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  • 2022/11/29 掲載

若手が続々退職…「転職ネイティブ世代」を上司はどうマネジメントすべきか?

連載:リーダー必携マネジメント術

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新卒で入社した会社に定年退職するまで働く――そんな価値観を持っている人は、もはや少数派と言えるでしょう。最近では、入社後の転職を念頭に置きながら就職活動に臨む学生もいます。こうした「転職ネイティブ世代」と呼ばれる若者たちが登場する中、会社は入社した社員をどうマネジメントしていけばよいでしょうか。全国3000社の組織コンサルティングを手掛ける識学で上席コンサルタントを務める山下智史氏が解説します。

執筆:識学 上席コンサルタント 山下 智史

執筆:識学 上席コンサルタント 山下 智史

早稲田大学法学部を卒業後、新卒で読売新聞東京本社に入社。入社後は販売局に在籍し、販売店の経営者に対してマネジメント業務を行う。同社で12年ほど経験を積んだ後、識学に入社し、講師としてのキャリアをスタート。入社したその月のうちに営業受注最短記録を樹立し、目標達成率1000パーセントをたたき出した凄腕である。現在はマーケティング部とカスタマーリレーション部、営業企画部の部長としても従事する。

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「転職ネイティブ世代」の台頭に企業、上司は何をすべきか?
(Photo/Getty Images)

「転職ネイティブ世代」の登場、企業への影響は?

 「転職ネイティブ世代」とは、就職活動時から転職を意識する新世代のことや、新卒で就職した企業を数年で転職する世代のことを指す言葉です。

 私がこの言葉の意味を初めて知ったときには、「そういう言葉が出てきても不思議ではないな」という感想を持ちました。大手企業はまだしも、中小企業やスタートアップでは、「この会社に勤め続けるつもりだ」という人のほうがはるかに少なくなっているのではないでしょうか。

 だからといって、転職ネイティブ世代の採用やマネジメントのために会社側が特別しなければならない準備などはありません。転職ネイティブ世代と呼ばれる若者たちのような考えを持つ人が増えているのだとしても、転職を繰り返してきた年配の会社員だって大勢いるでしょうし、ずっと同じ会社で働きたいと考えている新卒社員もいるはずです。社員を色眼鏡で見るマネジメントは、後々失敗の原因になりやすいので注意が必要です。

 ですが転職ネイティブ世代の台頭は、企業側にとってはせっかく高い費用を投じて採用した社員が、簡単に退職してしまう可能性が高まっているということを示しています。したがって、会社側としては、社員に対し「この会社に居続けたい」と思わせなくてはなりません。転職して得られるメリットよりも、会社に所属していることで手に入る有益性のほうが大きくなるようにしてあげるわけです。では、どうすればよいでしょうか。

 それは、どんな場所に置かれたとしても稼ぐ力を身に付けさせることです。そして、成長を実感させることです。


ステップアップの道筋を示す

 「成長できている」と社員が感じるためには、指標が必要です。たとえば、当社では講師に一般講師、シニアコンサルタント、上席コンサルタントとランクがあり、どうすれば次のランクに達するかを示してありますので、社員にとってはこれが大きな目標になります。ステップアップの道筋を提示することは、社員のモチベーション喚起につながりますので、企業にとって非常に大切な役割です。

 とはいえ、「部長や課長、係長といった役職にどうすれば就けるかをはっきりさせましょう」と言いたいわけではありません。ある程度までその基準を示せたとしても、役職の数には限りがあるため、同じ能力を持った2人がいるとき、役職者は印象評価でしか決められないのです。当社の講師のような社内資格であればどれだけ人数が増えても問題はないので基準を示したほうがよいですが、役職者になるための基準を同じように掲げなくてもよいでしょう。

 どんな会社であろうと、社員に見せられるステップアップの道筋は等級制度です。つまり、自分の給料が上がるための条件です。「3期連続でノルマを達成したら等級が1つ上がる」といったように、いつまでに何をしたら自分がどこに行くのかを明確にすることが重要です。

【次ページ】「薄給で激務な若手」と「高給で暇なベテラン」を生む根源

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