少子化が深刻さを増す中、岡山県奈義町が2014年、町独自の試算で2.81という非常に高い合計特殊出生率(女性が一生に産む子どもの数)を達成した。国内で最も合計特殊出生率が高い九州、沖縄の離島部に匹敵する数値で、その後も本州トップクラスの2.0前後を記録している。岡山大経済学部の岡本章教授(人口経済学)は「2014年の数値は出生数が少し増加すると数値が急激にはね上がる小規模自治体の特性によるものだろうが、その後も他の自治体と比べると高い」と分析する。「奈義町の奇跡」ともいわれる高い合計特殊出生率はどうやって生まれたのだろうか。