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  • 2016/07/04 掲載

ビズリーチ南 壮一郎社長に聞く、人事の仕事が「AI」に奪われない理由

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人の仕事が人工知能(AI)にリプレースされる、という話がよく聞かれるようになった。企業における人事部門の仕事においてはどうだろうか。この問いに対して「ノー」と答えるのが、インターネットを使った人材サービスを提供するビズリーチ 代表取締役社長 南 壮一郎 氏だ。人事の仕事にAIを活用することでいかなる変化が起こるのか、南氏に聞いた。
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ビズリーチ
代表取締役社長
南 壮一郎氏

人材市場は変化、企業は多様性が求められている

――日本の人材市場には今、どのような変化が起こっているのでしょうか。

南氏:大きな変化は、日本において働き方がどんどん変わってきているということです。終身雇用のはずだった大企業においては、雇用の流動化が起こり始めています。具体的には、これまで新卒しか採用してこなかった大企業が中途採用を始めているということです。

 今まで会社を辞める社員が少なかった大企業は、新卒採用だけを考えていればよかったのです。新卒のうち数人は転職するだろうし、結婚して家庭に入る人もいましたが、これらの人たちについても、新卒を採用する前の人員計画で考慮されていました。大企業の多くが中途採用文化になっている訳ではないですが、昔に比べたら流動化が進み始めている状況です。

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雇用の流動化が進む中で、企業の中途採用活動が活発化

──なるほど。ではなぜ今、働き方が多様化しているのでしょうか?

南氏:経済的背景、社会的背景という2つの背景があると思っています。

 経済的背景は、日本の産業構造のど真ん中にあった製造業の成長が鈍化したこと。大企業も経営を問われる時代です。ひとつの会社が新卒で人を雇って、4~50年雇用し続けることができるのかどうか。世の中があいまいで不確実で不透明な時代に、ひとつの会社で働くことが果たして本当に安全なのか? 留まるのと辞めるのはどっちがリスクなのか? と誰もが思っている時代なのです。

 社会的背景は、日本の少子化です。安倍政権が目指す「一億総活躍社会」は何を表しているかというと、一人でも多くの人が働かないと国の労働力が減って行くので、通用しなくなるということです。国のGDPの計算式は、「労働人口×一人あたりの生産性」です。国がこのまま成長し続けるためには、労働人口を増やすか、生産性を上げるかしかないわけです。そのためにも、企業は多様な働き方を認めていかねばなりません。

人事部門は「採用しただけ」で終わってはいけない

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──こうした中で、御社はAIを活用した人事支援サービス「HRMOS」を発表しました。

南氏:個人の生産性を上げるためにはその仕事の要件定義を明確化して、定量的に管理することが重要です。「HRMOS」は、企業における人事部門における戦略的な意思決定を支援し、業務効率を上げるサービスです。

 開発のきっかけは、2009年から5000社以上の採用をお手伝いをしてきた即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」にあります。ビズリーチを使ってくださった企業の人事部から「採用業務は、なぜ雇ったら終わりなんでしょうか?」という疑問を投げかけられました。

 本来であれば採用した後に、その採用した人が3年後、5年後、10年後に、どのようなパフォーバンスを出したのか、そのパフォーマンデータを取って、将来の採用活動に活かされるPDCAサイクルがあるべきだということをおっしゃっていて、私も「その通りだ」と思い、HRMOSを開発することになりました。

──人事部の仕事は採用して終わりではない?

南氏:はい。本当に大事なのは、入社した従業員がどれだけ活躍しているか、収益や利益にどのように貢献しているのかです。

 例えば、今いるハイパフォーマーが採用時にはどのような評価をされていたのかをパラメータで知ることができたとします。すると、そのパラメータを見ながら「このハイパフォーマーとこのハイパフォーマーは採用時のパラメータは共通項だよね」とわかりますよね。

 そうなれば、採用時にこのパラメータにおいて非常にいい評価を取っていた人はうちの会社ではハイパフォーマーになる可能性がある、ということを判断できます。

 会社に点在するさまざまなデータ、例えば勤怠データや、ひょっとしたら健康データかもしれない。新規事業で活躍できる人や成長しきった事業で活躍できる人、いろんなパラメータがあると思うんです。

 でも、それが点在化しているゆえに活用されていない。これらのデータひとりひとりの従業員に紐づいた形でデータを集約し、その集まったデータが、AIによってどういう人を将来採用するべきなのかという新たな判断データに変わっていきます。

──さまざまなデータを可視化していくことで、人材戦略を動かしていくベースにするわけですね。

南氏:そうです。我々はそれを「戦略人事」と呼んでおり、未来の人事の形だと思っています。経営者のパートナーとして、事業成功にコミットして、きっちり戦略的な判断をしていく。成果にコミットすることが大切なのです。

 会社にとって成果とは何かといえば、利益です。利益を一番、考えているのは経営者や事業責任者ですが、彼らのパートナーとして、きっちり事業の成果にコミットして、人事の戦略を立て、実行し、結果を出す。これが、我々が考えている戦略人事の定義です。

 それを実現させるためには、いろんな人事データを集めて集約しながら、判断するためのデータをデータから出していくということです。ポイントはすべてを一元管理するということ。いろんな担当者がいろんな形でいろんな職務に沿った形でデータを集めている。それらをひとつのデータとして一元管理しましょうということです。

【次ページ】「AI」が人事部長の頭の中を可視化する

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