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  • 2022/11/28 掲載

なぜ「りそなのアジャイル」は成功した? 発注先のチームラボと「フラットな関係」を貫けたワケ

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「りそなグループアプリ」の開発パートナーにチームラボや日本IBMを迎え、アジャイル開発を取り入れたことで、従来より柔軟にビジネス環境やユーザーの声に対応できるようになったというりそなホールディングス。DXの本質は人・組織・企業文化にあるとも指摘されるが、りそなHDの成功の背景には、どのような組織と企業文化があったのか。DX部門をリードしてきたカスタマーサクセス部の熊倉 広将氏とDX企画部の後藤 一朗氏に話を聞いた。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

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りそなの「アジャイル」が成功した理由は?

既存の組織とは切り離してアジャイルを進めた

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りそなホールディングス
カスタマーサクセス部
アジャイル推進室長
熊倉広将氏

熊倉 広将氏(以下、熊倉氏):アジャイル推進室が2022年4月に新設された背景について聞かれることがあります。実はりそなグループアプリのDLは500万件を突破するなど最大のチャネルであり、そこに付随するプロジェクトもいろいろ出始めています。

 オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」という場所で開発していますが、今後より体制を強化し、スピードを上げたグループの開発運営を担うために、アジャイル推進室ができました。

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チャネル別利用者数(DAUの月間平均)の推移

後藤 一朗氏(以下、後藤氏):2018年2月、アプリのリリース段階では、アジャイル開発手法は我が社の中でかなりチャレンジングな取り組みでしたので、組織化するまでの状態ではありませんでした。しかしそれから4年半が経ち、アジャイルプロジェクトの全工数が当社側とパートナー企業側と合わせて100人規模になってきたため、組織的な対応が課題になってきたということです。

 では、どのようにアジャイルの進め方・スキルを身につけてきたのか。自分たちにスキルがないことは分かっていましたので、最初は「教科書どおりやってみよう」という感じでした。もともとモバイルの基盤群の開発をアウトソースしていた日本IBMさんのアジャイルチームに研修を実施していただいて勉強しながら、始めました。

熊倉氏:最も大事なポイントは「既存の体制から切り離して始めた」ということです。業務部門とIT部門からそれぞれ人を出し、独立した形でミッションを与えることで、パートナー企業と1つの場所に集まって侃々諤々やり始めたことがとても重要なことだと思います。

後藤氏:りそなグループアプリの開発パートナーとして、デザイン面で大きな役割を果たしているチームラボさんを迎えたのは、2016年頃、個人向けの非対面チャネルの中心にアプリを置こうという意思決定をしたのと同時くらいだったと思います。

熊倉氏:システムの案件があると、IT企画部に依頼するのが通常です。でも、このアプリに関しては新しいビジネスモデルにチャレンジしようということで経営陣からプロジェクト化されたものでしたから、進め方も既存のやり方ではなく「新しいやり方を考えよ」というのがミッションの一環でした。

 私も立ち上げメンバーの1人だったのですが、プロジェクトチームが社内で立ち上がった際に、フロントのUI/UXに特化して今までの“銀行らしくない”アプリの開発を一緒にやってくれそうなパートナーを探すことにしたのです。そのために、伝手を辿っていろいろな企業へ行き、私たちのやりたいことをお話ししました。

後藤氏:通常のシステム開発のアウトソーサーを探すのとは違い、パートナーとして対等に手を組める企業を自分たちで探したということです。最終的には、我々が粗削りながらも創りたい世界観について話をする中で、一番共感していただいたのがチームラボさんで、パートナーになっていただきました。

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顧客行動の変化③:アプリでの銀行利用拡大
(出典:りそなグループのDX戦略 ~金融デジタルプラットフォーム構想について~)

カルチャーが異なる企業との対等なコミュニケーション

熊倉氏:カルチャーとはまったく異なるチームラボさんと、なぜうまく意思疎通できたのか。コミュニケーションツールなどについても聞かれるのですが、特殊なものを使っているわけではなく、一般的なものです。コミュニケーションツールはSlack、プロジェクト管理にはRedmineを主に使っていました。

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りそなホールディングス
DX企画部グループリーダー
後藤一朗氏

後藤氏:コミュニケーションは、最初から何もかもスムーズだったわけではもちろんありません。特にIT部門の人は戸惑った部分もあったと思います。私たち業務部門もアプリビジネスの経験はありませんから、チームラボさんの方々と議論しながら「そういうところを気にするのか」と気づいたり、「こうするものだ」と思っていたものを「全然違います」と否定されたりすることの連続でした。

熊倉氏:一般的には発注者と受注者という図式の中で、対等な関係を築きにくいケースもあると聞きますが、フラットな関係性を築けたのか良かったと思っています。

 あくまでもビジネスパートナーであり、対等な、信頼関係で結ばれた関係ですね。「餅は餅屋」で、彼らはプロフェッショナル、私たちは業務の企画者なので、対等でしかないです。我々は彼らから知らないことを教えてもらう立場なので、とても偉そうにはできません。

 また、当初は物理的に同じ空間で一緒に仕事を進めることを意識しました。基盤側ではパートナーの日本IBMさんが常駐しており、何かあったらすぐ相談しに行ってディスカッションしたりということはよくありました。

後藤氏:個人的には普通預金のグラフのデザインをどうするかを議論した時のことが印象に残っています。2時間議論しても全然決まらなかったのですが、「こういうところに時間をかけて丁寧に議論するんだ」という発見があり、楽しいと感じました。

熊倉氏:今でも、「こういう機能考えたんですけど、どう思います?」と持ちかけると、「やる意味が分からない」など平気で言われます(笑)。「なんでそんなの必要なんですか」「そんなのやる意味ありますか」「お客さまのためにならないと思います」など、我々との関係性よりも、お客さま目線が徹底しているということです。

後藤氏:通常の受発注の関係だと、そういうことは言わないと思いますが、言ってもらえる関係がむしろすごくありがたいと思いますね。

【次ページ】アジャイルと厳格なコンプライアンスが両立できるワケ

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