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  • 2021/09/21 掲載

なぜ「後払い(BNPL)」が世界的流行なのか? 破壊的企業が生まれる潮流とは

FINOLABコラム

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『銀行を淘汰する破壊的企業』を執筆した米ベンチャー投資家 山本 康正氏と、銀行のデジタル部門で20年以上在籍した経験を持つHead of FINOLAB 柴田 誠氏が、テクノロジーがもたらす銀行ビジネスの変化と必要な対応について対談した。山本氏は、「注目している企業」や銀行のビジネスを脅かす、「データマネタイズ」の潮流を振り返り、なぜ「Buy Now Pay Later(後払い:BNPL)」が流行しているか。そしてこうした潮流に日本の金融機関が後れをとっているのはなぜかを分析した。

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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筆者と米ベンチャー投資家 山本 康正氏
(出典:筆者提供)

『銀行を淘汰する破壊的企業』執筆の背景

Head of FINOLAB 柴田 誠(以下、柴田氏):銀行で働いている人にとっては近未来のホラーシナリオから始まる『銀行を淘汰する破壊的企業』を大変興味深く拝読しましたが、どのようなことを狙って執筆されたのでしょうか?

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『銀行を淘汰する破壊的企業』
画像をクリックすると購入ページに移動します
米ベンチャー投資家 山本 康正氏(以下、山本氏):インターネットの登場とともに、ビジネスが単にテクノロジーを活用するという主従関係ではなく、逆にテクノロジーがビジネスを変革していく事象がさまざまな分野で起こっています。

 これからデジタルによる変化が大きく見込まれる分野ということで、「金融」をテーマとしました。また、自分のキャリアを銀行でスタートしたということもあって、「金融」が思い入れのある分野だったということもあります。

柴田氏:本書でとりあげられた11社は、メディアで頻繁(ひんぱん)にとりあげられるGAFAはともかく、一般の銀行員には必ずしも馴染みが深いとは言えない「破壊的企業」も含まれています。どのような基準で選んだのでしょうか?

山本氏:インターネットを活用したビジネスはあまたある中で、特にビジネスモデルが既存の産業を変革する潜在性のある企業を選定しています。また、新しいテクノロジーの活用によって、伝統的な金融業が顧客に対して優位を保ってきた「情報の非対称性」を縮小させるようなビジネスモデルを狙っている先でもあります。

 本書自体、テクノロジーによる金融の変化や海外の先進事例を知ってもらうための入門編なので、ここにあげられた企業(GAFAの他、ペイパル、ストライプ、アント、アファーム、コインベース、キャベッジ、ロビンフッド)だけではなく、他の企業も拙著『スタートアップとテクノロジーの世界地図(ダイヤモンド社)』がより広範囲に知見を広めるきっかけになれば幸いです。

 特に、昨今ではスーパーアプリ、つまり1つのアプリで金融でも配達でもカバーする企業が増えていますので、金融業界外でもたとえばTikTokなど急激にユーザー数を伸ばしているサービスを抱えるバイトダンス(ByteDance)といった企業は把握しなければなりません。

銀行を破壊する「データマネタイズ」の潮流

柴田氏:本書では、伝統的な銀行を破壊するメガトレンドとして、(1)すべての手数料が0になる、(2)預金量よりもデータを持つ銀行が未来を制する、(3)24時間365日空いている銀行が標準に、といった3点が挙げられています。

 その背景には、テクノロジーが変化し、さらにその変化が加速していることに加えて、コストに手数料やマージンを乗せることによって収益を確保する金融の従来型ビジネスモデルに対して、広告や送客、物品販売などの収益源と結びつける新しいビジネスモデルが登場していることがあると感じました。

山本氏:確かにデータをマネタイズできるようになった点が最も重要です。

 技術的に考えると、(1)ストレージ技術の進化とクラウドの普及によって今まで貯蔵できなかったような大規模なデータを保存することが可能になったこと、(2)ディープラーニングなどの発達によりAIを活用した分析手法が発達したことが蓄積したデータを広告や金融分野に瞬時に活用できること、この2点がマネタイズの実現を支えています。

柴田氏:当然のことですが、計算処理速度や通信速度の向上も大きく寄与していることも間違いないでしょう。

 現在使われているスマートフォンに搭載されているCPUの計算能力は、銀行のオンラインシステムが確立した1980年代後半に勘定系システム(メインフレーム)で使われていたCPUの計算能力を凌ぐようになっています。また、携帯通信の接続スピードもその登場以来1万倍以上の進化を遂げています。

【次ページ】スマホの普及とBNPL流行の関係とは

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