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- 2025/07/18 掲載
プロンプトOps(Prompt Ops)とは何か? 生成AIコスト「爆増」に対応する具体的方法
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
入力トークン2倍で計算量は4倍に、恐ろしいコスト爆発
生成AIの普及とともに、予想外のコスト問題が企業を直撃している。「2つのリンゴに4つ買い足し、1つ食べたら何個?」という単純な計算に対し、最新のAIモデルは「まず2つのリンゴから始めて、1つ食べると1つ残ります。それから店で4つ買うので...」と延々と説明を続ける。この冗長な応答が、企業に莫大な「隠れコスト」をもたらしているのだ。問題の根源は、AIの利用料金体系にある。大規模言語モデル(LLM)への課金は「トークン」単位で行われ、入力も出力も文字数に比例してコストが増大する仕組みとなっている。
Vector Instituteのデビッド・エマーソン氏が指摘するように、「モデルが取り込み、出力する量が増えるほど、より多くのエネルギーを消費し、コストも上昇する」。特に深刻なのは、OpenAIのo3やo1といった高度な推論モデルの場合だ。
これらは単純な質問にも長大な思考プロセスを展開し、計算負荷が急激に跳ね上がる。
さらに厄介なのが「コンテキストの肥大化」現象である。最新モデルは膨大な文脈を処理できるようになったが、それが逆に「とりあえず全部入れておけ」という安易な利用を誘発。エマーソン氏は、必要以上の情報をモデルに与えることで、計算コストが指数関数的に増大すると警告する。
このコスト爆発は、具体的な数字でも裏付けられている。トランスフォーマー型モデルの一部は、入力トークンが2倍になると、計算量が4倍に膨れ上がる特性を持つ。つまり、不用意に長いプロンプトを投げれば、予算は瞬く間に食い潰されてしまう。

IDCのプレジデント、クロフォード・デル・プレテ氏は、GPUのアイドル時間を最小限に抑え、限られたリソースで最大の成果を引き出す必要性を指摘。また現在のAI最適化インフラが希少な状況下で「これらの非常に貴重な資源から、どうやってより多くを絞り出すか」が喫緊の課題だと強調している。 【次ページ】プロンプト・エンジニアリング」からの進化
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