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  • 2021/04/14 掲載

海外「デジタルバンキング」最前線、なぜ“チャレンジャーバンク化”が止まらないのか

連載:小俣修一のデジタルバンキング・マンスリーレポート

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この10年、欧米の金融機関はフィンテック企業を吸収し、オンラインバンキングに続くデジタルバンキングという新しい潮流を創り出した。一方、日本ではフィンテック企業の情報に比較し金融機関に軸足を置いたデジタルバンキングや、デジタル基盤に基づく「金融機関デジタル化」の記事もあまりないのが現状だ。本稿では海外動向とともに、日本の金融機関が検討すべき対応について海外金融機関の動向にくわしい小俣 修一氏が解説する。

小俣 修一

小俣 修一

1979年、慶大大学院修了。 地域金融機関の企画部門に勤務後、コンパックコンピュータ、NTTソフトウェアを経て2005年アカマイ・テクノロジーズ社長、米国本社ヴァイスプレジデント、日本法人会長を歴任。16年ニッキン特別顧問、20年12月みんなの銀行社外取締役に就任。欧米のデジタル・バンキングの事情に精通。国内の金融機関からデジタル戦略をテーマに、数多くセミナー依頼を受ける。

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1~3月の海外デジタルバンキングの潮流とは
(Photo/Getty Images)

2021年1~3月の「デジタルバンキング」ニュース

 フィンテックという言葉が海外で報道されるようになって10年以上の歳月が経過した。この間、欧米の金融機関はフィンテックを吸収し、オンラインバンキングに続くデジタルバンキングという新しい潮流を創り出してきた。しかしこれまで、日本ではフィンテック企業からの情報に比較して金融機関に軸足を置いたデジタルバンキングについての報道は少なかったのではないか。

 加えてデジタル基盤に基づく真の金融機関デジタル化の報道も少なく、伝統的なシステム基盤に「デジタル」をいかに飾り付けたかといった記事が目立っているようだ。ここでは毎月、海外動向を伝えながら日本の金融機関の対応などを考えてみたい。

 まずは2021年1~3月期に筆者が注目した主な「デジタルバンキング」関連ニュースを3カ月分まとめて紹介する。なお、次回からは1カ月単位の紹介になる予定だ。

2021年1~3月期に筆者が注目した「デジタルバンキング」関連ニュース
日付 ニュース内容
1月7日 BBVA、Simpleの閉鎖を発表
1月11日 Santander、ASTOの閉鎖を発表
1月14日 Standard Chartered、インドネシアの化粧品SociollaとECユニコーン企業「Bukalapak」ヘBaaS基盤を提供
2月1日 Chime、12百万顧客を達成
2月10日 Klarna、ドイツで銀行口座開設を開始(銀行免許を2017年6月取得済)
2月23日 Westpac銀行、SocietyOneへBaaS提供
2月26日 Affirm、BNPL機能付デビットカード計画を発表(Bank license - cross river)
3月4日 Revolut、追加の10か国で自行へ顧客を誘導
3月8日 Starling、株式評価額11億ポンドでユニコーンとなる
3月10日 SoFi、22MドルでGolden Pacific Bancorpを買収
3月18日 Commonwealth Bank、BNPL機能付デビットカードの計画を発表
3月19日 Railsbank、オーストラリアではVoltを使って事業開始/VISA、米・司法省が調査、反トラスト法違反の疑い
3月21日 Square、Cash Appでビットコインの手数料無料支払・送金が可能に
3月22日 Revolut、カナダ撤退。米国で銀行免許を申請(現在は、Metropolitan Commercial Bankのネオバンク)
3月25日 3月25日 Santander、8月までに111店舗閉鎖
3月26日 Westpac、48店舗を閉鎖/ING、オンライン・バンキングの急増で69店舗閉鎖
(出典:筆者作成)


デジタルバンクの整理統合と店舗閉鎖、BaaS展開

 コロナ禍での「巣ごもり消費」や「貨幣への接触忌避」の動きは、消費者をますますネット経済に引きずり込んでいるようだ。

 「店頭で実際に物を手に取って購買を楽しむ」という行動について消費者は、店員との会話からの情報が大切と感じながらも、他人の手を煩わせ、申込書や捺印した書類が介在する処理にこれまでも面倒くささと気まずさを感じていたのだ。その感覚がコロナ・ウィルス騒ぎによって、対面を前提とした実物経済を一気に遠ざけてしまった。一方人々の活動の軸足はネット経済へ移りつつも、どこか人との触れ合いを懐かしんでもいるようだ。

 そうした中、伝統的金融機関のデジタルバンクでは、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のネオバンクでオンライン決済アプリの「Simple」やサンタンデール銀行(Santander)のチャレンジャーバンクで請求書および経費アプリ「Asto」の閉鎖が伝えられ、一般の銀行店舗でも相次いで閉鎖のニュースが報じられた。

 一方、スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)がインドネシアでBaaS(銀行の機能をサービスとして利用できるようにすること)の展開を始めた。同様に、オーストラリアではウエストパック銀行(Westpac)が支払いサービスを営むフィンテック企業「After pay」やP2P融資事業者「SocietyOne」へBaaS提供を始めている。

 英国のフィンテック企業のレールズバンク(Railsbank)もチャレンジャーバンクのボルト(Volt)と組んでオーストラリアでのBaaS事業展開を始めると発表した。アジアでもBaaSが確実に拡がろうとしている。

画像
次ページで海外デジタルバンキングの流れを詳説

【次ページ】「圧倒的なトランザクション」のネオバンク・チャレンジャーバンク

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